バイデン政策の痛い教訓

(2022年9月29日)

バイデンのエネルギー政策シャレード イラスト:Greg Groesch/The Washington Times

By Editorial Board – The Washington Times – Sunday, September 25, 2022

 今年の夏、米国民が旅行を控え、需要が減って、ガソリン価格が下がったことは間違いない。また、バイデン大統領の方は、供給量を増やすために、米国の戦略石油備蓄(SPR)を放出した。

 エネルギー省のデータによると、バイデン氏の監視下で、SPRは6億4000万~4億5000万バレルも使い尽くされ、現在、1984年10月以来の最低水準にある。バイデン氏による同国の非常用備蓄からの1日100万バレルの原油放出は、来月で終わる予定だ。米国の消費者は、中間選挙の直後に、ガソリン、灯油、ディーゼル燃料の価格急騰を予想している。

 バイデン大統領による破れかぶれのSPR放出は米国人を無防備状態にさせる政治的策略であり、何の有意義な救済策にもなっていない。エネルギー価格は、バイデン氏が就任した時よりも約70%上がったままだ。さらに、備蓄は緊急用のものであり、11月の選挙に勝つためのものではない。

 バイデン氏は、国内の石油とガスの生産に宣戦布告をした。内務省は今年4月、連邦政府所有地リースのロイヤルティー料率を引き上げ、利用可能な面積を80%削減すると発表した。5月には、オフショアリースの販売をキャンセルした。いわゆる「インフレ低減法」は、国内のエネルギー生産者のコストを増加させ、税金を引き上げる。民主党は、新しいパイプライン建設を阻止し、意図的に許可プロセスを遅らせている。

 一方、ロシアが欧州のエネルギー供給を遮断すると脅迫しているため、米国はこれまでで最も多い国産の液化天然ガスとディーゼル油の欧州への輸出を強いられ(米国の備蓄をさらに削減することになり)、プーチン大統領がウクライナの戦争を激化させているため、世界の石油供給は依然、豊富で、中東の産油国は、これまでのところ、生産を増やすことを拒んでいる。

 従って、全米エネルギー支援責任者協会(NEADA)によると、米国の家庭用暖房の平均コストは、昨年の冬から17.2%上昇し、10年余りで最高の1202ドルに達すると予想されている。

 エネルギー省によると、原油からつくられるディーゼル油と灯油は、ニューイングランドの5年間平均を63%下回り、メリーランドからニューヨークまでの5年間平均を58%下回っている。米エネルギー情報局によると、暖房用オイルとディーゼル油の在庫は、2000年以来、季節的に最低水準にある。

 北東部では、冬の家の暖房は灯油に大きく頼っており、マサチューセッツ州では24%、メーン州では60%以上の家庭が暖房油に依存している。

 先週、これら二つの州の知事と、他の四つの州の知事が、グランホルム・エネルギー長官と会談し、冬に向けて燃料費が高騰することへの懸念を表明した。だが、州知事らは、バイデン政権に国内エネルギー生産者への攻撃をやめ、生産を拡大する政策を採用するよう懇願する代わりに、より多くの連邦緊急準備金を放出し、ジョーンズ法を放棄するよう求めた。ジョーンズ法は、米国内で建造され、米国人スタッフがいる米国の船のみに米国の港の間で商品を移動させることを可能にする法律である。

 これらの解決策のどれをとっても、すでにインフレに押しつぶされて、病んでいる米国民に、冬に向けて必要な安堵(あんど)や快適さを与える可能性は低い。

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