海底ケーブルを守れ
By Editorial Board – The Washington Times – Wednesday, November 2, 2022
海底で何やら怪しいことが進行している。悪意ある連中が、一風変わった水仕事に関わっている疑いが高まっている――連中は死のマーク付きの敵対者と言えるものではなく、水中で光ファイバーケーブルを破壊しようとしている。国際紛争が激化する中、米国は、世界中の海に張り巡らせている重要な通信網を保護するための警備を強化する必要がある。
最近の数週間に、シェトランド諸島とオークニー諸島を経由してフェロー諸島とスコットランド本土を結ぶ海底ケーブルが二つの別々の事件で切断され、北大西洋諸島のインターネット接続が機能しなくなった。今年初め、マルセイユ市をリヨン、ミラノ、バルセロナと結ぶ海底ケーブルが意図的に切断されたとケーブルの運用会社が報告した。ノルウェーの離島にある衛星地上局を本土に接続するケーブルや、同じ近隣地区の潜水艦の活動を監視する一つの水中センサーに接続されているケーブルが切断された。
地球の海洋には、500本近くの海底ケーブルが120万キロにわたって延びている。これらが全部で、世界の音声およびデータ通信の95%を担うネットワークを形成している。
トロール船によって投下された漁網や錨(いかり)が海底ケーブルに絡まると、通信は切断される。しかし、北方海域での最近の一連の事件は、ウクライナに仕掛けたロシアの戦争によって、ロシアと欧州が対立しているさなかで発生した。ロシアの天然ガスがバルト海を通って、エネルギー不足の欧州に向けて運ばれるノルドストリーム1および2のパイプラインの爆破が、明らかに妨害行為であることを考えると、通信ケーブルの脆弱性の問題も、正に破壊行為によるものであることは明らかである。
ロシアの漁船が海底ネットワークを意図的に標的にしている疑いが強まっている。ハイ・ノース・ニュース紙によると、脅威分析会社「リスク・インテリジェンス」のハンス・ティノ・ハンセン最高経営責任者(CEO)は、「シェトランド海底ケーブルの切断がトロール船によって行われたと主張する人たちに対しての答えはどうかと言えば、イエスである――しかし、トロール船は、それをわざとやっているのであって、間違ってそうしたのではない」と語っている。
事件が意図的であろうと、偶発的であろうと、ロシアは、敵の通信を妨害する手段としてケーブルを切断できる潜水艇を所有していることで知られている。そして、台湾を吸収するという中国の脅しに対抗する上でも、台湾が海底通信ケーブルを頼りにしていることを考えれば、ケーブルの保護は、米国の中心課題とすべきである。
米海軍は、公海の保護者としての役割を担う中、ケーブルの敷設と修理ができる唯一の船、艦齢40年のゼウスを運用している。9月の議会調査局の報告書には、海軍が国家緊急事態の場合に備えて、2隻の商船を待機契約下に置いていることを指摘している。報告はまた、国際的な攻撃が高まっている今、十分な修理能力が米国にあるかどうか疑問視している。
報告書は、また、国土安全保障省に、より強力な役割を与えるよう推奨している。議会は2015年に、民間部門と協力して、陸上通信システムのセキュリティーを強化するように指示されており、国土安保省に「海底ケーブルのセキュリティーと回復力の強化」に取り組ませることはできるはずだ。
光ファイバーケーブルのネットワークは重要であり、海中での怪しい行動からこれらのケーブルを守るために、追加の保護手段が必要であることは言うまでもない。