穏健派シネマ上院議員の追い落としをソロスが支援か

(2021年10月22日)

2021年6月22日、ワシントンのキャピトル・ヒルで行われた非公開の超党派インフラ会議を後にするキルステン・シネマ上院議員(アリゾナ州選出)。(AP Photo/Manuel Balce Ceneta, File)

By Haris Alic – The Washington Times – Friday, October 15, 2021

 2024年の選挙で、アリゾナ州の穏健派民主党上院議員キルステン・シネマ氏が候補指名を獲得するのを阻止するために最近発足したスーパーPAC(政治活動委員会)は、ハンガリーの左翼億万長者ジョージ・ソロス氏と強い経済的つながりがある。

 先月末に大々的に発足した「プライマリー・シネマPAC」には、ソロス氏が資金提供している二つの団体がかかわっている。その団体とは、「リビング・ユナイテッド・フォー・チェンジ・イン・アリゾナ(LUCHA)」と「ウェイ・トゥ・ウィン」で、近年ソロス氏から200万ドル以上を受け取っている。

 シネマ氏は、バイデン大統領が提出した3.5兆ドルの社会福祉・気候変動関連法案は規模が大きすぎるとして異議を唱え、拒否したことで、左派から攻撃を受けている。

 ソロス氏の慈善事業部門であるオープン・ソサエティー財団の記録によると、ウェイ・トゥ・ウィンは2018年以降、60万ドルを受け取っている。昨年だけでも、2020年の大統領選に向けた「さまざまな社会福祉活動」を支援するために、35万ドルを受け取っている。

 極左の献金者や活動家の包括的なグループであるウェイ・トゥ・ウィンは、2017年に当時のドナルド・トランプ大統領に対抗するために発足した。2020年大統領選で、この団体は1億1000万ドルを投じて、アリゾナ州やジョージア州を中心とした南部・南西部のいくつかの州を民主党陣営に寝返らせるのを支援した。

 現在、この団体は、シネマ氏のように、バイデン大統領が進める3.5兆ドルの連邦政府による社会保障の拡大に反対する民主党議員を追い落とすことを目指している。

 ウェイ・トゥ・ウィンの共同設立者で現在副会長を務めるリア・ハント・ヘンドリックス氏は、スーパーPAC設立時に「アリゾナ州の人々は、ジョー・バイデン氏とバイデン・アジェンダに投票した。シネマ上院議員は、超党派で支持されているバイデン氏の政策に反対しているが、これはアリゾナ州民の幅広い支持を得ている。もし彼女が邪魔をし続けるのであれば、私たちは彼女に責任を取らせる」と述べている。

 同様に、LUCHAもソロス氏から大金を受け取っている。オープン・ソサエティー財団の記録によると、2019年、同団体は「政策提言」のために150万ドルの寄付金を受けた。

 LUCHAは「社会的、人種的、経済的変革のために戦う」草の根運動と銘打っているが、最近ではシネマ氏への嫌がらせをめぐって非難されている。

 今月初め、LUCHAのメンバーは、アリゾナ州立大学で講義を行っていたシネマ氏に詰め寄ったとして非難された。

 この事件は、LUCHAのメンバーがシネマ氏と学生たちを追いかけて、女子トイレに入っていく様子を撮影したことで、その悪意が明らかになった。LUCHAのメンバーは、3.5兆ドルの歳出法案に反対するシネマ氏をトイレの中で非難する様子を撮影し、ネット上に公開した。

 また、LUCHAのメンバーは、この事件のわずか数日後、アリゾナからワシントンに向かう飛行機の中で、シネマ氏に詰め寄る様子を撮影した。LUCHAは、過去にメンバーが「話し合おう」とした際に、シネマ氏が「無視し、退け、敵対した」と主張し、これらの行動を正当化している。

 LUCHAの共同エグゼクティブディレクターであるアレックス・ゴメス氏とトーマス・ロブレス氏は、先月「プライマリー・シネマPAC」を立ち上げた際も、同様の主張をしていた。

 2人はその際、「私たちは、2018年にキルステン・シネマ氏を選出し、2020年にドナルド・トランプ氏を倒し、民主主義を守り、気候変動や移民改革のために迅速に行動し、最も脆弱なコミュニティーのために立ち上がることを約束するリーダーを州内で選出するために、たゆまぬ努力をした。シネマ氏は、これらの価値観を共有していないことを何度も証明してきた。今こそ、組織をつくり、彼女を適切な人物に置き換えるべきときだ」と述べている。

 プライマリー・シネマPACのスポークスマンは、ワシントン・タイムズに対し、ソロス氏は現時点では寄付をしていないと述べている。

 このPACは、シネマ氏とウェストバージニア州選出の穏健派民主党員ジョー・マンチン上院議員が巨額の歳出法案を延期させたことを受けて設立された。

 「人的インフラ」と呼ばれるこの巨大な法案には、コミュニティーカレッジの無料化、メディケア(高齢者・障害者向け医療保険)の拡大、気候変動を食い止めるための野心的な規制など、長年にわたってリベラル派が求めてきた優先事項が大量に含まれている。

 共和党の票は得られないため、民主党は特別な手続きで上院を通過させようとしている。予算調整措置と呼ばれるこの手続きによって、一部の歳出・税制措置について、60票のフィリバスター(議事妨害)を回避し、51票の単純過半数で可決できるようになる。

 上院は両党が拮抗しているため、民主党はマンチン氏とシネマ氏のどちらかを失うわけにはいかない。

 そのために、ソロス氏と関係のある組織が戦いに参加したというわけだ。

 アリゾナ州では、2024年のシネマ氏再選が見込まれているが、プライマリー・シネマ PACはすでに2万5000ドルを投じてシネマ氏を攻撃している。また、LUCHAをはじめとするソロス氏関連のグループは、シネマ氏やマンチン氏に対する抗議活動を行っている。

 また、ソロス氏関連の団体である「グリーン・ニューディール・ネットワーク」は、今週初めにボストン・マラソンに出場したシネマ氏に抗議するために活動家を派遣した。

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