バイデンのイラン核合意再交渉は危険

(2021年8月18日)

Photo by: Vahid Salemi Iran’s new President-elect Ebrahim Raisi waves to participants at the conclusion of his press conference in Tehran, Iran, Monday, June 21, 2021. Raisi said Monday he wouldn’t meet with President Joe Biden nor negotiate over Tehran’s ballistic missile program and its support of regional militias, sticking to a hard-line position following his landslide victory in last week’s election. (AP Photo/Vahid Salemi)

By THE WASHINGTON TIMES – – Wednesday, August 11, 2021

 

 ANALYSIS/OPINION:常識は優れたリーダーシップの特徴であるが、常識で理解できないなら、それはリーダーが迷路にはまっているということだ。

 

 バイデン大統領は、明らかに迷路にはまっており、彼のばかさ加減の見本は既に分厚いものになっているが、愚かさを知る一つの入り口を挙げるだけでも、彼の数々の迷走ぶりははっきり分かる。

 

 そして、悲しいことに、それは、最高に危険なものであるかもしれない。それは、オバマ時代に、明白だったイランの敵意をものともせずに結んでしまったイラン核合意を復活させようという決意だからである。

 

 そのような無分別な動きに対するドナルド・トランプ前大統領の言葉は、「全く素晴らしい」である。とはいえ、くたびれた70歳代の人が、危険な全体主義者と交渉する段になれば、文明社会にかかる危険は、トランプ式のレッテルでは十分に捕捉することはできないであろう。「これで、もう、皆さん、納得ですよね」という、聴衆の疑心暗鬼を払拭(ふっしょく)しようとする時にバイデン氏が使う頼りになる言葉は、今のイランのペルシャ語にうまく翻訳することはできない。「本当に頼みますよ」と言うよりは、ましな言葉遣いになるかもしれないが。

 

 バイデン氏は、外交官を、ウィーンでの彼らのイラン側交渉相手との予備会談に臨むために遣わしたと伝えられる。対話が信頼醸成に効果的であることは、人間関係の特質である。もっとも、イランには、悪魔的怒りをもって米国の申し出に対応するという特徴がある。当然のことながら、ムラー(イスラムの宗教的指導者)らが、オマーン湾で1隻の船をハイジャックし、もう1隻の船に致命的なドローン攻撃を仕掛けるために、船で部隊を派遣したことは驚くには値しない。

 

 しかし、ブリンケン国務長官の反応は控えめだった。米国は、攻撃を大目に見、交渉を軌道に乗せる「十分な用意」ができているという。信頼というものが「片側1車線」の道路だとすれば、イランは、逆走していて、ブリンケン氏はいずれ衝突することに気付いていない。

 

 バラク・オバマ元大統領が世界の大国の助けを借りて交わした2015年の合意は、イスラム政権の数十年にわたる核兵器の希求をやめさせるのではなく、ただ遅らせようと試みただけだった。協定は、核開発の最も重要な要素――ウラン濃縮――の2030年までの一時停止を要求したが、それは、イランの順守を検証する確実な方法を欠いていた。

 

 実際、イランは核分裂性物質を秘密裏に備蓄し続けており、イランの核攻撃能力取得への制限は、無力化され、一時的でしかない。トランプ氏が協定から離脱したのは、こういった理由からであった。イランが謀って実らなかった画策は、今では、暴露されている。例えば、イスラエルのベニー・ガンツ国防相は先週、イランは、今からちょうど10週間もたてば、核爆弾製造能力を取得すると言っている。

 

 新たに選出されたイランの大統領であるエブラヒム・ライシ氏を見ても、彼のムラークラシー(イスラム教に通じた人が担う政権)が改めて国際的な関係構築に近づくと少しでも期待しようとすることは無駄だろう。何千人もの政治犯に死刑宣告するという彼の役割のせいで悪名高い「テヘランの絞首刑執行人」が、1979年革命以来、政権を導いてきた強硬政策を永続させることは間違いないと考えられる。

 

 世界の安全を守る手段として、オバマ政権の合意には絶望的な欠陥があった。同じように、イランは、バイデン氏を最大限利用して、核兵器に向けて断固として前進しようとしているのである。これを否定しても鼻で笑われるだけであろう。

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