「ディープシーク」中国AI開発の進展に米政府・技術者が衝撃

(2025年7月31日)

2025年1月28日火曜日、北京でスマートフォンの画面に表示されるスマートフォンアプリ「DeepSeek」のページ。(AP Photo/Andy Wong, File)

By Ryan Lovelace – The Washington Times – Monday, July 28, 2025

 中国の人工知能(AI)分野での最近の急激な進展は、米国の主要研究者を困惑させている。

 中国製AI「ディープシーク」の出現はコスト効率が高いという点で画期的だったとみられ、米国の技術者にとって警鐘となったが、技術者の多くはその警鐘を無視したようだ。ディープシークが米国最先端のAI企業と同等のモデルを、低コストで開発したことは今年、多くの国家安全保障当局者や研究者を驚かせた。

 オープンAIで軍・情報当局との連携強化を担当するカトリーナ・マリガン氏は、ディープシークの登場が政府と企業の関係者双方に衝撃を与えたと述べた。

 マリガン氏は6月に行われたAI会合で、オープンAIが最初の推論モデルをリリースする前に、国家安全保障会議やエネルギー省の幹部を含む米政府の高官らと協議したと明かした。

 オープンAIは当局者らに、競合他社より4~6カ月先行していると説明していた。しかし5カ月後、ディープシークが突如登場した。

 マリガン氏はワシントンで開催されたAI+エキスポで「予想外だった。私たちに追いつき、独自にAIを持ち、モデル実現への革新的技術を再現した最初のAI研究所が、米国ではなく中国の研究所だった。それはディープシークだ。私たちや競合他社、米政府にとって衝撃的な瞬間だったと思う」と述べた。

 今月に入ってオープンAIのCEOサム・アルトマン氏は、待望のオープンウェイトモデルのリリースを無期限に延期し、「追加の安全テストを実施し、高リスク領域を見直す必要がある」と発表した。

 一部の観測筋は、中国に話題を横取りされるのではないかと考えたことが延期につながったのではないかと指摘した。アルトマン氏の発表直前に、中国のスタートアップ企業ムーンショットはオープンウェイトモデル「キミK2」を発表し、AI開発者や愛好家から大きな注目を集めた。オープンウェイトの大規模言語モデルは、ユーザーがモデルのパラメーターにアクセスし、カスタムソリューションを構築できるように設計されている。

 トランプ政権と一部の民間研究者は、米国がグローバルなAI競争で優位性を確立するために転換を図っている。政権は先週、この分野での米国の優位性を確保することを目的とした「AI行動計画」を発表した。

 一部の研究者は、強力なAIをいかに実現するかについて従来の常識に反するアプローチを取っている。

 米国の多くの取り組みは、統計的アプローチと大規模言語モデルを追求することで、人間と同等の性能を発揮する汎用人工知能(AGI)を目指してきた。

 しかし、これに懐疑的な研究者や中国の競争相手は、人間の脳の働きを模倣した別のアプローチでAGIの実現を目指している。

 6月、アップルの研究者らは、一部の研究者らと同様、大規模言語モデルが独自にAGIへ進化する可能性について懐疑的な立場を公然と表明した。

 IT最大手のアップルは、オープンAI、アンスロピック、ディープシーク、グーグルが開発した大規模言語モデルの限界を詳細に説明した「思考の幻想」と題した論文で、競合他社と一線を画した。

 論文で研究者らは大規模モデルの効果を測定するための独自のプロセスを詳細に説明している。結論として、これらの強力なモデルは、AGIを達成するために必要な特定の限界を突破できる可能性は低いと指摘されている。

 アップルの研究は、シリコンバレーから政界まで広く注目を集めている。政策立案者は、世界中の民間研究所で行われている研究についての知識不足を徐々に認識し始めている。

 米議会の超党派諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」は2024年、議会に対し、AGIの実現と獲得のための「マンハッタン計画のようなプログラム」を直ちに設立し資金提供するよう、最優先の推奨事項として提言した。

 同委は、中国の進歩を監視・調査するため、中国共産党の行動を分析し、AGIの実現が米国にとって最優先課題であるとの結論を圧倒的多数で導き出した。

 ワシントン・タイムズに対し、政策提言を巡る投票は秘密裏に行われたと述べたが、AGIが委員らのリストの頂点にあることは疑いようがないと強調した。

 マイク・クイケン委員は、中国がAGI達成に向けて異なるアプローチを取っていることは驚きではないと指摘した。

 クイケン氏は5月のワシントン・タイムズとのインタビューで、「米国が輸出管理や他のツールを用いてイノベーションサイクルを抑制しようとしても、中国のエンジニアはうまく切り抜ける。つまり、彼らは直面する問題に対して、私たちの研究所が直面する問題とは異なる別の手法や革新的な解決策を探求するようになる。私たちの研究所はより制約の少ない環境で働いているからだ」と語った。

 一部の民間情報調査機関や企業も、中国が高度なAIの台頭に備えるための取り組みに関する新たな証拠を入手している。

 例えば、戦略的情報調査会社ストライダーと、ワシントンでAI+エキスポを主催した「特別競争研究プロジェクト(SCSP)」は、6月に報告書を発表し、中国のデータセンターとAIモデルに関する取り組みの背景にある軍事的野望を詳細に説明した。

 ストライダーとSCSPの調査によると、中国初の海底AI計算施設である「海南海底インテリジェント計算センター」は、1秒間に約7000件の会話に対応可能なディープシークベースのインテリジェントアシスタントをサポートしている。

 水深約30メートルにあるこの施設は、米政府によって制裁対象となっている複数の企業の共同プロジェクトで運営されている。

 報告書は「ストライダーのデータによると、このプロジェクトに関与する主要な利害関係者は、中華人民共和国(PRC)の軍事、防衛、政府機関とつながりがあり、制限対象の団体ともつながっている」と指摘している。

 また、中国の207のAIデータセンターの住所、運用状況、計算能力、運営責任者である主要な利害関係者を詳細に記述している。

 このような情報は通常、軍事、情報などの国家安全保障当局者にとって特に有用だが、報告書は明らかに民間部門をターゲットにしている。

 ストライダーとSCSPの報告書は、人材や知的財産を失わないよう、企業がすぐに、中国軍と国家機関とのつながりの全容を把握する必要があると指摘した。

 「企業は(中華人民共和国の)国家戦略・戦術をほぼリアルタイムで追跡し、その戦術によって人と技術が同等になるタイミングを把握し、リスクを軽減するための積極的な対応を取れるようにすべきだ」

この写真は北朝鮮政府が提供したもので、1994年6月17日、北朝鮮の南浦市で西海防壁を視察するジミー・カーター元米大統領(左)と当時の金日成主席が写っている。(朝鮮中央通信/朝鮮通信社提供、AP通信経由、資料写真)

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