トランスジェンダー生徒の権利拡大―郡教育委が指針
By Valerie Richardson Wednesday, August 11, 2021
バージニア州のラウドン郡教育委員会(LCPS)は11日、トランスジェンダーの生徒の権利を拡大することで合意、これにより、トランスジェンダーの生徒が性自認に基づいてスポーツ競技に参加し、施設を利用できるようになり、職員は生徒それぞれが望む代名詞で呼ぶことが義務付けられる。
ノーザンバージニア教育委員会は、10日に一般人を交え行われた4時間以上にわたる激しい議論の後、7対2で、「トランスジェンダーと(どちらの性別にも分けられない)ジェンダーエクスパンシブの生徒の権利」指針を承認した。
委員会によると、この指針は、昨年承認された州法との整合性を図る上で必要なもの。この州法は、グリム対グロスター教育委員会で連邦地裁が下した判決を受けて定められた。地裁の判決は、トランスジェンダーの生徒が性自認に基づいてトイレを使用するのを禁止することはタイトルIX(教育改正法第9編)と平等保護条項に抵触するとしている。
委員会は11日、「LCPSの最優先事項は、全生徒の成長を促進し、生徒が安全、安心、受け入れられ、学業に励むことができるようにすることだ。学校区は今後も、そのために必要な配慮をし、環境を整え、LCPSのすべての協力者、コミュニティーの構成員、関係者にオープンで、透明性を維持する」と表明した。
LCPSは今年に入り文化戦争の渦中にあり、親同士、教育委員との間で、批判的人種理論、組織的人種差別、トランスジェンダーの権利など難しい課題をめぐって激しい議論が戦わされてきた。
今回のトランスジェンダー指針の下でラウドン郡の学校職員は、「ジェンダーエクスパンシブとトランスジェンダーの生徒」がスポーツなどの課外活動に、それぞれの性自認に基づいて参加できるようにしなければならなくなる。
生徒らは、自身の呼び方も選択でき、職員は生徒、親・保護者の要請に従った呼び方をすることが義務付けられる。
指針案は「ジェンダーニュートラルな代名詞の使用が適切。不注意から、名前、代名詞を間違うこともあるかもしれない。しかし、職員、生徒が意図的、継続的に生徒の性自認を尊重せず、間違った名前や代名詞を使用することは、この指針に抵触する」としている。
生徒はさらに、それぞれの性自認に基づいてトイレとロッカールームを使用することが認められる。
議論の中でさまざまな劇的な出来事があった。10日の議論では、ローラ・モリスさんという教師が「高度に政治化された政策」を強引に推進していると教育委員会を非難、その場を立ち去るということがあった。
モリスさんは「この指針には従わない、この教育には従わない。私は、私たちの最も傷つきやすいこの子供たちに関して、高度に政治化された政策を推進するよう命じる組織の歯車にはならない」と訴えた。
最高裁は6月、グリム対グロスター教育委員会裁判で、グロスター教育委員会の控訴を棄却、それによって地裁判決が維持された。