「住所間違い」銃撃事件は犯罪への恐怖と不安が要因

(2023年5月7日)

2023年4月19日(水)、ミズーリ州カンザスシティで、1週間前にレスターに撃たれた16歳のラルフ・ヤールが助けを受けた隣家の車道から、84歳のアンドリュー・レスターの家(右)が見える(AP Photo/Charlie Riedel)。

By Sean Salai – The Washington Times – Thursday, April 27, 2023

 全米で相次ぐ「住所間違い」の銃撃事件は、犯罪に対する恐怖心の高まりやストレス、そして銃のせいだと分析されている。

 米心理学会の年次報告書「米国におけるストレス」などの研究によると、犯罪率の上昇、銃乱射事件、政治の分裂、インフレ、人種差別論争、ピークを過ぎた新型コロナウイルスパンデミックなど、大人たちはかつてないレベルの不安と闘っていることが明らかになっている。

 「人々は過敏になり、フラストレーションとストレスを感じ、そして強力な武器で武装している」。こう指摘するのは、サンタクララ大学で教鞭(きょうべん)を執る米心理学会員の臨床心理学者トーマス・プランテ氏だ。「われわれは今、『私たち対彼ら』という危険な精神を持っている」

 最近の警察の報告によると、以下のような私有地に誤って侵入した若者に所有者が発砲するケースが起きている。

 ▽ミズーリ州カンザスシティーで4月13日、兄弟を迎えに行くために誤った住所に行った16歳の黒人少年ラルフ・ヤール君を住宅所有者のアンドリュー・レスター氏が射殺したと、警察が発表している。84歳のレスター氏は4月19日、郡裁判所で第1級暴行と武装犯罪行為の重罪容疑に対して「無罪」を主張した。

 ▽フロリダ州デイビーでは、アントニオ・カッチャベール氏(43)が4月15日、インスタカート(米国の食料品配達サービス)の配達中に誤って自宅敷地内に乗りつけてしまった2人の10代の車のタイヤに向けて拳銃で数発を発射したと、警察は報告している。

 保守派は、カージャック、住居侵入、殺人、強盗の急増によって、法を順守する市民を守る政治家や法執行機関の指導者に対する信頼が低下したと指摘している。

 下院共和党は最近の公聴会で、ニューヨーク当局に対し、全米最大都市で過去2年間に暴力犯罪が増加したことについて質問した。ニューヨーク市警の犯罪統計によると、1月1日から4月16日に、重暴行は前年同期比で約8%、自動車盗難は約11%増加したという。

 保守派は、相次ぐ「住所間違い」事件について、銃器そのものではなく、神経過敏の銃所有者が原因だとしている。

 「社会への信頼が低下し、犯罪が増加する中、人々がすでに緊張状態にある時、こうした悲劇的な事件が増えるのは驚くことではない」。マンハッタン研究所の憲法研究部長であるイリヤ・シャピロ弁護士はこう指摘した。「銃所有者は、自宅を守るための憲法上の権利が予期せず私道に止まった車に発砲することを許可するものではないと認識する必要がある」

 2020年3月の新型コロナウイルスによるロックダウン開始以来、銃の販売は記録的に急増している。全米射撃スポーツ財団(NSSF)の最新の統計によると、今年3月の新規銃器購入時の身元確認は160万件で、48カ月連続で100万件を超え、過去最高を記録している。

 銃業界団体は、この販売数の多さについて、身の安全に不安を抱く女性やミレニアル世代、黒人の間で初めて銃を所有する人が急増しているためだとしている。

 一方リベラル派は、寛容な銃規制や家主が侵入者を撃退するために死に至るような武力の行使を認める「スタンド・ユア・グラウンド法(正当防衛法)」などの保守的な州の政策を非難している。

 共和党が主導する幾つかの州では、銃規制が緩和されている。フロリダ州では、4月にロン・デサンティス知事がほとんどの公共の場での銃の携帯の許可制を撤廃する法案に署名した。

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