共和党、議事妨害の規則変更で民主に警告

(2022年1月23日)

2021年5月12日(水)、ワシントンでジョー・バイデン大統領との会談後、ホワイトハウスの外で記者団に話すミッチ・マコーネル上院少数党首(京)とケビン・マッカーシー下院少数党首(カリフォルニァ)。(AP Photo/Evan Vucci)

By Kerry Picket, Haris Alic and Stephen Dinan – The Washington Times – Friday, January 14, 2022

 民主党が、選挙改革法案を承認するために上院のフィリバスター(議事妨害)規則の特例を設ける「核のオプション」を発動すれば、投票基準のいっそうの厳格化への道を開くことになるかもしれない。

 政治専門家によれば、次に共和党が政権を握ったとき、フィリバスターを受けることなく、民主党による変更部分をもとに戻したり、国政選挙のあり様について自党の方針を押し付けたりすることは間違いない。

 民主党のフィリバスターがなければ、共和党は各州に有権者名簿の整理させたり、選挙関係者がまとめて不在投票用紙を集める「バロットハーベスティング」をやめさせたりできる。

 共和党によると、それだけにとどまらない。

 民主党が優先政策を承認するためにフィリバスターに例外を設ければ、次に共和党が政界で優位に立ったときに、さらに広範囲で同様の措置が取られるようになる。

 共和党のジョン・コーニン上院議員(テキサス州)は、次のようなリストを作成した。

 コーニン氏は「中絶禁止法案、憲法修正第2条に基づく全国民の銃携帯を支持する法案、さらに、国境警備の強化、軍を支援する国家安全保障法案などがあるが、これらはほんの一部に過ぎない」と話している。

 民主党は、フィリバスターと闘っている。フィリバスターは上院特有の規則であり、多数派でない党に立法行為に対する発言権を与えるものだ。そのフィリバスターが今、民主党が実現を目指している主要な政策の実現を阻んでいる。

 党幹部は今年に入り、フィリバスターの全面的廃止を検討していたが、党内からの反対を受けて計画を棚上げにしていた。そのため、選挙改革法案に例外を設けるという、限定的な戦略をとることにした。法案は、共和党が主導する州で非難されているという。

 上院多数党である民主党のチャールズ・シューマー院内総務(ニューヨーク州)はまだ戦略を検討中だが、通常必要とされる3分の2ではなく、過半数でフィリバスターを回避できるよう規則を変更する「核のオプション」を今週中に採決しようと考えているようだ。共和党が言うように、民主党は規則を変えるために規則を破ることになる。

 民主党は、フィリバスターの除外は選挙関連法案にのみ適用されると主張している。

 そうなれば、共和党にはうまく誘導できる部分が多く出てくる。

 有権者保護団体「リーガル・インタレスト・リーガル・ファウンデーション」のJ・クリスチャン・アダムズ代表は、共和党は選挙関連法案の除外を利用して、有権者名簿のずさんな管理という以前からの問題、時代にそぐわなくなった1993年のモーター・ボーター法と2002年米投票支援法といった課題に取り組むことができると指摘した。アダムズ氏によると、この二つの法律の矛盾により、非市民の有権者登録や、場合によっては連邦選挙での不正な投票が可能になっている。

 アダムズ氏は、「彼らがしなければならないことの一つは、運転免許の更新時などに有権者登録をするモーター・ボーターを一掃することだ」と述べた。

 共和党はまた、政治活動家が有権者に郵送された投票用紙を回収して提出する「バロットハーベスティング」の取り締まりも視野に入れている。共和党は、このやり方は不正や弱い立場の有権者への圧力になりかねないとしている。

 有権者の身元確認を連邦基準化することも将来的には可能だが、アダムズ氏はこの点については慎重を期すよう促し、このような法律ができれば、司法省は喜んで実施するはずだと述べた。

 かつて司法省で投票権を担当していたアダムズ氏は、「連邦基準化された場合に、それを執行する人々を知っているが、執行することはない」と述べている。

 民主党は、共和党が何をしようとしているかをよく理解している。

 ジョー・マンチン上院議員(民主、ウェストバージニア州)が、フィリバスターの規則を変更するために核のオプションを使うことに抵抗しているのは、そのためだ。

 マンチン氏は今月、記者団に「適用除外できるようになれば、いつも適用するようになる。すべてに適用されるようになる」と語った。

 民主党幹部会の他の議員らは、このチャンスは生かすに値すると述べている。

 民主党の会派に属するアンガス・キング・ジュニア上院議員(無党派、メーン州)は「リスクはあるが、民主主義を守るために取らなければならないリスクだ」と語った。

 ミッチ・マコネル院内総務(共和、ケンタッキー州)は、フィリバスターが除外された場合、環境政策や移民に関する提案など18の法案を提出する予定だという。

 聖域都市への罰則、国境で逮捕された不法移民への和解金の支払い阻止、キーストーンXLパイプラインの建設承認などが有力な提案になるとみられている。

 実際、マコネル氏は共和党が上院の過半数を占めるまで待つ必要はないとの考えを示している。

 まれにしか使われない権限だが、上院議員であれば誰でも法案を強行採決することができる。マコネル氏は、もし上院が法案審議のクローチャー(討議終結)の基準を下げれば、実行するつもりだという。共和党はすでに18の法案を提出し、行動を起こすことができるようになっている。

 民主党の中には、共和党が次に上院を支配すればフィリバスターを廃止すると予想し、民主党が今、実行し、できる限りの成果を挙げておくべきだと考える議員もいる。

 民主党のシェルドン・ホワイトハウス上院議員(ロードアイランド州)は「いずれにせよ、どのような方法を取るにせよ、彼らがそうすると信じるだけの理由がある」と述べた。

 ホワイトハウス氏によると、2013年に民主党が大統領による指名をめぐってフィリバスターを排除するために核のオプションを発動した際、共和党が強く求めたこともあって、最高裁判事候補者らは外された。その後、共和党が政権を握ると、次の最高裁判事が指名されたとき、共和党は核のオプションを発動した。

 「この点に関して、残念ながら共和党は信用できない」

 ホワイトハウス氏の2013年の記憶は、シューマー氏を含む他の民主党議員の記憶とは食い違っている。民主党トップのシューマー氏は2017年、CNNに対し、閣僚指名だけでなく、最高裁判事でも適用除外に反対したと語った。

 シューマー氏は「私は最高裁で勝ち、閣僚で負けた」と語った。

 マコネル氏は2013年、一部の指名でフィリバスターの壁を破ると、次は最高裁に適用されると民主党に警告した。

 「もし多数党幹部らが一部の判事候補承認で規則を変更すれば、最高裁を含むすべての判事候補の規則を事実上変更することになる」

 マコネル氏は2017年、トランプ大統領の3人の最高裁判事候補のうち最初の1人を、核のオプションを使ってフィリバスター規則を変更、承認し、その予言を実現させた。

 マコネル氏は今、この例を挙げて、上院で再度、核戦争を起こそうとしている民主党に警告している。

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