法律顧問がウォーク文化に対抗する力を得る

(2022年10月29日)

2016年11月16日(水)、ニューヨークのトランプタワーでメディアの取材に応じるフェデラリスト協会上級副会長(当時)のレナード・レオ氏。(AP Photo/Carolyn Kaster)

By Stephen Dinan and Alex Swoyer – The Washington Times – Sunday, October 23, 2022

 その人物は連邦最高裁の再編成に力を貸した。トランプ元大統領の下で裁判官の保守回帰を進めた原動力のレナード・レオ氏は、現在、「ウォーク」政治をめぐる広範囲の文化戦争に焦点を合わせ、それを成し遂げる現金の山に座っている。

 レオ氏の「マーブル・フリーダムトラスト」は、政治献金としては史上最高とされる寄付を受け取った。シカゴ在住の実業家バーレ・サイド氏から16億ドルを受けとったのだ。ニューヨークタイムズ紙が夏に第一報を流した時、リベラル活動家に衝撃波が走った一方、保守派はレオ氏と関係を作るための提案作りに余念がなかった。

 レオ氏は法律の枠を超えて何ができるか熟考するのが愉しみだと語った。

 「我が国の保守派による法的闘いのおかげで司法の文化に大きな影響を与え、合衆国憲法と伝統的な法の原理をしっかり遵守するようになった」、レオ氏はワシントン・タイムズに宛てた声明で述べている。「我々が目下構築しているインフラと人材ネットワークは、法律分野を超えて、米国人の暮らしの他の諸分野にも深い影響を与えるはずだ。」

 レオ氏は重要な司法テーマを討論する中道右派のフォーラム「連邦主義者協会」を率いるため、約30年を費やした。この団体について評論家は、連邦裁判所が右旋回できた軸だったと指摘している。

 ジョン・G・ロバーツ・ジュニア司法長官と、サミュエル・A・アリート・ジュニア判事の議会承認を得る際、レナード・レオ氏はブッシュ政権と連携するために休暇を取った。他にも、初めは大統領候補ドナルド・トランプを助け、その後はトランプ大統領に協力して裁判所判事人事に深く関与した。

 例えばレオ氏はトランプ氏を助けて、彼の選挙キャンペーンが2016年に公表した裁判官候補者リストを作成し、プロライフ(胎児の生命を尊重して、人工妊娠中絶の合法化に反対する立場)の人々や、その他の保守支持者と連帯を強めた。そして政治の新米で、まず無理だ、と思われていたトランプ氏をホワイトハウスに送り込んだ。

 その後もレオ氏は、トランプ大統領が3人の最高裁判事を就任させ、数十人の保守派の判事を下級裁判所に就けるのを助けた。その多くは連邦主義者協会のメンバーだった。

 そうした業績を知っている極左の活動家たちは、レオ氏が10億ドルもの資金をフルに費やして一体何をするのか、懸念を強めているところだ。

 「アメリカンウェイの同志たち」の上級研究員エリオット・ミンクバーグ氏は、レオ氏の政策に同意しないが、彼は「途方もなく影響力のある政治人だ」と述懐した。

 「充分に認知されているのに、静かに発揮されるパワー、それこそレオ氏が獲得したものだろう」、ミンクバーグ氏は語った。「それはレオ氏の大きな成果だ、私はそれを認めるしかない。」

 ある保守派の活動家はレオ氏の現在について、「マーブル・フリーダムトラスト」の新財源を活用したくてたまらない中道右派の諸団体から押し寄せてくる要望に包囲されていると表現した。

 確かに保守系の活動家たちは興奮している。これほどの資金が流れこんできたおかげで、民主党左派を応援するリベラル系団体に数百万ドルの政治資金を提供して米国政治の潮流を変えてきたジョージ・ソロスのような億万長者に、対抗する助けになるからだ。

 もちろん皆が皆、レオ氏を褒めそやしているわけではない。ある人は、彼がお金の流れを「独り占め」して、保守の運動を停滞させていると批判した。

 「マーブル・フリーダムトラスト」は企業でなく、信託という性格もあって、公開情報などはほとんどない。

 「マンハッタン研究所」の上級研究者イリヤ・シャピロ氏によると、レオ氏は自らが「話題」にならないよう、舞台裏で物事を進めるのを好むタイプだと指摘する。

 「レオ氏自らが個人として認知されたり注目されるためではなく、社会に影響を与えるために活動している」、シャピロ氏は評した。「彼は親しみやすく、賢明かつ実質的なタイプだ。」

 リベラル派の活動家が怖れているのは、レオ氏の控えめな態度と並外れた成功実績が組み合わされた時だ。

 シェルドン・ホワイトハウス上院議員(民主党、ロードアイランド州)は長い間、連邦主義者協会とレオ氏を悩ませてきた人物だ。同議員は、いわゆる闇金、つまり 選挙資金に適用される全面的で厳格な公開規準を経ずに、政治活動や広報に使える資金の不正を告発してきたのだ。

 「マーブル・フリーダム・トラスト」にたなぼた式の現金が舞い込んできたことが明るみに出た時、ホワイトハウス議員はレオ氏の新たな手口に懸念を示した。

 「レオ発の闇金ネットワークが有権者を押さえつけ、偽情報を流し、『批判的な人種理論』をでたらめに攻撃したり、バイデン大統領の推薦候補者たちを攻撃するのにも資金を提供するだろう。そうした場面をもっと多く見ることになるだろう」、ホワイトハウス議員はツイッターへの投稿で警告した。

 無党派の監視グループを自任するAccountable.USも、レオ氏の財務面に重点を置いて注目している。

 同グループは今月公表した報告書の中で、レオ氏の潤沢なふところに恩恵を受けた十二団体を紹介している。それによれば同報告書は、政治的影響力を監視し、「強力な右派団体および、それらに資金提供して影響力を行使している大口拠出者との関係を明らかにする」ための新プロジェクトの一貫だという。

 「米国に新たな危険を招くかも知れない、未知の最高裁判所の任期が始まるにあたり、レナード・レオ氏や、右派の非主流ネットワークに数十億ドルを投入した超裕福な資金提供者たちは、彼らの投資の見返り、すなわち上級裁判所が民主主義を侵し、一般市民よりも特権的少数者を庇護する判決を下してくれるのを首を長くして待っているはずだ」、Accountable.USのカイル・ヘリグ社長はそう批判した。「レオ氏のグループが背後から公共政策に指示を与えるのを許容できない。」

 こうした苦言はレオ氏にとって目新しいものではない。ニューヨークタイムズ紙によると、レオ氏は2015年から2021年までも、5億ドル以上の資金で政治活動に関与したという。

 「公正選挙プロジェクト」はレオ氏の情報源のようなもので、上級裁判所で12月から審理される予定の「ムーア対ハーパー」公判に関与している。

 この一件はノースカロライナ州での選挙審査を求めたもので、州の裁判所は議員らが線引きした選挙区域割を拒否した。共和党が多数派を占める議会は、州の裁判所を除外すべきだとの立場だ。その根拠にしているのは憲法で、国会議員を選出する「時間、場所、方法」は「各州毎に、その議会によって規定される」という部分だ。

 「公正選挙プロジェクト」は、ノースカロライナ州の共和党議員たちの主張を支持し、最高裁判所に摘要書を提出した。

 レオ氏傘下の他のグループには、保守的な広報・コンサルタント機関である「司法危機ネットワーク」、「85基金」、CRCアドバイザー、BHグループが含まれている。

 グリーン企業政策を標榜した「環境・社会・ガバナンス」イニシアチブに対抗してきた「消費者調査社」も、レオ氏傘下の一機関だ。

 「マーブル・フリーダムトラスト」は、批判的人種理論や、ビジネスと政治で「ウォーク」文化と闘う団体を支援するだろう。資金を拠出される団体は、イベントの開催、広告の運営、メディアでの闘いなど、さまざまな活動分野にまたがるだろう。

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