ウクライナで苦戦のロシア、東アジアでミサイル試射
By Andrew Salmon – The Washington Times – Tuesday, March 28, 2023
岸田文雄首相のウクライナ訪問から1週間、米空母が合同訓練の一環として韓国に停泊した28日にロシアは、日本海に向けて対艦ミサイル2発の試験発射を行った。
ロシアは、高速ミサイル艇2隻が、日本海のウラジオストクの南にあるピョートル大帝湾での訓練中に、100キロ離れた模擬目標に向けて2発のミサイルを発射したと発表した。モスクワ・タイムズによると、発射されたのは巡航ミサイル「モスキート」で、音速の3倍の速さで飛行でき、射程は160キロ以上という。
ロシアは先週、ツポレフ95「ベア」戦略爆撃機2機を日本海を飛行させ、地域の緊張を高めたばかりだ。
ロシアと日本の関係は、第2次世界大戦後の領土問題を巡って緊張してきた。日本はロシアのウクライナ侵攻に反対する北大西洋条約機構(NATO)主導の連合で積極的な役割を果たしている。
岸田首相は日本のメディアに対し「ロシア軍の動きを監視し続ける」と述べた。林芳正外相は、ウクライナでの作戦に加え、ロシア軍は「極東でも活動を強化している」と述べた。
米韓軍事演習に北朝鮮は強く反発しているが、ロシアのミサイル試射のタイミングがこの演習の影響を受けたものかどうかは不明だ。バイデン米政権は、北朝鮮が、ウクライナで枯渇したロシアの兵器を補充するために砲弾を供給していると非難している。
一方、2017年以来最大の米韓演習が朝鮮半島と周辺海域で行われ、北朝鮮は反発を強めている。
北朝鮮は先週、核搭載可能な水中ドローンの実験を実施したと発表し、28日には戦術核弾頭と称するものを公開した。
また、米空母ニミッツが28日、韓国の釜山に寄港した。米、英、韓国の海兵隊が参加する上陸訓練は、29日に韓国の東海岸の沿岸で実施される。
ロシアのミサイル試射が、朝鮮半島でのこれらの動きに合わせて行われたかどうかは不明だ。
苦戦するロシア海軍
ロシア軍はウクライナで兵器の供給に苦しみ、1960年代に設計された戦車を保管庫から取り出して前線で使えるように改良している。太平洋地域に配備されている軍備も、優秀とは言い難い。爆撃機ベアは1952年、モスキートは1984年に配備された。
ロシアの太平洋艦隊は2個旅団の海軍歩兵部隊を擁しており、両部隊はウクライナ戦線に派遣されている。
ウラジオストクを拠点とする第155旅団は、ブレダールの町への一連の襲撃に失敗して壊滅し、カムチャツカを拠点とする第40旅団は、その前の戦闘で大きな被害を受けた。
ロシアの黒海艦隊は、昨年4月に旗艦である巡洋艦モスクワが撃沈された後、ウクライナの海岸線から退いた。開戦間もなくロシアに占領されたスネーク島(ウクライナの海岸から35㌔離れた前哨基地)は6月に、ウクライナ軍が奪還した。
大陸国家ロシアの海軍は歴史的にも、能力に定評があるわけではない。
1904年から1905年にかけての日露戦争では、太平洋艦隊が日本軍に敗れ、ロシアのバルチック艦隊からの援軍が必要になった。バルチック艦隊は過酷な航海の末、対馬海峡で日本に沈められ、産業化時代にアジア勢が欧州勢を破った初めての例となった。
第二次世界大戦で、ソ連の太平洋艦隊が重要な役割を果たしたのは最後の3週間だけで、ソ連の満州・朝鮮への攻撃を支援し、日本から南サハリンと千島列島の一部を奪取した。日本は現在も奪われた四島の返還を求めている。