バイデン政権、気候変動法案が崩壊寸前、燃費基準を引き上げ

(2021年12月24日)

2021年5月12日、ワシントンのホワイトハウスで行われた記者会見で話す環境保護庁のマイケル・リーガン長官。(AP Photo/Evan Vucci, File)

By Valerie Richardson – The Washington Times – Monday, December 20, 2021

 バイデン政権は20日、奨励策による民主党の気候変動対策が崩壊寸前にもかかわらず、自動車燃費基準を過去最高レベルに引き上げ、自動車メーカーが越えるべきハードルを引き上げた。

 環境保護局(EPA)が発表した最終的な規則では、「リアル・ワールド・リアル・バリュー」の推定値に基づいて、乗用車と小型トラックの2026年モデルまでの全車種平均基準を40mpg(マイル/ガロン)とした。これは、トランプ前政権が目指した32mpgを大幅に上回り、オバマ政権時の2025年の基準36mpgをも上回る。

 EPAのマイケル・リーガン長官は、この基準により、2050年までに米国の二酸化炭素排出量を30億トン削減することで気候変動に対処するとともに、同時期の消費者の燃料コストを2100億ドル~4200億ドル削減できると述べている。

 「小型車に関する最終的な規則には、政権の基本原則が反映されている。科学的知見に基づき、利害関係者の意見を聞き、人と地球に害を与えている公害を積極的に削減し、同時に家庭の経済的負担を軽減する強固で厳格な基準を設定する」

 リーガン氏は、自動車業界がこれらの効率化を、2兆ドル規模の「ビルド・バック・ベター(より良い再建)」計画での電気自動車の税控除やその他の連邦政府支援に結びつけているにもかかわらず、業界が野心的なレベルを達成できることを楽観視していると述べた。

 現在、電気自動車の販売台数は市場シェアの4%未満だが、最終規則のもとでEPAは、電気自動車とプラグインハイブリッド車の販売台数が2023年のモデルイヤーで7%に達し、2026年には17%近くにまで達すると予測している。

 ウェストバージニア州選出のジョー・マンチン上院議員が19日に反対を表明し、この法案の通過はほぼ絶望的となったが、リーガン氏は、バイデン大統領が「ビルド・バック・ベターにおける税控除とクリーンエネルギーの機会に関する要求は正当であり」まだ実現可能との見方を示した。

 リーガン氏は、「ビルド・バック・ベター法案にある優遇措置のために、今後もたゆまぬ努力を続けないということではない。それでも、私たちは、実現可能なルールを提案したと信じている」と述べた。

 一方の業界団体「アライアンス・フォー・オートモーティブ・イノベーション」の会長兼CEO、ジョン・ボゼラ氏は、EPAの2023―26年モデル燃費目標や電気自動車目標を達成するには、連邦政府の支援が重要だと強調した。

 同氏は、EPAの温室効果ガス削減に関する最終規則が、8月の提案よりもさらに厳しくなり、「現在の小型車販売台数全体の4%を大きく上回る、電気自動車の大幅な販売増を要求している」と指摘した。

 ボゼラ氏は声明で「この最終規則の目標を達成するためには、消費者インセンティブ、インフラの大幅な増強、車両要件、米国の製造業とサプライチェーンの発展への支援など、政府による支援政策の制定が必要となる。すべての地域社会に恩恵をもたらし、米国の経済競争力を強化する、よりクリーンな交通の未来という共通の目標を達成するためには、経済界と政府間の協力が不可欠だ」と主張した。

 その上で、自動車産業は2025年までに電気自動車化に3300億ドルを投資する予定であり、「燃費向上とGHG(温室効果ガス)排出量削減を大きく前進させ続けている」と強調した。

 政権の厳しい燃費基準にはるかに熱心だったのは気候変動団体だ。オバマ政権が定めていた基準を、トランプ政権時の2020年にEPAが引き下げていたが、バイデン政権がこれを元に戻したことを歓迎している。

 エンバイアランメント・アメリカ「デスティネーション:ゼロ」キャンペーンのディレクター、モーガン・フォルガー氏は「強力な連邦クリーンカー規制が復活したことに、私たちは安堵している。自動車業界からの反発にもかかわらず、私たちは過去6年間、大気汚染と気候変動を根本的に抑制するクリーンカー規制を求めて闘ってきた。きょうの勝利は、自動車やトラックからの排ガスをゼロにする未来への道を開くものだ」と指摘した。

 一方、マンチン氏の離反とインフレ上昇の懸念から、EPAの基準強化は間違っていると非難する批評家もいる。

 パワー・ザ・フューチャー・ウェスタンのディレクター、ラリー・ベアレン氏は、「マンチン議員のいわゆるビルド・バック・ベター政策を否定する発言は、国全体はもとより、議会においてもこの種の政策に対する意欲が低いことを示している。バイデン大統領は、各家庭の選択に任せる気がないことは明らかだ。グリーンアジェンダに従わない可能性があるからだ」と述べた。

 ハートランド研究所の上級研究員、アンソニー・ワッツ氏は、自動車の安全性と信頼性について懸念を示し、この基準は、メーカーが金属の代わりに耐熱プラスチックなどの軽い素材を使用する動機になると述べた。

 ワッツ氏は、「このCAFE(企業別平均燃費基準)の追加により、燃費をクリアすることがメーカーにとって難しくなり、車をより軽く、安くしなければならなくなる。私の考えでは、これは安全性と信頼性を損なうものであり、何のためにあるのが疑問だ。米国が過去10年間削減を進めてきたにもかかわらず、中国は膨大な量の二酸化炭素を排出し続けている」と述べた。

 EPAによると、発電所で石炭に代わって天然ガスが増え、グリーンエネルギーが成長を続けているため、米国の温室効果ガス排出量は2005年から19年にかけて13%減少した。

 2019年の米国の温室効果ガス排出量の29%は運輸部門が占め、25%で2位だった発電を上回ったとEPAは報告している。

 昨年、自由市場を支持する「企業競争研究所(CEI)」は、EPAの燃費基準を阻止するため、EPAが安全性への影響を考慮していないとして提訴した。

 CEIのエネルギー・環境センターのディレクター、マイロン・エベル氏は、「CEIは、連邦裁判所が、CEIなどが管理記録に示した強力な証拠を考慮し、EPAの新しい自動車燃費最終規則を覆すことを期待している。EPAのこの新基準は、個々の人々が行うべき決定を政府が行おうとするバイデン政権の広範な取り組みの最新の例だ」と述べた。

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