環境団体と政策当局者が、ガス器具・装置の廃止を内々に画策

(2023年1月31日)

ガスコンロの上に置かれた鍋(File Photo credit: DGLimages via Shutterstock)。

By Susan Ferrechio – The Washington Times – Thursday, January 26, 2023

 消費者製品安全委員会のリチャード・トルムカ委員長は今月、ガスストーブを合衆国全土で禁止しよう、と主張した。それは化石燃料排除の活動を潤沢な資金で推進している一群の左派系シンクタンクの声を代弁したようだ。

 ある環境団体はそのネットワークを通じて、全面的に電力利用に切り替えるキャンペーンを強めている。ロッキーマウンテン研究所、シエラクラブ、その他のグリーン促進派は、2050年までに世界経済の「ネットゼロ」を実現する一環として、全米の地域コミュニティでガス機器を禁止する運動に成果を挙げている。

 一部識者によると、こうした流れに弾みをつけたのは、2019年7月、ニューヨーク州ポカンティコにあるロックフェラー家の邸宅で「ロックフェラー・ブラザーズ基金」が主催した2日間の会議だったという。この会合には、いくつかの州政府高官ら数十人と、ロッキーマウンテン研究所、ジョージタウン気候センター、エネルギー財団など、グリーンエネルギー関連団体が招かれた。

 参加者は天然ガスその他の化石燃料の排除を加速し、地域における再生可能エネルギーを基調にした電力への転換を迅速に進める方策を検討した。

 会合に招かれた州政府関係者には、ニューヨーク州のエネルギー・環境担当のデール・ブリック副長官(当時)、オレゴン州知事室のニック・ブロッサー首席補佐官(当時)、ロードアイランド州環境管理局のジャネット・コイト局長(当時)、ワシントン州のジェイ・インスリー知事の上級顧問クリス・デイビス氏、さらにニュージャージー州フィル・マーフィー知事の首席政策顧問キャスリーン・フランジョーネ氏が含まれていた。

 会合の議題には、「ネットゼロの建造物」、炭素税を含む「炭素価格戦略」などが提案された。

 議題説明では、「州知事・州議会が確立しようとしている大胆な気候目標に呼応し、それを加速する最も有望な方法を共同で戦略作りをして」、州のアクションが「連邦政府に影響を与え、さらに連邦政府のアクションが世界レベルの気候問題協議の中でどう位置づけられるべきか」を話し合うと謳われていた。

 ロックフェラー・ブラザーズ基金で持続可能開発助成プログラムを担当するマイケル・ノースロップ氏が書いた会合メモには、「各州が天然ガスを廃止するロードマップを模索している」、「ガスを廃止し移行していく最善かつ最初の取っ掛かりは建造物にあるかも」とあった。

 首都ワシントンを拠点にする弁護士クリス・ホーナー氏は、エネルギー政策擁護グループを代表して、ロックフェラー・ブラザーズ基金による会合資料を入手したが、ワシントン・タイムズ紙に、あの二日間の会議では「地域レベルで展開されている議論がまとめられていた」と指摘した。

 その会合には、建造物や輸送分野で炭素排出量を削減しようと積極的に動いている州から多くの参加者があった。

 コネチカット州のエネルギー・環境保護局のケイティ・ダイクス局長もその一人だ。コネチカット州ではネッド・ラモント知事(民主党)が5月、2040年までに同州に炭素ゼロ電力網を設置する目標を設定した法案に署名した。またオレゴン州では、ケイト・ブラウン知事が2021年に、州の電力二社に対して、二酸化炭素の排出量削減目標を2030年までに80%、2040年までに100%にする計画を提出するよう求めた法律に署名した。

 会合に顔を出した団体の中には、政府がグリーンエネルギー政策を考案するために大きな役割を果たしているところもあった。

 ニュージャージー州のマーフィー知事は、ロッキーマウンテン研究所に、向こう五年間のエネルギーマスタープラン策定の中核的なコンサルタント業務を委託した。2020年発表の同計画では、すべての新規および既存の建物を電化して、エネルギー消費を削減し、天然ガスその他の化石燃料に代わる洋上風力および地域的太陽電力プログラムを確立して、「2050年までに100%クリーンエネルギーを達成する」という。

 消費者製品安全委員会のトルムカ委員長がガスストーブ禁止を示唆した一日前に、ロッキーマウンテン研究所はガスストーブと喘息の関連性を示唆する研究を公表した。その内容に目新しいものは少なく、プラスチック製の防水シートで完全密閉した部屋に置いたガスストーブからの二酸化炭素排出量を調べるなど、過去に苦笑を誘った研究の同工異曲だった。

 そのため懐疑論者は、州や地域社会に再生可能エネルギー計画を強要するような、リベラル派ネットワークの強引なやり方に疑問を隠さない。そうしたネットワークは最もリッチな米国人に資金提供を受け、その中にはグリーンエネルギー技術に多額の投資をしている者もいる。

 電気化は実装に費用がかかり、エネルギーコストが上昇し、電力網に過負荷をかける可能性が高いといった批判もある。

 「エコ活動団体は、不人気な気候・エネルギー関連政策を国にアピールする左派の最善の方便なので、彼らがワシントン政界で最も資金提供を受けやすい団体の一つなのだ」、こう指摘するのはキャピタル・リサーチセンターの上級投資オフィサーであるヘイデン・ルートヴィヒ氏だ。「心配なのは、エコ活動家らがバイデン大統領の政治課題を操る運転席に陣取って、気候関連の過激主義を連邦政府の様々な機関に優先テーマとさせていることだ。石炭との戦いの前線を天然ガスにも拡大し、家庭暖房、ストーブ燃料、電力網の電力供給まで戦線にしようとしている。連中はすでにマサチューセッツ州、ニューヨーク州、カリフォルニア州で一定の勝利を収めたが、それで止めないだろう。」

 バイデン政権は国民の抗議を受け、冒頭のガスストーブ禁止というトルムカ氏の提案を直ちに撤回した。消費者製品安全委員会のアレクサンダ・ホーエンサリチ議長は、「ストーブのガス排出量を調査し、健康リスクに対処する新たな方法を模索している」と語った。

 同委員会のパティ・デイビス報道官は、ガスストーブ禁止に関連した、同委員会スタッフとロッキーマウンテン研究所との会合記録はないと言明した。「個々の委員が参加した会合については話せない」、デイビス報道官は語った、「我々は製品の危険性について外部団体が議論に参加することを歓迎している。」

 「設計者」誌によると、ロッキーマウンテン研究所の三十人のスタッフが勤務している建物は、全館暖房やエアコン装置がなく、砂岩、亜鉛、ヒノキ科のビャクシン材などで作られ、環境に優しい構造だという。スタッフのために、通風・暖房の装置を実験するバッテリー駆動「ハイパーチェア」が備えられている。

 また建物の壁と天井は野菜ベースの素材で作られ、暑い午後には液状化して熱吸収し、夜には固形化する。外気の温度が下がると放熱して、冬には室内温度が摂氏20度台になるという。

 この建物の建設コストは約1400万ドルで、炭素循環が実現できる職場環境のモデルとして建てられた。しかし批評家の中には、ニュージャージー州のエネルギー政策のひとつ、全ての化石燃料利用を終わらせることに共鳴したロッキーマウンテン研究所の非現実的な意欲を示すだけだ、と見る向きもある。

 「(ニュージャージー州の)マーフィー知事はエネルギー総合計画の大半をロッキーマウンテン研究所に外部委託した」、消費者エネルギー連盟で大西洋中部を担当しているマイク・バトラー氏は指摘した。同連盟は、実際的で環境的に持続可能なエネルギー政策を支持する団体だと主張している。

 バトラー氏は、ロッキーマウンテン研究所について「望ましい形の非常に真剣で、解決志向型の団体だ、と見ることはできない」と手厳しい。

 同研究所がニュージャージー州のために策定を助けたエネルギー五年間計画は、消費者と納税者が背負うコストの予測と、州内の天然ガスその他の化石燃料を排除する性急な日程表について、実現可能性の点で大きな反発に直面している。

 マーフィー知事は今週予定だった同計画の公聴会を突然キャンセルした。その代わり、「クリーンエネルギーの将来に向かう経済的コストと利益、および固定資産税納付者へのインパクトなどを、しっかり把握する」ための再評価を求めた。

 ロッキーマウンテン研究所は、天然ガスを含む化石燃料の使用を思い切って終わらせ、国を再生可能エネルギーに転換する明確な目標を持って、ブルームバーグ・ファミリー財団、ロックフェラー・ブラザーズ財団、オーク財団など、国内で最も裕福でリベラルな寄付者の資金提供を受けている。

 同研究所のスタッフは、ワシントンタイムズのインタビューの求めに応じなかった。

 こうしたグリーンエネルギー関連団体は米国各地、最近では特にメリーランド州モンゴメリー郡で、実質ゼロ排出政策の実施を加速するのに貢献している。シエラクラブのメリーランド支部は、2026年末までに新たな建造物の天然ガス禁止を満場一致で可決するように郡議会に陳情活動を行ったからだ。

 「シエラクラブは、この法案可決を強く促した約二十の地方・州、気候関連、超宗教団体などと提携した」、同クラブ関係者は祝賀の声明で述べた。「我々は法律がなるべく早く発効することを切望している。」

 シエラクラブは企業、財団、左派諸団体から資金提供を受けている。公共政策問題のインフルエンサーの支出を追跡している「キャピタル・リサーチセンター」によると、資金提供者には、ブルームバーグ慈善基金、マッカーサー財団、ブルーグリーン同盟、クレイグス・リスト慈善基金、衣料ブランドのREI、ホールフーズ・マーケットなどが含まれている。

 同クラブは、地球を救うためには化石燃料を排除すべきだ、と主張している。

 シエラクラブは、将来世代の地球に被害を与える恐れがある「気候の緊急事態、プラスチック汚染の危機、生物多様性の崩壊」などに直面している今、国は「汚い化石燃料」から脱却しなければならない、と主張している。

 ニュージャージー州が天然ガス禁止に熱心なのは、ガス排出量統計にも根拠がある。2050年までのネットゼロ排出目標を支持する国家資源防衛評議会のニュージャージー州エネルギー政策担当者であるエリック・ミラー氏は、同州の炭素排出源として二番目に大きいのがガスを利用する建物だと指摘した。

 「そのために我々としては、その分野の排出量を如何にして、迅速かつ手頃な価格で削減するか、そして実際にそれらの建物に居住している人々の暮らしを改善する方法を検討しているのだ」(ミラー氏)。「これまでに見た大概の実例と状況から推して、電気化が非常に有望な選択肢だと思う。」

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