バイデン氏の選挙改革法案、上院で頓挫か

(2022年1月18日)

ホワイトハウスのイーストルームで記者会見するジョー・バイデン大統領(2021年3月25日、ワシントン)。ジョー・バイデン大統領はホワイトハウスでの1年目を終えようとしているが、前任者5人のうち、大統領就任の同じ時期に行った記者会見の回数が少なく、最近のどの前任者よりもメディアのインタビューに参加した回数が少ないという。これは、タウソン大学名誉教授マーサ・ジョイント・クマールの新しい研究結果によるもの。(AP Photo/Evan Vucci, File)

By Jeff Mordock and Haris Alic – The Washington Times – Tuesday, January 11, 2022

 バイデン大統領は11日の重要演説で、上院のフィリバスター(議事妨害)規則を廃止し、共和党による米国民主主義への攻撃と戦うよう呼びかけたが、ジョー・マンチン上院議員は再びバイデン氏の計画を頓挫させる構えを見せている。

 36年間上院議員を務めたバイデン氏は、共和党が民主党による選挙改革2法案の提出を阻止したため、上院は「かつての面影を失ってしまった」と述べた。

 「私は、民主主義に対する脅威は非常に深刻だと思っている。これらの投票権法案を提出し、議論し、表決に掛ける方法を見つけなければならない。多数派が勝つ。その最低限の票が得られないのなら、フィリバスターの廃止を含め、上院の規則を変えるしかない」

 バイデン氏は、共和党政権の州が選挙法を曲解し、黒人やその他の少数派が投票するのを難しくしていると共和党を全面的に非難した。

 民主党は、選挙制度政策と、2021年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件を関連づけている。この事件は、親トランプ派の暴徒が、バイデン氏の当選を議会が認証するのを阻止しようとして発生した。バイデン氏は、民主主義そのものがあらゆる方向から攻撃を受けており、守る必要があると述べた。

 「だからこそ、私たちはきょう、原則よりも権力を重んじる米国の勢力に立ち向かうためにここにいる。クーデターを企てた。疑いの種をまくことで、法的に表明された国民の考え方を公然と攻撃した」

 フィリバスター規則を変更し、選挙法案と投票法案が可決されれば、バイデン氏と議会民主党は2022年の中間選挙を前に、非常に重要な立法上の勝利を手にすることができる。また、民主党がホワイトハウスと議会を支配しているにもかかわらず、バイデン氏が、公約とした人種的公正に関する法律を成立させられなかったことに黒人有権者は失望している。この選挙関連法案が成立すれば、民主党の重要な票田である黒人有権者をなだめるのにも役立つだろう。

 しかし、バイデン氏の行く手を阻むのは、共和党でなく、マンチン氏のような一部の上院民主党議員であり、長年のフィリバスター規定を覆す「核のオプション」の使用に懐疑的な見方を持っている議員らだ。

 ウェストバージニア州選出の民主党議員マンチン氏は、12月にバイデン氏の1兆7500億ドルの社会福祉・気候変動法案を、物価高とインフレの懸念を理由に1人で頓挫させ、バイデン氏の経済政策全体を実質的に葬り去った。

 今回、マンチン氏は、上院は手詰まり状態で、まひしているが、法案を通過させるためにフィリバスターの60票の基準を廃止しても道は開けないと述べた。

 マンチン氏は11日、「この場をよりよく機能させるために、よいルール改正が必要だ。しかし、フィリバスターを廃止しても、よりよく機能するようにはならない」と述べた。

 マンチン氏は、フィリバスターが「世界一の審議機関」とされる上院への評判と密接に関連があることを考えれば、フィリバスターを変更することは上院を破壊することに等しいと主張した。

 今年の選挙に激戦州で立候補する上院民主党議員らは、フィリバスターを廃止するかどうか決めかねている。

 アリゾナ州選出の民主党新人で、今年厳しい再選選挙に臨むマーク・ケリー上院議員は、「今、本当に難しい立場に立たされている。だから、実際に提案があれば、検討し、国のために何がベストかを考えて評価する」と語った。

 民主党のチャールズ・シューマー上院院内総務(ニューヨーク州)は、早ければ12日にも選挙改革法案の表決を行う予定だ。もし共和党が再び法案を阻止すれば、フィリバスター規則の変更について、キング牧師生誕記念日である17日に表決を行う用意があると述べた。

 上院の少数派共和党のマコネル上院院内総務(ケンタッキー州)は、民主党が核のオプションを行使すれば、焦土戦術で上院をまひさせると宣言した。

 マコネル氏は、上院の全会一致ルール(法案を本会議に提出するには100人全議員の賛成が必要)を使って、上院をまひさせると警告した。

 「上院が基本的な雑務のために1日に何回全会一致の同意を求め、得ているか、私の同僚らは理解しているのだろうか。点呼投票が必要なものがどれだけあるか、少数派が長時間の討論を要求できる回数がどれだけあるか、理解しているのだろうか」

 民主党のリベラル派がフィリバスターの完全撤廃を求める一方で、他の議員らはそこまでの大幅な見直しは求めていない。中には、選挙改革法案を通過させるために、一度だけフィリバスターを除外することを望む者もいる。

 民主党のジョン・テスター上院議員(モンタナ州)は、「私は除外に前向きだ。これがどのように機能するか、あるいは機能しないかを見てみる必要があると思う。解決策を見いだす必要がある」

 マンチン氏は、1回限りの除外は危険な前例となり、将来、共和党が党派的な投票法案を通過させるのに利用する可能性が高いと述べた。

 フィリバスターを解除すれば、「投票自由法案」と「ジョン・ルイス投票法案」という二つの選挙改革法案成立に道が開かれることになる。

 投票自由法案は、即日有権者登録と地元の自動車局での自動有権者登録を各州に義務付けるもの。また、下院選挙に納税者支援の公的資金制度を創設し、州の選挙区画定権限に新たな制限を課す。

 ジョン・ルイス投票法は、司法省に州の選挙を監督する権限を大幅に与える。州が選挙法を実施する前に司法省の承認を得なければならないケースも出てくる。

 上院の伝統を守ることを長年主張してきたバイデン氏にとって、フィリバスター変更の要請は、大きな転換となる。

 10月のCNNタウンホールでバイデン氏は、フィリバスターについて議論するのを避け、フィリバスターは自身の経済政策を危うくしかねないと強調した。

 バイデン氏の11日の発言は、選挙公約の中心である投票権の擁護にあまり尽力していないと不満を持つ公民権団体からの数カ月にわたる働きかけを受けたものだ。

 一部の投票権擁護団体は、バイデン氏の演説をボイコットし、写真撮影をするだけで、法案を妨害してきた共和党との交渉をしていないと非難した。

 出席しなかった団体の中には、「ブラック・ボーターズ・マター(黒人有権者も大切だ)」「ニュー・ジョージア・プロジェクト・アクション・ファンド」「アジア系米国人擁護財団」、ヒスパニック系有権者を代表する「GALEOインパクト・アクション・ファンド」が含まれる。

 ジョージア州の民主党知事候補で、投票権活動家ステイシー・エイブラムズ氏も、バイデン氏の演説を欠席した。

 エイブラムズ氏は、スケジュールの都合で欠席したと伝えられている。バイデン氏は、欠席について重要なことではないと強調した。

 「今朝、ステイシーと話をした。関係は良好だ。スケジュールが会わなかった。…互いに意見の相違はない」

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