米国の人工妊娠中絶率、1973年の「ロー対ウェイド判決」以降で最低に

(2022年5月8日)

2019年6月4日(火)のファイル写真で、セントルイスにあるプランド・ペアレントフッドのクリニック。(AP Photo/Jeff Roberson)

By Valerie Richardson – The Washington Times – Tuesday, May 3, 2022

 今週、米連邦最高裁の判決草稿がリークされたせいで、(女性の中絶権を認めた)「ロー対ウェイド判決」の行方に対する米国のリベラル派の警戒感がかつてないほど高まったかもしれない。だが、1973年の裁判で判決が出て以来、米国の中絶率は過去最低になっている。

 女性1000人当たり29.3件の中絶手術が行われた1980年をピークに、米国の中絶率は着実に低下している。疾病対策センター(CDC)が昨年11月に発表した報告書によると、2019年には、1973年の女性1000人当たり13.5件を下回る11.4件という歴史的低水準にまで下がった。

 2010年から19年にかけて、人口が約2000万人増加する一方で、中絶の報告件数は76万2755件から62万9898件と18%減少した。15~44歳の女性では、中絶率が21%低下した。

 保守派ラジオ司会者のエリック・エリクソン氏は、3日の投稿で、「中絶した人を知っているより、結婚したゲイカップルを知っている方が多いだろう」と語った。

 過去数十年にわたる中絶の減少は、政治勢力の両端が発するメッセージの一部が偽りであることを裏付けている。ロー対ウェイド裁判の破棄は「人道的危機」を引き起こすという中絶賛成派が繰り返す警告や、中絶を憲法上の権利として認めた同判決によって中絶手術の需要は増加の一途をたどるという保守派の懸念などがそうだ。

 「ロー対ウェイド裁判の破棄は、中絶を求める妊婦の犯罪化や妊娠関連死亡率の上昇など、女性や少女、妊婦の健康、福祉、権利に重大な影響を与え、公衆衛生と人権の危機につながるだろう」。コロンビア大学メールマン公衆衛生大学院は3日、声明でこう主張した。

 CDCの報告書は、ニューヨーク市を含む47州と報告地域の統計を利用。カリフォルニア、メリーランド、ニューハンプシャーの各州は、2010~19年のデータを報告していないため、実際の総数がもっと多いことは間違いない。

 中絶反対派の「ラディアンス財団」の共同設立者であるライアン・ボンバーガー氏は、「80万以上の罪なき人が殺されていることに変わりはなく、低いというのは本当に相対的な言葉だ」と述べた。

 中絶率が「劇的に低下」したとしても、中絶賛成派の「ガットマッハー研究所」は17年の報告書で、中絶は依然、「一般的な経験」だと指摘した。報告書によると、米国人女性の23.7%が45歳までに中絶を行うと結論付けている。

 「近年の中絶の減少にもかかわらず、中絶は依然、一般的な手術であり、ほぼ4人に1人の米国人女性が生涯のうちに中絶する」と、報告書の主任執筆者であるレイチェル・ジョーンズ同研究所研究員は指摘している。

 減少の理由としては、1950年代以降のより良い避妊方法や10代の妊娠率の急激な低下から、妊婦を支援する中絶反対派の妊娠センターの拡大まで、さまざまなものがある。興味深いのは、ガットマッハー研究所が2017年に、中絶へのアクセスを制限する州法が減少の主な理由ではないとしていることだ。

 「中絶規制は11~17年の米国の中絶率低下の主要因ではなかった」と、報告書は指摘。「むしろ、中絶の減少は、出産と妊娠全体の減少に関連しているようだ」

 もう一つの傾向は、薬による中絶、つまり中絶薬がより入手しやすくなったことだ。ガットマッハー研究所の今年2月の発表によると、20年の新型コロナウイルスの大流行によってもたらされた社会的制約が一因となって、望まない妊娠の半分以上の54%を終わらせるためにピルが初めて使用されたという。

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