上院国防法案、軍内の過激派捜索の終了を要求
By Susan Ferrechio – The Washington Times – Wednesday, July 20, 2022
上院議員らは、2021年1月6日の米連邦議会議事堂襲撃事件後に作られた、白人国家主義者ら過激派を軍から排除するプログラムを軍が終了させることを望んでいる。
上院の年次国防政策法案に付随する報告書に、この取り組みの終了を求める文言が含まれており、軍内にわずかしかいない過激派を探し出すために何十万ドル、何百万時間も費やしているという国防総省の分析が引用されている。
報告書は、「委員会は、軍隊の中で非常に稀な過激派の事例と戦うために追加の時間と資源を費やすことは、納税者の資金の使用方法としては不適切であり、国防総省は直ちにこれを中止すべきだと考える」と訴えている。
共和党のある補佐官はワシントン・タイムズ紙に、ロールコールが最初に報じたこの文言は拘束力を持たないが、「上院軍事委員会も、軍は最も深刻な脅威である中国とロシアに時間と資源を割くべきだと考えているという強いメッセージを国防総省に送った」と述べた。
国防総省は、議会議事堂襲撃に参加して逮捕された者の中に元または現軍人がいることが判明したことを受けて、過激派の調査を行うことを約束した。
襲撃の数週間後、ロイド・オースティン国防長官は、「警戒態勢を解き、隊員内の過激派の問題を議論させる」ことを、国防総省全体に命じた。
この命令を受けて、兵員らは通常の任務を外れ、過激派に関する議論を行うことを求められた。
当時の国防総省報道官ジョン・カービー氏は、この命令は「軍人と民間人の話を聞き、過激派に対する彼ら自身の考えを聞くためでもあった」と述べている。
オースティン氏は2021年4月、「過激派活動対策ワーキンググループ」を設置し、「隊員内で認識されている過激派に対処するための緊急措置の実施と追加的・長期的勧告の形成」を任務として、この取り組みを拡大した。
同グループは、210万人の現役・予備役兵士のうち、禁止されている過激派活動の事例が100件、つまり発生率は0.005%との結論を出した。
上院軍事委員会の共和党議員らは、軍が時間と資源を浪費していることを懸念し、軍の幹部にこの取り組みの結果を説明するよう要求した。
これを受けてマーク・ミリー統合参謀本部議長は1月に文書で回答。軍がこの命令に費やした時間は535万9000時間、費用は50万ドル(約6000万円)であることを明らかにした。
同委の共和党トップであるジェームズ・インホフ上院議員(オクラホマ州)は、資源の転用は正当化されないとワシントン・タイムズ紙に述べ、それよりも軍は米国に真の脅威をもたらすロシアと中国の軍備増強に追いつくことに集中すべきだと語った。
「私たちはいくつかの装備でナンバーワンの座を失い、中国とロシアは私たちが持っていないものを実際に持っている。恐ろしいことだ。そして、社会問題に時間が浪費されているということは、非常に不愉快だ。私たちは国を救わなければならない。子供や孫を救わなければならない」
共和党は、軍備が脅かされ、入隊希望者が減る一方で、多様性と包括性を目指すリベラルな政策を実施しようとする軍幹部の取り組みに批判を強めている。
国防総省当局が先月発表したところによると、五つの軍は今年、募集目標を達成できず、年間目標の23%減となっている。
アイオワ州兵の中佐を務めた共和党のジョニ・アーンスト上院議員は、軍隊には過激派に対処するための政策があり、この問題に特化したプログラムは必要ないと述べた。
「悪事にかかわれば、必ず罰せられている。懸念すべきことではない」
国防法案の文言は、海兵隊予備役の大佐であるアラスカ州の共和党員、ダン・サリバン上院議員によって作成された。この法案は民主党の反対に遭っているが、ロードアイランド州のジャック・リード委員長をはじめとする軍事委員会の民主党議員は誰も阻止しようとしなかった。
民主党のティム・ケイン上院議員(バージニア州)はワシントン・タイムズ紙に対し、「そんなことが報告書に書いてあるとは知らなかった。それはいらない」と述べた。
ケイン氏はその後、過激派は軍隊を含め、米国に広く存在する問題だと考えていると説明した。
「過激派の台頭は、私たちの自由を守るために多くの犠牲を払っている軍人を含むコミュニティーの安全を脅かすものだ。私は今後数カ月間、同僚と協力して、こうした脅威に対処するための行動を確実に取り続ける」
この文言が議会で最終的に可決されるかどうかは、民主党主導の下院との協議にかかっている。下院は独自の国防政策法案を作成したが、軍における反過激派プログラムを終了させることは含まれていない。
上院では、ほとんどの法案が60票という超党派の合意が必要となる。そのため、共和党が国防法案に対して大きな影響力を持つことになる。
リード氏は「この問題は、一方の側が軍内の過激派に対してより組織的なアプローチを求めているため、協議会の中ですり合わせを行うことになる。その上で、私たちが解決する」と述べた。