ウクライナ経由のロシア産燃料輸出、依然止まらず
By Joseph Clark – The Washington Times – Tuesday, April 19, 2022
ロシアによる侵攻から2カ月近くがたち、ウクライナは、依然としてロシア原油に依存する西欧のために奮闘している。
西側各国はロシアへのエネルギー依存を絶とうとしているが、ウクライナは依然、国内のパイプライン網を通じて欧州連合(EU)へのロシアの天然ガスの3分の1近くを供給しており、自国を危険にさらしながら、国内の設備を維持し、敵国経済を支援する結果となっている。
ウクライナの国営ガス会社、ナフトガスのユリー・ビトレンコ最高経営責任者(CEO)はワシントン・タイムズとのインタビューで、「ウクライナ国内でも説明するのは非常に難しい。戦争が始まってほぼ2カ月、ロシアは民間人を殺害し、その恐ろしい様子が報じられ、その一方で、私たちはロシアのガスを送り続けている」と述べた。
ウクライナは、2014年のロシアによるクリミア併合を受けて、ロシアからのエネルギー輸入を停止した。しかし、ナフトガスは、自国のパイプライン網を通じてロシアが輸出するガスを送り続け、通過する原油とガスから通行料を得ている。
ビトレンコ氏は、通行料が失われることになるにもかかわらず、欧州各国にロシアのエネルギーへの依存を減らすよう求めている。欧州がロシアへのガスに依存することで、プーチン大統領が世界に対する大きな影響力を獲得しているという指摘は多い。
「プーチン氏がエネルギー輸出から利益を得ることを止められるのなら、通行料をすべて失ってもまったく構わない。エネルギー輸出はロシアにとって最大の収入源であり、プーチン氏は殺人マシンの資金をそこから得ている。ロシアのエネルギーの禁輸が非常に重要なのはそのためだ」
EUは、天然ガスの約40%、原油の約25%をロシアから輸入している。世界は、ロシアの残忍なウクライナ侵攻を目の当たりにし、EU各国は、ロシアからのエネルギー輸入を徐々に減少させることを決めているが、EUに現実的な代替策はなく、完全な依存脱却には数年かかる可能性がある。
米国は侵攻を受けて、ロシア原油の輸入を禁止した。バイデン米大統領とEUのフォンデアライエン欧州委員長は先月、「EUのエネルギー安全保障問題に直ちに取り組み、クリーンエネルギーへの移行を加速させる」ことを約束した。
その一環としてEUは、2020年代の終わりまでにロシアからのエネルギー輸入をゼロにすることを計画、米国に液化天然ガス(LNG)の輸出増による支援を求めている。
しかし、米国からの輸出だけでは、米国よりも大幅に高騰している欧州のエネルギー価格への影響は限定的となる可能性がある。
アナリストらは、米国のLNG生産企業の生産能力はすでに最大に達しており、新たに掘削を開始して、実際に影響が及ぶほど増産し、輸出許可を得るには数年かかる可能性があると指摘している。
直ちにロシアのエネルギー輸入を停止するという計画を見直すようEU指導部に圧力をかけている欧州企業もある。輸入停止によって経済に大きな影響が及ぶ懸念があるからだ。