命取りのバイデン国境

(2022年9月15日)

不法移民と国境開放に関するイラスト by Linas Garsys/The Washington Times

By Editorial Board – The Washington Times – Wednesday, September 7, 2022

 殺人は最も恐ろしい犯罪である。避けられたはずの殺人なら、なおさらだ。不法移民に起因する米国人の殺害は、そういった予防可能な死亡の中に数えられる。バイデン大統領の緩い国境警備が、その直接的な原因であり、進行中の悲劇を止めることを拒んだことは、バイデン氏の失敗の中でも最も無慈悲な失策である。

 バイデン時代以前は、不法滞在者が犯した殺人や過失致死の有罪判決は、5年間を通して年間平均4件未満だった。税関・国境取締局(CBP)のデータによると、バイデン大統領が就任した最初の会計年度に、その数は60件に急増した。9月30日に終了する2022会計年度では、これまでのところ、さらに53件が記録されている。

 人の内面は、天使的なものと悪魔的なものとが同じように混在しており、外見だけでは区別できない。各国は歴史を通じて、国境警備機関によって自国民を保護してきた。しかし、バイデン氏の米国は例外である。

 不法移民は毎月、南部の国境を越えて流入しており、バイデン氏就任後、これまでに最高350万人の流入が報告され、8月はさらに記録的な数字となる。この間、国外追放数は着実に減少したが、2020年4月には93%とほぼすべてが検挙されていた。CBPによると、2021年7月には、ほとんどの不法移民の滞在が許されるまでになった。不愉快なことだが、バイデン時代の国境通過者の累積総数は、間もなく米国第二の都市ロサンゼルスの人口に匹敵することになる。

 国境警備が、網戸の付いた潜水艦のように穴だらけだった大統領はバイデン氏だけではないかもしれない。例えば、トランプ大統領は、2019年5月に13万3000件の不法入国の急増に見舞われた。しかし、バイデン氏は故意に国境を開放し、現場をほったらかしにし、無理矢理、配下に後始末をさせた。国境警備隊の責任者であるラウル・オルティス氏は宣誓証言で、バイデン氏の当選以来、移民が米国に不法入国しても「大したことはない」と考えるようになっているとまで述べた。

 国境管理人らが何千人もの不法滞在者を元の場所に戻すのではなく、遠く離れた米国の都市や町に移送しており、既存の移民法を無効にするという意図を示している。したがって、違法入国者による殺人の急増は、大統領執務机の背後にいる男が容認可能な政治的コストと見なしていると判断するほかない。

 バイデン氏が、数十件という防止可能な殺人事件を容認しているとしたら、受け入れ難いと思うようになるには、何人の無辜(むこ)の民が死ななければならないのだろうか。ロシアの独裁者ヨシフ・スターリンが明らかにしたように、迫害の許容は正常化されるべきではない。スターリンの「1人の死は悲劇だが、100万人の死は統計上の数字にすぎない」という言葉は有名だ。

 善意の米国人は価値観を共有する合法移民の貢献を高く評価する。ただし、米本土に違法に入った人々のことは、あまり褒めない。彼らは、善人も悪人も同じように「歓迎」するバイデン氏の国境政策をいつまでも容認することはない。そうすることは米国を明け渡すことになるからだ。

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