FBIの内部告発者が直面する厚いハンディキャップ

(2023年6月6日)

2023年2月9日、ワシントンのキャピトル・ヒルで行われた下院司法小委員会の公聴会で発言するジム・ジョーダン委員長(オハイオ州選出、左)。(AP Photo/Carolyn Kaster, File)

By Kerry Picket – The Washington Times – Tuesday, May 30, 2023

 米国の連邦捜査局(FBI)の問題を内部告発した人物が、そのしっぺ返しを受けた場合、頼れる味方も得られず、面倒な行政手続きを余儀なくされて、しかも自らに有利な結果を得るのは稀だ、内部告発の事情に詳しい有力弁護士はそう指摘した。

 内部告発の事案をフォローしてきた司法省のデータは、そのことを裏付けている。「FBIが(告発者に)適用する手順は、同機関でおとなしく務める人々に適用しているものとほとんど同じだ」、内部告発を扱ってきたダン・マイヤー弁護士は、ワシントン・タイムズ紙とのインタビューでそう語った。

 内部告発者の問題が最近、首都ワシントンで脚光を浴びる理由は、FBIの従業員が連邦議会に群れをなして、米国の法執行のトップ機関であるFBIで、高官による政治主導の捜査や、偏向著しい組織運営、幹部の不正などが次々に告発されているからだ。

 FBI内でのそうした内部告発への対応のあり方は、過去数十年にわたって吟味されてきた。批評家は政治的立場の違いに関わらず、FBIが組織幹部の不祥事を一般職員から告発されたとき、それを捜査することに腰が重かったり、頭からはねつける傾向があると批判してきた。

 そうしたメンタリティは、J・エドガー・フーバーがFBIを率いた時代にさかのぼる、と批評家は指摘する。司法省の過去十年のデータを見ると、FBIの内部告発者に加えられた報復措置に対する苦情が、司法省の調査によって立証されたケースは極めて少なかった。

 例えば2022年に司法省は、FBI内部告発者に報復を図ったとの苦情を、前年度の未処理28件をふくむ122件扱った。その0.008%、つまり一件だけが報復を認定し、別の2件で調停が成立した。

 FBI内での告発が報復の対象になったかを判定する司法省の調査の頻度は、共和・民主どちらの政党がホワイトハウスや連邦議会を牛耳っていても、過去10年間変わらなかった。

 かつて国防総省の監察官事務所を率い、内部告発の実情を調べたマイヤー氏は、報復と判定された事案が全体の1%未満だということは、隠蔽があったことの明白な証拠だと断言した。

 「それは連邦議会を、連邦捜査局から引き離すために仕組まれたものだ」、マイヤー氏は報復事案の実証率は3%から11%になるのが妥当だ、と指摘した。

 「内部告発に健全に対処していれば、実証率は3%から11%になるだろう。国防総省監察官事務所で民間での報復事案を調査したとき、実証の割合は40%になって、多くの関係者を怖がらせたことがある」、マイヤー氏は述懐した。「分別のあるスタッフが関わり、調査員が報復の現場に実際に足を向けていれば、実証率が0.008%ということはない。ずっと高いはずだ。」

 マイヤー氏によれば、メリック・ガーランド司法長官は「その低い実証率の数字に困惑し、議会は恥を知るべきだ」。「こんな報告書を受け取って、公聴会を開かないでいられるだろうか。」

 司法省は、内部告発のそれぞれの成り行きを記録するよう義務付けられている。1997年にクリントン大統領は司法長官に対して、内部告発事案の処置に関する年次報告書を提出するよう求める大統領令に署名した。同報告書には、前年度に受理した内部告発者から報復の苦情を受けた件数、それらの処理方法、未解決の件数などを明記することが求められている。

 トランプ大統領の2018年には、内部告発者に対する報復の新規事案が98件、司法省で受理され、他に前年の未決分が28件あった。そのうち報復の事実が立証されたのは一件だけで、他に二件が解決された。

 オバマ大統領の下の2016年には、2015年の未決17件を含む44件の、内部告発者に対する報復事案が司法省に受理された。そのうち一件で報復が確認され、7件が調停された。

 内部告発の係争を専門にしている弁護士は、FBIの内部告発者が直面している不公平なシステムについて、連邦議会は徹底的に見直すべきだ、と見る。

 「もっと確実な法的保護が必要だ」、2021年1月6日の連邦議事堂での暴動に関して、政府見解に疑念を呈して報復を受けた、と議会証言したFBIのマーカス・アレン氏を弁護したトリスタン・リービット氏はツイートした。

 もっと積極的な声には、FBI内部の告発者が合衆国の司法システムに関与できるよう求める向きもある。例えば、全国内部告発者センターのスティーブン・コーン理事長はフォックス・ニュースに次のように語っている、「(内部告発をした)FBIスタッフには連邦裁判所に赴く権限を与え、本当の権力、すなわち保護能力を持つ裁判官に関わってもらえる権利を与えるべきだ。」

 「現行法では、告発者たちは司法省のシステム内で処置されるが、その司法省は彼らの告発に報復したかもしれない。しかも告発者が控訴する先は、大統領が任命した司法副長官で、その決定は最終的で、それへの控訴はできない。告発者たちは裁判官に加勢してもらうこともできず、厳しい報復に直面しても極めて弱い立場なのだ」、コーン理事長は指摘した。

 連邦議会が内部告発者の保護という近代的なシステムを確立した際、FBIの内部告発者に対する報復を禁じた。だが他の法執行機関、例えば米国麻薬取締局、連邦保安局、シークレットサービス、アルコール・タバコ・爆発物・銃器局などの内部告発者が頼みにできる何物も、FBIの内部告発者には与えられなかった。

 一例を挙げれば、FBI以外の機関の内部告発者は、独立機関である米国特別検察官室(OSC)に対して、報復を受けている旨の苦情を申し立てることができる。しかしFBIの内部告発者はOSCに訴え出ることに制約がある。

 昨年までFBIの内部告発者は、連邦メリットシステム保護委員会(MSPB)という、政府機関の行動に対する苦情を聴取し、関連機関に是正措置を命じる力を持つ機関に、報復事案を訴え出ることができなかった。

 しかし12月に議会が可決した国防権限法の条項のおかげで、FBIの内部告発者も他の法執行機関のように、MSPBに訴えることができるようになった。だがFBIの現在の解釈では、MSPBに訴えることができるのは、同法が成立した12月以降にFBIの内部告発者が訴えた報復事案のみだ。

 下院・司法委員会で最近証言したリービット氏(前掲)はMSPBへの訴えに関するFBIの立場は、同機関が内部告発者の権利を依然として踏みにじっていることを物語る、と主張した。

 「これまでの経過を見れば、内部告発者に対する標準的な保護の適用からFBIを除外したのは間違いだった」、リービット氏は主張した、「そのおかげで一貫性が弱まり、欺瞞や腐敗が助長されている。」

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