未来は自由を指向している
By Editorial Board – The Washington Times – Thursday, September 29, 2022
変化が起きようとしている。停滞した政治的抑圧からの脱出への圧力が、通常なら見られないところ、歓迎されないところで噴出している。ロシアとイランでほぼ同時に発生した政情不安は、権威主義に対する根本的な人間の嫌悪感を押しつぶすことはできるが、根絶することはできないことを示している。大きな困難があっても、未来は、自由を指向している。
1年近くかかったが、ロシアのプーチン大統領による、隣国ウクライナへの不当な侵入は、ロシア国内からの反発を招いた。プーチン氏は先週、失速した攻撃を復活させるために、18歳から60歳までの男性市民を動員し、軍務に就かせることを命じた。ロシアの兵士が命令を拒否したというニュースや、ウクライナの地で集団墓地が発見されたというニュースが流れ、日頃、政治的反対の意思表示をしない人々の間からも、反発の声が強まっている。
大規模な抗議運動によって、モスクワやサンクトペテルブルクで、数百人もの人々が逮捕された。何万人もの男性が、戦争に参加することを拒否し、近隣の国に逃げようとしている。あるロシア人男性はCNNで、「戦争はしたくない。誰かの野望のために死にたくない」と語った。この男性は、トルコでの休暇から家族をロシアに送り返し、自身はトルコにとどまっている。
プーチン氏はクレムリンから、ウクライナ領と、彼が現在ロシア人と見なしている住民の支配を維持するために「利用可能なあらゆる手段」を用いるように遠回しの脅しを繰り返した。彼は世界最大の核兵器を指揮している。だが、プーチン氏が核を使用すると脅しても、腹の据わったウクライナ人も、世界中の青と黄色のリボンを着けた支持者も、怒ったロシア市民も、素直に屈服するつもりがあるようには見えない。
イランでも同じように、体制に反発するようなムードが漂っている。22歳のマフサ・アミニさんが、ヒジャブ(イスラム教の女性が顔を隠すために用いるスカーフ)の着用の仕方が不適切だという理由で逮捕され、警察による拘束中に死亡する事件が起きたからだ。テヘランを含む40の主要な人口集中都市で、市民が街頭に繰り出し、怒りの声を上げた。抗議者らは、ヒジャブ着用の義務付けや制度化された女性差別の廃止を求めた。
国営メディアによると、約1200人が逮捕され、警察との街頭衝突で数十人が死亡した。ムッラー(イスラム教指導者)率いる政府の鉄拳であるイスラム革命防衛隊は、抗議者を特定するよう市民に訴えている。
当局は、反対運動のニュースを抑え込むために、全国的なインターネット切断を命じたが、IT富豪イーロン・マスク氏が、騒乱に関する情報を求めるイラン人が(巨大衛星通信網)スターリンクの衛星サービスを利用できるようにすることで制限を回避する手伝いをした。
中国の習近平国家主席が、台湾海峡の向こう側で独立志向が高まっていることに焦りを覚えているが、怒った市民が恐れることなく抗議を行うシーンは、彼の弾圧への意思に対する警告となる。
トーマス・ジェファーソンは「自由の樹を元気づけるには時々、愛国者と暴君が血を流す必要がある」と言った。それは願望ではなく、人間の欲望を観察した結果出た言葉だった。邪悪な連中だけが流血にうつつを抜かしているが、自由のために闘うということは、間違いなく、人間のDNAに根付いているものなのである。