子供の性転換治療めぐり民主、共和が衝突

(2023年7月31日)

2023年6月10日土曜日、インディアナポリスのプライド・パレードで歓声をあげるフラワー・ニコルズ。トランスジェンダーの子どもたちが性別移行ケアを受けることを禁止する新しい法律の制定に、アメリカ中の家族が奔走している。(AP写真/ダロン・カミングス)

By Susan Ferrechio – The Washington Times – Thursday, July 27, 2023

 下院議員らが27日、子供への性別適合(性転換)治療を巡って衝突した。こういった治療は、有害で、取り返しがつかず、本人がよく理解しないまま実施されているという批判があるにもかかわらず、増加傾向にある。

 民主党議員らは、性別適合治療に関する公聴会は右派イデオロギーに基づくものにすぎず、「安全で効果的な」トランスジェンダーケアを侵害し、医学界で認められた未成年の子供への医療処置を決定する親の権利を侵害すると考えている。

 共和党は、子供への親の権限を守り、精神的に未熟な子供が不可逆的となることもある性転換治療を受け、恒久的な損失を受けるのを防ぐための法案を検討していることを明らかにした。

 下院司法委員会「憲法と小さな政府小委員会」のマイク・ジョンソン委員長(共和、ルイジアナ州)は、「バランスを取る必要がある。議会が果たすべき役割があると考えている」と述べた。

 クロエ・コールさんは12歳で性同一性障害と診断された。13歳~17歳までサンフランシスコ・ベイエリアで、医療保険大手カイザー・パーマネンテの「ジェンダー専門家」の治療を受け、16歳で両乳房切除術を受けた。だが、1年後に女性に戻り、現在は子供の性別適合治療への反対を訴えている。

 7月27日に19歳になったコールさんは議会での公聴会で、「私はかつて、自分は間違った体に生まれたのだと思い込んでいた。信頼していた周りの大人たちもそれを肯定し、私に生涯にわたって取り返しのつかない害をもたらした。米国史上最大の医療スキャンダルの被害者として話したい。この問題を終わらせ、他の弱い立場のティーンエイジャー、子供、若者が、私が経験したような苦しみを味わうことがないようにする勇気を、あなた方が持ってくれることを願っている」と訴えた。

 共和党主導の下院が連邦法による対応を検討する一方で、保守的な州では18歳未満への性別適合手術を禁止する動きが出ている。

 これまでのところ、21の州が未成年者の性別適合治療を制限または禁止する措置を取っている。裁判所の命令により、五つの州でこの法律が差し止められている。

 この共和党主導の公聴会では、性別適合治療に関するさまざまな問題が取り上げられ、親の権利や生物学的男性の女子スポーツへの参加なども扱われている。

 民主党の主張はこうだ。共和党は「憎悪に満ちた」公聴会で、民主党が以前から守ってきた親の権利を排除しようと画策しており、トランスジェンダー医療に対し誤った捉え方をし、親に子供がそのような治療を受けるのを阻止させようとしている。

 メアリー・スカンロン下院議員(民主、ペンシルベニア州)「ジェンダー・アファーメーション・ケア(性別違和を持つ人々への治療)は安全で効果的だ。これに議論の余地はない。ジェンダー・アファーメーション・ケアを急進的なジェンダーイデオロギーと決めつける人々は、重要な医療を非合法化させようとしている右派の主張を繰り返しているだけだ」と訴えた。

 公聴会でコールさんが証言し、ある医師が子供たちに行う性別適合手術について説明する動画が冒頭に流されても、民主党議員らは、認可されている子供へのジェンダー治療は非外科的だと主張した。

 「レズビアンのための全米センター」の法務担当ディレクター、シャノン・ミンター氏は、民主党側の証人として証言し、コールさんが経験したような事例はまれであり、ジェンダーの問題で医学的な助けを求める子供たちに施すことが認められている治療は、社会的サポートと薬物療法だけであり、手術ではないと述べた。

 「トランスジェンダーの若者に処方されているのとまったく同じ薬が、40年以上前から他の症状を抱える他の若者にも処方されている。これらの治療法が有効であることを示す研究は数多くある。精神衛生への影響、生活の質、対人関係、家族関係を改善し、自殺を劇的に減らしている」

 ミンター氏は、子供に対するジェンダー治療を州が禁止することは、「全米のトランスジェンダーの若者の健康と安全に深刻な脅威をもたらす」と言う。

 米小児科学会と米医師会は、子供の性別適合治療を支持している。

 厚生省は、思春期ブロッカー(二次性徴抑制ホルモン)は子供には問題ないとしている。同省職員らは、思春期早期のホルモン療法は部分的に可逆的だと指摘している。

 同省は、「性別適合手術は、一般的に成人期に行われ、ケース・バイ・ケースで思春期にも行われる」としている。

 ところがコールさんは、思春期ブロッカーとホルモン療法によって身体と声は変わり、元には戻らなくなったと話している。コールさんはエストロゲン(女性ホルモン)値を下げるためにルプロンを処方された。食品医薬品局(FDA)はこの薬を性別適合治療用として承認しておらず、認知障害や骨量減少につながる可能性があると警告している。

 コールさんと両親は、リスクの一覧を含む同意書に署名しなければならなかった。その中には、コールさんが現在抱えている恒久的な問題についての記述もあった。

 コールさんは、両親が治療に同意したのは、医師が男性に移行させなければ死ぬと警告したからだと主張した。

 「どんなに情報を与えられても、これに同意することはなかっただろうと思う。両親はこれに署名することを要求された。でも、それは強要されてのことだった。本当の同意ではなかったと思う。強制だった」

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