民主、オバマ夫人に高まる期待 バイデン氏に不安-米大統領選

(2023年9月7日)

全米オープンテニスの開会式でスピーチするミシェル・オバマ前大統領夫人(2023年8月28日月曜日、ニューヨークにて)。(AP Photo/Jason DeCrow)

By Dave Boyer – The Washington Times – Friday, September 1, 2023

 オバマ元大統領のミシェル夫人の名前が、2024年大統領選のバイデン大統領に代わる民主党候補として、一部の民主党議員のウィッシュリストに載り続けている。保守派によれば、このような異常事態の一因は、バイデン大統領の息子ハンター氏の捜査によって、選挙前にバイデン家の資金疑惑を巡ってさらに不利な情報が明らかになるのではないかとリベラル派やメディアが懸念していることだという。

 世論調査では、民主党有権者の少なくとも半数がバイデン氏の2期目出馬を望んでいない。バイデン氏は80歳で、すでに米国史上最高齢の大統領だ。息子の海外でのビジネスを通じて、バイデン氏が影響力を行使したのではないかという疑惑が次々に浮上し、不満は依然として強い。

 バイデン氏が落選する可能性があるとしても、後任についてのコンセンサスは得られていない。カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事、カマラ・ハリス副大統領、ピート・ブティジェッジ運輸長官らへの支持はさらに低い。

 不安を感じた民主党支持者の一部が、大統領夫人だったミシェル氏への支持を強めている。同氏はホワイトハウスでの8年間、夫よりも人気があったからだ。

 先月の世論調査でも民主党支持者の間での支持は、バイデン氏より高い。

 ニュースサイト「センター・スクエア」による世論調査「ボーターズ・ボイス・ポール」によると、バイデン氏はライバルとされるロバート・F・ケネディ・ジュニア氏とマリアンヌ・ウィリアムソン氏を簡単に破るだろうが、ミシェル氏が参戦すれば、民主党有権者からの支持は48%とバイデン氏の36%を上回る。

 この調査を実施したノーブル・プレディクティブ・インサイト社のCEOマイク・ノーブル氏は、「バイデン氏は民主党予備選では問題ない。しかし、ミシェル・オバマ氏が彼のクリスマスカード・リストに載っていることを確認したほうがいい」と語った。

 民主党の活動家ダグラス・ショーン、アンドリュー・スタイン両氏は、5月のウォール・ストリート・ジャーナル紙の論説で、バイデン氏に代わる候補として、ミシェル夫人を「党内最強の候補」と呼んだ。

 非営利団体「ターニング・ポイントUSA」の創設者チャーリー・カーク氏はソーシャルメディアに、「オバマ夫人は世論調査も良く、カマラ氏の後釜になれる。人種差別と言われることもない。民主党が、トランプ前大統領に対抗する党の『求心力』として、ミシェル・オバマ氏への支持をますます強めることを期待している」と投稿した。

 保守派ポッドキャスターのダン・ボンギーノ氏によると、ミシェル夫人の周辺が騒がしいのは偶然ではない。同氏は、これは左派の懸念を反映していると言う。バイデン氏が副大統領だった間に、息子のハンター氏とその仲間が外国のオリガルヒ(新興財閥)から約2000万㌦を受け取っていた証拠を、下院共和党の調査官らはつかんでいる。そのため、今後、バイデン氏に不利な情報がさらに明らかになるのは間違いない。

 ボンギーノ氏は最新のポッドキャストで、「メディアはミシェル氏を狙っている。オバマ家にシグナルを送っているということだ。メディアは『スリーピー・ジョー(バイデン氏)』が大きな問題を抱えていることを知っている。銀行取引記録から、バイデン一家の懐に何百万㌦も入っていることが明らかになることを恐れている。今後、何が出てくるかも分からない。未知の世界が、いま彼らを恐怖に陥れている」と述べた。

 バイデン氏は高齢で体が弱く、大統領職には向かないという考えをぬぐいきれない民主党支持者は多い。メリーランド州の民主党有権者で、仕事を持つある黒人女性は匿名で、ワシントン・タイムズ紙に、バイデン氏よりもミシェル夫人の方がはるかにいいと語った。

 「年齢の問題だ」と指摘したうえで、ミシェル夫人の母親としての役割に魅力を感じていると述べた。

 ミシェル夫人は出馬に興味を示しておらず、代理人からコメントを得ることもできなかった。

 ファーストレディーだった2016年、ミシェル夫人はテレビ司会者オプラ・ウィンフリー氏に対し、出馬は考えていないと語っていた。

 オバマ氏は当時、「興味があれば、そう言う。参戦しようとは思っていない」と語っていた。ホワイトハウスは8年間で十分であり、子供たちにこれ以上の犠牲を強いることはしたくないと述べた。

 「大変な仕事だ。こちらが走れば、子供の人生は止まってしまう。私たちが不平を言うことはないから、その大変さは分からないと思う。だが、それは事実であり、現実であり、重要なことだ」

 ハリウッドの映画監督ジョエル・ギルバート氏も、ミシェル夫人は民主党候補にふさわしいと考えている。ギルバート氏によると、夫人は2018年と2022年に自身の人生について2冊の著書を刊行し、よく読まれている。どちらも映画化され、ネットフリックスで配信されている。

 ギルバート氏はネット誌「アメリカン・シンカー」への寄稿で、「保守派は、オバマ夫人が全米にアピールしていることに注意を払ってこなかった。表向きはこれらの本の宣伝のためだが、実際は政治的野心を固めるためだった。夫人は今、ソロス氏が資金提供したプロジェクト『全員で投票すれば』の運営に積極的に関与して、自身に指導力があることを示し、有権者に対して、民主党の主張を繰り返し訴える能力があることを思い出させようとしている」と指摘した。

 「効果は出ている。ミシェル・オバマ氏の出現は正真正銘のポップカルチャー現象だ。オプラやマドンナのように、もはや名字は必要ない。ソーシャルメディアのフォロワーはほぼ1億人。ツイッターで2200万人、インスタグラムで5500万人、フェイスブックで1900万人に上る。15年にわたりメディアに積極的に取り上げられ、何百もの雑誌の表紙を飾り、トークショーに出演してきたミシェルは、世界とは言わないまでも、間違いなくこの国で最も知られた人物だ」

 カーク氏は、ほとんどの民主党支持者は、オバマ夫人が公職についたことがないことは問題と思っていないと述べた。

 カーク氏はソーシャルメディアに「ミシェルに大統領になる資格や能力がわずかでもあるのか。民主党支持者らにとってその答えは『そんなことはどうでもいい』だ。バイデン氏に大統領が務まっていることは、どんなに無能(あるいは薄情でも)『合衆国大統領』として世界に受け入れさせることができることをはっきりと示している」と投稿した。

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