合衆国上院、黒人女性初の連邦最高裁判事を承認

(2022年4月12日)

2022年3月21日、ワシントンのキャピトル・ヒルで行われた上院司法委員会での承認公聴会で宣誓する最高裁判事候補のケタンジ・ブラウン・ジャクソン氏。(AP写真/Jacquelyn Martin)

By Alex Swoyer and Stephen Dinan – The Washington Times – Thursday, April 7, 2022

 木曜日に上院が行った投票は画期的なものだった。米国で初めて黒人女性が連邦最高裁判所の判事となったからだ。ケタンジ・ブラウン・ジャクソン判事が連邦巡回控訴裁判所から昇格し、間もなく空席となる連邦最高裁判所に座ることになった。

 同判事の承認には上院の民主党議員に、共和党議員3人が加わり、53票対47票で承認された。カマラ・ハリス副大統領が投票を主宰し、ジャクソン判事はバイデン大統領とともにホワイトハウスで成り行きを見守った。

 この承認によって、バイデン大統領は久しぶりに議会で勝利を手にすることができ、2020年の大統領選挙で公約した、黒人女性を連邦最高裁に送り込むことが果たされるようになった。

 投票そのものは淡々と進んだ。ジャクソン判事は指名承認公聴会を難なくこなし、結果は数週間前から明らかだった。にもかかわらず、これにより黒人女性・少女たちに新たな地平を開いた上院議員たちの歴史的意義は大きい。

 上院の与党・民主党の院内総務チャールズ・E・シューマー上院議員(ニューヨーク州)は、この日が「喜ばしい一日だった」と感想を述べた。

 「コロナ禍の陰鬱な2年が過ぎた」、シューマー議員は議場で語った。「しかし一番暗い時期にも光明はある。正に今日は明るい輝きの1日だ。もっと多くの光が照らしてくれる兆候になることを願いたい。」

 さらに付け加えて、「司法府に多様性を増すことは、私の優先課題のひとつだ」、「判事が一人承認されるたびに、連邦最高裁で誰が判事席に値するかを吟味できるのだ。」

 ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は、選挙公約が果たされたと高く評価し、「途方もなく歴史的意義のある日だ」と語った。

 共和党議員たちは、ジャクソン判事が承認審査の際に語った人生経験など説得力があったとしながらも、同判事が司法制度改革やジェンダー・人種に関する左翼的論点を批判しなかったこと、判事としての基本的な考え方について明快に回答しなかったこと、などに不満を漏らした。

 「バイデン政権は過激派に司法の舞台を提供した」と、上院・野党の共和党幹部ミッチ・マコーネル議員(ケンタッキー州)は指摘する。「この日、極左の連中は望んでいた連邦最高裁判所の判事を得ることになる。」

 共和党上院議員の大半は、ジャクソン判事がスティーブン・G・ブレイヤー判事よりリベラルになるだろうと見る。最高裁任期を終えてブレイヤー判事が正式に引退すれば、ジャクソン判事が引き継ぐことになる。

 テッド・クルーズ上院議員(テキサス州、共和党)は、「(ジャクソン判事が)連邦最高裁に奉職した判事の中で最左翼だと気づくはずだ」と述べた。

 上院共和党で唯一の黒人議員ティム・スコット上院議員(サウスカロライナ州)は、連邦最高裁と連邦巡回控訴裁判所の両方でジャクソン判事の承認に反対した。同議員が懸念しているのは、彼女が司法の場で思想的行動をしていることだ。

 「(連邦最高裁判事のような)終身任務の重みを考えれば、イデオロギーは判事が決定する際の要因ではあっても、判事のアイデンティティになってはならない」、スコット上院議員は語った。「ジャクソン判事の司法哲学と、我々の時代を特徴づける諸問題について彼女が採っている立場を考慮すれば、彼女を連邦最高裁に就けるのは誤った選択であることが明らかだ。」

 ジャクソン判事はハーバード・ロースクール卒業後、ブレイヤー判事の法律事務を助け、コロンビア特別区(ワシントン市)で8年間、地区判事、昨年6月からは連邦巡回控訴裁判所に務めた。その際、行政特権や移民など様々な問題で、ドナルド・トランプ前大統領に対抗する判決を下して、リベラル活動家たちから注目された。

 彼女はまた、2021年1月6日の合衆国議事堂襲撃に関するホワイトハウスの記録文書の公開を阻止しようとしたトランプ氏に対抗する判決を下した。さらにトランプ氏のホワイトハウス顧問だったドン・マクガーン氏に対して、前大統領弾劾調査で証言するよう求めた議会・民主党を支持した。

 2017年、ジャクソン判事は「ピザゲート」の発砲者に懲役4年の刑を言い渡した。この悪名高い事件では、ノースカロライナ州の男性がワシントンのピザ店で発砲したが、きっかけは偽の右翼陰謀説がオンラインで流布され、有力な民主党員も関与していた児童性的虐待の中心に、そのピザ店があると主張していたことだ。

 彼女はまた、トランプ政権の厳しい国外追放政策を阻止する判決を下した。その判決は巡回控訴裁判所で全員一致で覆され、同裁判所はジャクソン判事が法律の文言をでたらめにしたと批判した。

 ジャクソン判事は弁護士として幅広い経験があり、個人開業と連邦公選弁護人補佐の両方で働いてきた。彼女はまたオバマ政権で連邦量刑委員会の委員を務めた。

 ジャクソン判事は連邦最高裁の判事として6人目の女性となり、現在法廷にいる他の3人の女性、ソニア・ソトマイヨー判事、エレナ・ケイガン判事、エイミー・コニー・バレット判事に加わる。全部で9人の判事の中で、女性は半数近くになる。

 彼女はまた、米国の連邦最高裁の歴史で3番目の黒人判事となり、クラレンス・トーマス判事とともに、連邦最高裁が初めて、同時に2人の黒人判事を迎えることになる。

 ジャクソン判事が上院で53票対47票で承認されたことは、南北戦争前以来、民主党の大統領が連邦最高裁判所に指名した候補の中では、最も僅差で承認された例になった。

 民主党は連邦最高裁の判事候補者に対して、イデオロギー的な査定を課す傾向が強く、トランプ前大統領の指名した候補者たちを含め、共和党の判事候補は辛うじて承認されることが多かった。

 今回ジャクソン裁判官が僅差で承認されたことは、共和党側も同様の態度を採ろうとしていることを示した。

 リンゼイ・グラハム上院議員(サウスカロライナ州、共和党)に言わせれば、最高裁判事の承認では大統領の指名を尊重したいし、ジャクソン判事については昨年、連邦巡回控訴裁判所に就任することに賛成投票した。しかし彼女の思想的偏向を理由に、連邦最高裁判事に昇格させることには同意できなかった、と言明した。

 「我々が住む今のアメリカでは、保守的な考えを持っていると、その思想が挑戦を受ける始末だ。あなたがリベラルなら、そのすべてが受け入れられ、あれこれ難しい詮議をしないことになっている。しかしそれは我々が住みたい世の中ではない」、グラハム議員は今週、同僚議員たちに語った。

 民主党に同調した3人の共和党上院議員は、スーザン・M・コリンズ議員(メイン州)、リーサ・マーカウスキー議員(アラスカ州)、ミット・ロムニー議員(ユタ州)だった。

 ジャクソン判事が勝利できたもう一つの理由は、司法指名に関して上院での議事妨害をクリアできる規準数が60票必要だったが、過去10年間に減って、今は多数決でいいことになったからだ。

 ジャクソン判事の承認プロセスは、トランプ前大統領下で3人の判事候補者が審議されたときに比べれば、厄介なものではなかった。

 彼女の人生体験の話しと、控訴審レベルに10か月間務めただけの経験不足のせいか、政敵が攻撃する材料が少なかった。

 ただ一番注目を集めたのは、児童ポルノ犯罪者が関与した事件への彼女の対応だった。共和党側によれば、児童ポルノ嗜好者が関与するすべての事案で、彼女はガイドラインや検察官が求めたものをはるかに下回る規準の判決を下している。

 クルーズ議員が指摘した事例では、警察官がある男性のコンピューターに600枚以上の児童ポルノ画像を見つけた。量刑ガイドラインでは、重罪犯に151か月以上の収監が示唆されているが、ジャクソン判事はこの男性に60ヶ月の刑を言い渡しただけだ。

 別の事例では、幼児の性的虐待の画像が発見された。被告は有罪を認め、検察は78ヶ月以上の禁固刑を求めた。ジャクソン判事は犯罪が言語道断なものだと被告に説教しながらも、28ヶ月の収監を言い渡しただけだ。

 「一つの事案が裁判官の全てを代表しないはずだ」、ジャクソン判事は指名承認公聴会の場で共和党議員に語った。「色々途方もない事案で、100人以上に刑を言い渡してきた。どの場合も皆さんが問題にしている類の行為や証拠に裁判官として向き合い、議会が適切と判断した要素とのバランスを取ってきた。」

 民主党側によれば、ジャクソン判事の判決は、他の判事たちの判決を後追いしたものだという。

 にもかかわらず、今回の論争は児童ポルノ法に新たな関心を呼び起こし、民主党議員でさえ、議会が裁判官に酌量の余地を与え過ぎているのではないか、と言い出している。

 上院司法委員会委員長のリチャード・J・ダービン上院議員(イリノイ州、民主党)は、量刑法を再検討する時期かもしれないと述べた。

 「我々の責任ではあるが、この手の犯罪が直面している状況変化に対応できていなかった。15年、16年という期間に何が起きたか?ジャクソン判事だけが量刑の異端児ではない。連邦判事の70%が同じようなジレンマに直面していて、なぜ議会が行動を起こさなかったのか疑問視している」、ダービン議員は公聴会で指摘した。「我々はこれらのガイドラインなるものを更新すべきだ。」

 リベラルな活動家グループは、ジャクソン判事の承認を歓迎した。例えば「デマンド・ジャスティス」グループは、彼女がガラスの天井を叩き壊したと言い放った。彼女は連邦最高裁判事に就いた最初の黒人女性であるだけでなく、司法の場で最初の権利擁護者になったという。

 「ジャクソン判事が承認プロセスで放ったダンクシュートは、判事が法廷で権利擁護する時代が来たことを明らかにした。民主党は司法のすべてのレベルで、多様な分野の判事と一緒に、大胆に推し進めるべきだ」、「デマンド・ジャスティス」の主任法律顧問クリストファー・カン氏は主張した。

 しかし保守グループは、ジャクソン判事が極端すぎることを警告している。

 「ジャクソン判事はワシントンDCで、判決が上級審で覆されたケースの一番多い裁判官の一人だ。彼女が承認されれば、連邦最高裁判所の判事席から憲法と法律を盾にするので、人々はそれから先に上訴する場がなくなる」、アメリカファースト政策研究所の「法と正義センター」の共同議長で、トランプ政権下で司法長官代理を務めたマット・ウィテカー氏は警告した。

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