女子パワーリフティングでもトランス選手が頭角 大差で優勝、記録更新も

(2023年8月24日)

2016年8月13日土曜日、ブラジルのリオデジャネイロで開催された2016年夏季オリンピックの重量挙げ男子94kg級で、リフトに挑戦する前にバーベルを握るケニアのジェームズ・アデデ。(AP Photo/Mike Groll)

By Valerie Richardson – The Washington Times – Monday, August 21, 2023

 カナダのパワーリフティング選手、アン・アンドレス氏の名前を聞いたことがある米国民は少ないかもしれないが、この記録破りのアスリートは、カナダ版リア・トーマス(米国のトランスジェンダー競泳選手)として急速に頭角を現している。

 カルガリー出身の40歳のアンドレス氏は今月初め、女子マスターズ選手権で2位を463ポンド(約210キロ)上回る成績を出し、複数のカナダ記録と非公式世界記録を樹立して優勝し、大反響を呼んだ。

 かつて「カナダ最強の女」と呼ばれたパワーリフティング選手エイプリル・ハチンソン氏は、その成功には理由があると言う。アンドレス氏は女性であることを自認しているが、生物学的には男性だ。

 ハチンソン氏はワシントン・タイムズに「アンの記録は女子パワーリフティングでは前代未聞だが、アンは40歳の260ポンドの男だ。すべての記録を奪い、すべての記録を持っている」と語った。

 カナダ・パワーリフティング連盟のカナダ西部選手権で、アンドレス氏はスクワット、ベンチプレス、デッドリフトの3種目で合計1317ポンドを記録し、合計854ポンドの2位のスジャン・ギル氏を大差で破った。

 8月10~13日までマニトバ州ブランドンで開催されたこの大会は、アンドレス氏にとって40歳以上の選手によるマスターズ・カテゴリーでの初めての試合であり、スクワット、ベンチプレス、デッドリフトの3種目で体重84キロ(185ポンド)以上の選手のカナダ記録を樹立した。

 また、スポーツ専門誌「フィットネス・ボルト」によれば、アンドレス氏はデッドリフトとトータルで非公式のマスターズ女子世界記録も樹立した。

 この記録更新に、NCAA(全米水泳連盟)の全米代表に12回選ばれたライリー・ゲインズ選手を含む、性別スポーツの擁護者らが反発、カナダのジャスティン・トルドー首相は「女性(と現実)を著しく軽視している」と非難した。

 ゲインズ氏は「TikTok(ティックトック)」への投稿で「アンドレス氏の記録は、男子パワーリフティングとしては普通。カナダ・パワーリフティング連盟が女性アスリートを差別していることが原因だ」と指摘した。

 ほぼ毎日インスタグラムに投稿しているアンドレス氏は優勝を受けて、この大会の仲間意識の強さを強調しながら、「カナダ中の友人たちとリフティングができた。私を歓迎し、愛し、そこにいてほしいと願う友人たちがいる」と書いた。

 2日後には批判的な人々を一喝、「誰も頼んでいないのに、わざわざ女子スポーツを救おうとする人がいるなんてびっくり。縄張りが欲しいのなら、その縄張り(トランスジェンダーに対して排他的な過激フェミニスト)に行けばいいだろ。自分がだめ人間であることを認め、味方のふりをするのはやめろ」と投稿した。

 国際的な陸上競技連盟が公平性のためにトランスジェンダーの参加に関する規則を厳しくしている今、カナダ・パワーリフティング連盟は反対の方向に動いている。

 同連盟は今年に入って発表した最新の指針で、ホルモン抑制を求めることなく、選手が性自認に基づいて競技に参加することを認めた。また、競技者の性自認に関するいかなる情報の開示も拒否している。

 指針には「例外とすることができるのは、スポーツ団体が、ホルモン療法が高い水準で公平な競技の場を作るための合理的かつ真正な要件(すなわち、正当であり、必要であること)であることを証明する証拠を提出できる場合」と記されている。

 連盟としては、この問題に関してほとんど選択の余地はないのかもしれない。2017年の法律C-16は、「性自認と性表現」に基づく差別を違法としている。

 アンドレス氏との対戦を拒否しているハチンソン氏は、「私は手紙を書いてきたし、他の女性たちも手紙を書いてきた。アンが出場する前(今月初め)に、『アンを出場させるなら、私は棄権します、辞めます』という手紙を書いた人がいたのに、何もしてくれなかった。完全に無視された。そして、私は声を上げたことで出場停止処分の脅迫を受けた。カナダの現状はこうだ。かなりクレイジーだ」と述べた。

 ハチンソン氏は、彼女とアンドレス氏の間に「以前から深い因縁」があることを認めた。

 「私は、彼が生物学的に男性であることを誰よりも早くから知っていた。私に告白してきたたからだ。彼は『実は、僕は男なんだ』と言ったので、私は『女性とパワーリフティングを競うべきではない。完全に不公平だからだ』と言った。それで私たちの友情は断ち切られた」

 アンドレス氏は4月の投稿で、「反トランスグループからの組織的な攻撃があり、エイプリル・ハチンソン氏の憎悪に満ちたメッセージと相まって、私の人生は地獄と化した」と訴えた。

 「彼女はヘイトグループを組織し、全米大会に行き、私に抗議した。彼女は何度も私を男呼ばわりし、私の邪魔をした。彼女は一度も敬意を払ったことはない」

 アンドレス氏は20歳を過ぎてから女性に転換したと言われており、今月に入って引退するまではオープンカテゴリーで圧倒的な強さを誇っていた。パワーリフティング情報サイト「オープン・パワーリフティング」に掲載されているように、2019年~2023年にかけて、11大会中9大会で優勝し、2位1回、3位1回を記録している。

 アンドレス氏が男子パワーリフティングに出場すればどうなるだろう。ハチンソン氏は、5000位以内に入ることさえできないだろうと言ったが、これは3月にチーム・カナダ・パワーリフティングのヘッドコーチであるアビ・シルバーバーグ氏が指摘したことだ。

 シルバーバーグ氏は、ひげを剃ることもせず、アルバータ州で開催された女子パワーリフティング大会に出場し、ベンチプレスで370ポンドを記録し、275ポンドだったアンドレス氏の記録を軽々と破った。連盟のトランスジェンダー指針に明らかに反する発言だ。

 数週間後、アンドレス氏は字幕付きのトレーニングビデオを投稿、「忘れないでほしい。私はトランスジェンダーだから強いのではない」と述べた。

 「私が強いのは、どの試合にも参加するからだ。参加すべきでない時でも、試合には臨む。カエルみたいに気まぐれに性転換したから、魔法のようにベンチやデッドリフトができるようになったんじゃない。誰よりも努力したからだ」

 だが、すべての女子選手がアンドレス氏の参加に反対しているわけではない。女子パワーリフティング選手のエリカ・ラング氏らカナダの選手は、アンドレス氏を擁護するコメントをインスタグラムに投稿している。

 ラング氏は先週、「親愛なるトランス嫌いの皆さん。私は誰にもどう思っているかを聞かれたことはありません。マスターズ女子100キロ超級に出場しています。気にかけているふりをするのはやめてください。アンは私の友達だし、いい女よ。めちゃくちゃ素晴らしい選手よ」と投稿した。

 パワーリフティングはオリンピックの種目ではないが、アンドレス氏はおそらく世界選手権の有力候補だろう。国際パワーリフティング連盟のマスターズ選手権は10月8~15日までモンゴルで開催される予定だが、アンドレス氏が出場予定かどうかは不明だ。

 世界陸上、世界水泳、国際自転車競技連盟、国際重量挙げ連盟は、昨年トーマス氏が登場して以来、女子スポーツの出場資格を厳しくした。

 トーマス氏は、NCAAディビジョン1女子でタイトルを獲得した初の男性出身競泳選手となり、トランスジェンダー擁護者らから喝采を浴びると同時に、スポーツは性別で分けるべきだと主張する人々からは反対の声が上がった。

 ワシントン・タイムズはカナダ・パワーリフティング連盟にコメントを求めた。

ワシントンD.C.にあるジョージ・ワシントン大学のキャンパスにあるジョージ・ワシントンの像。写真提供:Roman Babakin(Shutterstock経由)。

ジョージ・ワシントン大医学部、入学選考で違法な差別 司法省が指摘

(2026年09月03日)
2026年6月30日、マサチューセッツ州ローウェルの野球場と住宅街を見下ろすように、マークリー・グループが建設したデータセンターがそびえ立っている。(AP通信/マット・オブライエン撮影)

中国ボットがデータセンター建設反対へ影響工作 Xが指摘

(2026年09月02日)
2026年5月1日、ニューヨークのワシントン・スクエア・パークで行われたメーデー集会で演説するニューヨーク市長ゾーラン・マムダニ氏。(AP通信/岩村由紀撮影)

極左「シャンパン社会主義」 反資本主義運動を主導する富裕層出身者ら

(2026年09月01日)
米議員や保護者団体は26日のSNS大手メタ(旧フェイスブック)との画期的な和解を歓迎する一方、子供をインターネット上の被害から守るため、議会はなお連邦基準を制定する必要があると訴えた。

メタ、子供のSNS依存対策で和解、最大171億ドル 州が提訴

(2026年08月29日)
2025年10月3日、ラスベガスで行われたWNBAバスケットボール決勝プレーオフ第1戦、ラスベガス・エイセズ対フェニックス・マーキュリー戦の前に、WNBAコミッショナーのキャシー・エンゲルバート氏が発言する。(AP通信/ジョン・ロッカー撮影)

WNBAが自ら招いた広報上の失態

(2026年08月27日)
2023年3月21日、ボストンにて、ChatGPTの出力画面が表示されたコンピュータ画面の前に置かれた携帯電話に、OpenAIのロゴが表示されている。(AP通信/マイケル・ドワイヤー撮影、資料写真)

米調査、国民の大半がAIを利用する一方で不信感も

(2026年08月20日)
2025年8月22日(金)、テキサス州オースティンの州議会議事堂で、トランスジェンダーのトイレ使用を禁止する法案に反対する抗議者たちが女性用トイレを占拠した。(AP通信/エリック・ゲイ撮影)

民主党、トランスジェンダー政策の復活へ新戦略

(2026年08月17日)
州選出の上院少数党院内総務チャック・シューマー議員(民主党)が、2026年7月21日火曜日、ワシントンD.C.の連邦議会議事堂で行われた定例政策昼食会後、記者団に語った。(AP通信/アリソン・ロバート撮影)

シューマー氏、上院多数派院内総務の奪還へ左派の取り込みが不可欠

(2026年08月13日)
引退したバスケットボール選手のロイス・ホワイト氏

元NBA選手がトランス公表 女子リーグ参戦か

(2026年08月12日)
2026年2月26日木曜日、ニューヨーク州チャパクアにて、有罪判決を受けた性犯罪者ジェフリー・エプスタインに関する議会調査の一環として米下院議員の前で証言した後、ヒラリー・クリントン元国務長官がチャパクア舞台芸術センターの外を歩いている。(AP通信/岩村由紀撮影)

ヒラリー氏、急進左派に主流派との和解呼び掛け

(2026年08月11日)
→その他のニュース