バイデン:不法移民の輸送にもっと納税者負担を
By Stephen Dinan – The Washington Times – Monday, September 12, 2022
米国に入ってきた不法移民を、国内各地に移送しているのはテキサス州だけではない。連邦政府も移民を各地に移送し定住支援するために、非営利団体に数千万ドルを支払ってきた。
1980年代にホームレス対策に作成されたプログラムに則り、バイデン政権は連邦緊急事態管理庁(FEMA)を通じて資金供与をしている。
近年このホームレス支援プログラムは、国境で拘束・釈放された不法移民の米国内定住を援助する役割に取って代わられている。
バイデン大統領は国境周辺の状況が、現在の資金計画では対処できないとして、今月、FEMAの緊急食糧居住計画への新たな資金注入を要請した。
同時に大統領は、合衆国移民・関税執行局(ICE)が、全国に散在する移民の国内移動をさせられるように資金追加を求め、さらに保健福祉局が不法移民の子供たちを収容したり、より幅広い越境者支援のために18億ドルを要請した。
この要請は、10月1日からスタートする2023年会計年度で政府資金を継続するための提案に含まれた。合衆国議会は年間歳出法案審議が進捗しておらず、2022年度の資金調達レベルを来年度も継続する決議が期待されている。
そうした中でバイデン大統領は、緊急支出が必要なひとつとして移民関連支出を挙げた。議会に提出した文書でホワイトハウスは、「南部国境周辺での新たな事態」を挙げて、必要性を説明した。
上院の国土安全保障・政府問題歳出小委員会の共和党トップ、シェリー・ムーア・キャピト議員(ウェストバージニア州)に言わせれば、ホワイトハウスが要求している資金では国境危機の根本問題に着手することもできないと指摘した。
「バイデン政権は、どの継続決議の変則要件よりも、国境危機に幅広く対応するべきだ」、キャピト上院議員はワシントンタイムズ紙に声明を寄せた。「我が国では今の会計年度に流入した移民が200万人を超えた。にもかかわらず政府は、この危機を根絶できるような決定を回避し続けている。」
これまで1年半以上、バイデン大統領は移民急増に直面してきた。全般的な月毎の数字こそ下降気味だが、依然としてほぽ記録的なペースが続いている。7月には約20万人の無許可移民が国境に殺到した。その大半が拘束され、その後釈放されている。
テキサス州は移民の急増について酷評されているが、痛みを分かち合う手段として民主党が牛耳る各都市に移民をバスで移送している。同州はこれまで、希望する移民たちをシカゴ、ニューヨーク、コロンビア特別市(首都ワシントン)などに送りこんできた。アリゾナ州などは国境越えで移民をバス運送している。
しかしバイデン政権は、こうした活動のせいで、自由になった移民を追跡調査するための国土安全保障省の能力が損なわれると批判している。
その代わりとして政府は、緊急食料居住計画に移行したいようだ。1980年代のホームレス支援プログラムは、国境で拘束され、その後に釈放された移民が希望する場所に行くのを助ける主要手段になっている。
同プログラムではバス、航空機、鉄道による移動をエコノミーシート価格で支払う。また住宅や食料の支払いにも有効だ。
このプログラムは、「ユナイテッドウェイ」(二千近い非営利の資金調達組織のネットワーク)やカトリック慈善団体などの非営利団体から構成された理事会が管理している。この理事会は納税者からの資金の使途を決定しており、専門家に言わせれば、そうすることで、移民輸送に関する決定内容を一般大衆から事実上隠していると述べた。
「これは納税者のお金なのだ」、移民研究センターの法務担当アンドリュー・アーサー氏は語る、「米国民はこれらのお金がどう使われているのかを知る権利がある。」
特にニューヨークや首都ワシントンの首長たちは、彼らの行政地域がテキサスからの不法移民で氾濫させられたと非難しており、問題は具体的だ。また連邦政府も移民の一部を輸送している、とアーサー氏は指摘した。
緊急食料居住計画で電話に応対してくれた女性は、メディアからのあらゆる問い合わせは、FEMAに照会するよう指示されていると断った。そこでワシントンタイムズ紙がFEMAに連絡したところ、担当者はホワイトハウスに質問内容を照会してくれたが、本記事までに回答はなかった。
アーサー氏によると緊急食料居住計画は、越境者たちへの役割が、ホームレス支援を追い越した。今の会計年度に、同プログラムのホームレス関連に1億3000万ドルが割り当てられ、移民関連に1億5000万ドルが支給された。
情報非公開の要素を考えれば、緊急食糧・居住計画から移動に伴う費用を支払われた移民の総数や、どのくらいの金額が支弁されたのかを知ることは不可能だ。 テキサス州は金曜日、バス運送プログラムで移送した移民が1万人を越え、内訳は7,900人が首都に、2,200人がニューヨーク、300人がシカゴに移送されたと発表した。
地元報道によると8月中旬の時点で、移送した移民の総数が8,000人に達するまでに、テキサス州は1400万ドルを費やしていた。
識者によれば、テキサス州は連邦政府がやるべき業務にお金を払っていると言う。
バイデン大統領の着実な努力
大統領は緊急食糧・居住計画に資金増額を求めるだけでなく、前述の合衆国移民・関税執行局(ICE)内の資金を、「輸送と移転」事業にシフトする許可を求めている。
ICEは定期的に、移民たちを米国内の目的地に航空運送しているが、国境での違法移民の急増と、拘束・釈放政策により、そのフライトの頻度は劇的に増加している。
フライト数が増加するにつれて注目も高まり、地元記者が「秘密裏の」深夜到着便について報じたように、移民の移動について内々にしておきたいようだ。
アーサー氏は、外国移民の交通費を米国政府が支払っていることが、国境越えを促す一つの刺激剤になっていると述べた。「米国に来るために密輸業者に7,000ドルを支払った人々のために、米国民の税金を使うべきなのか」、アーサー氏は疑問を投げかける、「彼ら移民たちはお金を持っているのだ。さもなければ彼らは米国に来ていないはずだ。」