ブラックリスト入り中国企業への技術輸出が横行
By Bill Gertz – The Washington Times – Tuesday, February 28, 2023
米国の技術情報が中国軍の強化に使われるのを防ぐというバイデン米政権が発表した方針にもかかわらず、米商務省は昨年6カ月間に、中国に対する230億ドル相当の米機密技術売却を承認していたことが分かった。
商務省産業安全保障局(BIS)のアラン・エステベス商務次官は、下院外交委員会が開いた中国共産党による「侵略」への対応に関する公聴会で、米国の技術が中国軍や情報・治安機関を助けることを防ぐために「あらゆることをしている」と述べた。
先月28日に行われたこの公聴会は、下院で多数派を握る共和党によって初めて企画された公聴会の一つだ。バイデン政権は中国により厳しい態度を取るよう求める議会の党派を超えた圧力にさらされているが、公聴会は政権が今後2年間に直面する状況を表している。
下院外交委員会のマイケル・マコール委員長(テキサス州選出・共和党)は、中国への戦略的技術の流出を遮断することに成功しているというバイデン政権の主張に真っ向から反論した。
マコール氏によると、商務省は昨年1~3月に、禁輸対象の「エンティティー・リスト」に指定された中国企業に対して230億ドル以上相当の機密品輸出を承認した。
商務省は2020年と21年に、米当局者が中国情報機関とつながりがあると指摘する中国拠点の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)に約600億ドル相当の輸出を承認。また、中国の半導体受託生産大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)には同じ期間に400億ドルの米国製機密品の購入を許可したことを、マコール氏が明らかにした。
「両社は(中国共産党の)軍事企業であり、エンティティー・リストに指定されている」と、マコール氏は述べた。「もしBISが無分別に機密技術の販売を許可し続ければ、中国共産党は米国の発明を米国に対して利用することを証明したことになる」
エステベス氏は、中国への輸出は国務省や国防総省などの政府機関の審査を経て承認されており、エンティティー・リストに指定された品目の海外販売が自動的にブロックされるわけではない、と述べた。
エステベス氏は「エンティティー・リストは全面的な禁輸措置ではない」と主張。また、華為技術とSMICは特定の輸出管理規制の適用対象であると付け加えた。
華為技術は世界最大の携帯電話メーカーの一つで、中国で最も成功したグローバルハイテク企業の一つだが、トランプ前政権によって一部の機密技術の購入が制限された。エステベス氏によると、SMICは昨年10月に導入された規制により、先端半導体の購入が禁じられた。
中国へのさらなる輸出ライセンスについて、エステベス氏は「再審査中」と語ったが、これは一時停止を意味する。
同氏によると、バイデン政権の発足以降、計160の中国企業がエンティティー・リストに指定されたという。
マコール氏は公聴会後の声明で、商務省が中国への230億ドルの機密品輸出を承認したことは「全く驚くべきこと」だと述べた。同氏は、当局に対し、許可政策を改め、輸出拒否を強化するよう促した。
「われわれは現在、世界のパワーバランスを巡る争いの真っただ中にいる。その主戦場がテクノロジーの主導権だ」。マコール氏はこう述べた上で、ブラックリストに指定された中国企業のうち輸出ライセンスが拒否されたのはわずか8%だと付け加えた。
ダニエル・クリテンブリンク国務次官補(東アジア・太平洋担当)は、公聴会で議員に対し、バイデン政権の対中政策アプローチは、より危険な衝突を防ぎながら、激しく競争するものだと説明した。