保守派の大勝利 ディズニーと戦う新星デサンティス知事への支持が拡大

(2022年5月7日)

保守政治行動会議(CPAC)で講演するフロリダ州知事ロン・デサンティス氏(2022年2月24日、フロリダ州オーランドで)。フロリダ州の共和党知事ロン・デサンティスは、ディズニーに挑むことで、ライバルに紛れもないメッセージを送ると同時に、彼の闘争的なリーダーシップスタイルの限界を試している。(AP Photo/John Raoux, File)

By Susan Ferrechio – The Washington Times – Wednesday, April 27, 2022

 【フロリダ州ジャクソンビル】フロリダ州のロン・デサンティス知事の快進撃が続き、他の国もそれに気付き始めている。

 マイアミ近郊の熱心な支持者らは、デサンティス氏が22日にウォルト・ディズニー社による「ウォーク(差別など社会問題に敏感)」な活動を抑制することを目的とした三つの法案に署名するのを見守った。今週に入ってからは、州北部のスポーツバーで、熱狂的な支持者らが、有権者の身元確認に関する新たな要件、選挙違反の厳罰化、選挙不正を調査する初の「選挙犯罪・セキュリティー局」を設置する法案にデサンティス氏が署名するのを見届けた。

 デサンティス氏は、「私がここで伝えたいのは、フロリダ州ほど一票が大切にされる州は、この国のどこにもないということだ」と語り、再び拍手を浴びた。

 デサンティス氏は、共和党の新星としての地位を確固たるものにした。11月の2期目の知事選、2024年の大統領選への出馬に向け、保守派の代表としての評価を高めている。

 デサンティス氏は、政治的左派の最大の敵となっている。左派は、デサンティス氏が新型コロナウイルスによる規制と封鎖に公然と反対したことを非難し、選挙区の区割りを共和党の有利なように再編したこと、投票規制、中絶制限などの新法の差し止めを求めて訴訟を起こしている。

 デサンティス氏は批判と戦いながら、共和党のロックスターに近い地位に上り詰めた。知事就任から3年、43歳のデサンティス氏が台頭したことで、2024年大統領選の他の共和党立候補予定者らは影が薄くなり始めており、党内を支配し、依然、有力候補でありドナルド・トランプ前大統領を追い上げている。

 メイソン・ディクソン・ポーリング・アンド・ストラテジーのマネージングディレクター、ブラッド・コーカー氏は、「デサンティス氏は注目を集めるという点で、他の候補者に大きく差をつけている。マイク・ペンス氏は先週何をしたか。出馬の可能性がある共和党員らが何かしただろうか。どれだけ、報道されただろうか」と述べた。

 世論調査によると、2024年の大統領選の候補者を吟味している共和党有権者の支持で、デサンティス氏はトランプ氏に迫り、場合によっては上回っている。

 デサンティス氏は、共和党がフロリダ州の上下両院を支配し、彼の立法優先事項のほぼすべてを可決してきたおかげで、議会での勝利をアピールすることができた。

 政治戦略家のフォード・オコネル氏は「ここで認識しておくべき重要なことは、ワシントンで共和党が力を失っている今、デサンティス氏とフロリダ州議会が事実上、米国の共和党を代表する議会になっているということだ」と述べた。

 フロリダ州民も同意見だ。今月行われたセントレオ大学の世論調査によると、デサンティス氏の知事としての職務遂行能力への評価は上昇傾向にある。

 フロリダ州民の支持率は58.8%で、昨秋の56.4%から上昇した。

 デサンティス氏はこの1年、新型コロナに関する義務、封鎖を避け、これがフロリダ州の力強い経済成長、観光客や新住民、企業の流入の増加につながった。

 彼は、感染拡大対策の拒否を批判する民主党の政治家を公然となじり、フロリダ州でマスクなしの休暇を楽しんでいた。

 セントレオ大学世論調査研究所のフランク・オーランド所長は、「デサンティス知事は、好調な経済と過去数カ月間の州内のコロナ患者数の少なさから恩恵を受けている。マスク不着用などでリベラル派の怒りを買って全国的に注目されているが、フロリダではそれが彼への信頼を傷つけることはないようで、全国的な知名度も上昇を続けている」と述べた。

 セントレオ大が共和党員を対象に行った世論調査では、2024年大統領選の候補者の中でデサンティス氏がトップで、64%対55%でトランプ氏を引き離している。トランプ氏を世論調査から除外した場合、デサンティス氏は66%の得票率で1位となり、マイク・ペンス前副大統領はわずか27%にとどまっている。

 フロリダ州をはじめとする共和党主導の州では昨年、フェイスブック創業者のマーク・ザッカーバーグ氏の「ザックバックス」など、個人の選挙資金投入を禁止する法律が成立した。州議会上下両院は今期、デサンティス氏の全米で最も厳しいとされる妊娠15週より後の人口中絶禁止、小学校低学年での性教育禁止法案、企業や学校での人種的不公平に関する「ウォーク」研修の非合法化などを支持した。

 デサンティス氏は今月、共和党寄りの2議席を追加する党の提案を拒否し、同州の議会選挙区の線引きを見直すことで、もう一つの大きな勝利を収めた。デサンティス氏のプランによって、共和党の優勢は4議席増と倍増した。

 デサンティス氏の区割りは、国内の他の州で民主党が区割りによって獲得した優位をほぼ一掃し、共和党が11月に連邦下院の支配権を獲得できる可能性をさらに強固なものにした。

 デサンティス氏は、先週の特別議会で土壇場で議題を追加し、ディズニーの特別税制地区を終了させる法案の可決を勝ち取った。ディズニーの巨大テーマパークは55年間、何百万ドルもの開発税を免れ、自主的な運営を許されてきた。

 デサンティス氏は、二つの法案でディズニーをターゲットにした。一つは批判的人種理論を中心とした「ウォーク」な企業研修を禁止するもので、もう一つは保守派のソーシャルメディアからの排除を禁止する州の新たな措置に従わせるものだ。

 デサンティス氏は、ディズニー幹部が、低学年へのLGBTQの議論を含む性教育を禁止する「親の教育権法案」への反対を表明したことを受けて、議会にこの法案を提出した。

 デサンティス氏は、この巨大企業を迅速に、容赦なく倒したことで、党内での地位をさらに高めたが、一部の共和党議員はこの動きを批判し、民主党議員も一斉に糾弾した。この法案は、ディズニー周辺の区域の固定資産税の引き上げにつながるという批判もあったが、デサンティス氏はこの主張を否定している。

 デサンティス氏は、ディズニー法に署名する際に大勢の支持者らを前に「法案に署名した後、ディズニーは信じられないことに、フロリダの親の教育権法案の廃止に取り組むと表明した。私は今、こう考えている。カリフォルニア州バーバンクに本社を置くこの企業が、その経済力を結集して私の州の親たちを攻撃している。これは挑発であり、反撃する」と述べた。

 民主党は、州内に数百万ドルの税収と8万人の雇用をもたらすディズニーとの戦いの結果として、デサンティス氏への支持は減少すると考えている。

 11月知事選の民主党の有力候補で、デサンティス氏の対抗馬、チャーリー・クリスト下院議員は「ディズニーを攻撃し、多くの雇用を創出し、多くの観光収入をもたらす州の経済の原動力を脅かすことは、どう考えても愚かなことだ。ロンは州経済を脅かす存在であり、11月には退場してもらわねばならない」」と述べた。

 知事選の模擬投票では、デサンティス氏がクリスト氏、同じく民主党候補のニッキ・フリード農業・消費者サービス長官を2桁差でリードしている。

 コーカー氏は、ディズニーの特別税制地区をめぐる争いがフロリダ州の有権者を刺激することはないが、州で新たに決まった15週より後の中絶禁止は、民主党に有利に働き、特に激戦区の女性有権者が民主党に傾く可能性が高いと述べた。

 「この問題は、大きな議論を招き、分断を強めると思う。ほとんどの人がこの問題に関して自分の意見を持っているはずだ。支持も、不支持もどちらも非常に多い、この先、彼に深刻な問題を引き起こす可能性がある問題があるとすれば、それは15週より後の中絶禁止だろう」

 熱烈なプロライフ(中絶反対)派のデサンティス氏は、4月14日に法案に意気揚々と署名した。これによって、連邦レベルでの中絶の合法性に関する連邦最高裁判所の判決を前に、フロリダ州も、中絶に厳しい条件を課す共和党系の州に加わった。

 デサンティス氏は「生命は私たちが保護すべき神聖な贈り物であり、この州の近代史において最も重要な生命保護を示すこの素晴らしい法案に署名できたことを誇りに思う」と述べた。

 反対派は、議会でデサンティス氏を阻止することができなかったため、差し止めを求めて提訴した。

 人権団体「全米市民自由連合(ACLU)」は、中絶法の阻止を求める訴訟を計画しており、民主党の弁護士マーク・エリアス氏は、デサンティス氏の議会区割り変更が、フロリダ州で違法とされる(自党が有利になるように区割りする)政治的ゲリマンダーであるとして、少数派グループを率いて訴訟を起こしている。

 LGBTQ活動家グループは、幼稚園から3年生までの性教育を禁止する法律を阻止するために提訴する。州の検閲にあたるというのがこの理由だ。

 教育者、会社オーナー、学生を含む別のグループは、学校や企業が従業員に批判的人種理論教育を受けさせることを禁止するデサンティス氏の「ストップ・ウォーク法」を差し止めるための訴訟に参加した。原告側は、この法律は言論の自由に関する憲法修正第1条に違反するとしている。

 ディズニー特別税制地区を廃止する法律を批判する人々は、ディズニーが性教育法案に公に反対する憲法修正第1条の権利など、複数の理由でこの法律を標的にする訴訟が相次ぐと予想している。

 デサンティス氏は、いくつかの新法に対する訴訟を予想していると述べた。法廷での結果がどうであっても、この法律によってデサンティス氏は全国的な支持を集め、フロリダ州にとどまらず、来年の共和党大統領予備選に出馬しやすくなる可能性がある。

 サウスカロライナ州の州議会議員に立候補している共和党のティム・スウェイン氏は「他の共和党知事なら、ディズニーの特別な地位を廃止する法案に署名しなかっただろう。他の共和党の知事なら、共和党が作成した区割りを拒否し、さらに要求することはないだろう。デサンティス氏は国民から与えられた権力を使っている。彼は単にレベルが違うだけだ。未来の大統領だ」と述べた。

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