高齢バイデン氏、ハリス大統領誕生に現実味 ヘイリー候補が警告

(2023年9月21日)

インドネシア・ジャカルタで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議の傍ら、AP通信のインタビューに答えるカマラ・ハリス米副大統領(2023年9月6日水曜撮影)。(AP写真/Dita Alangkara)

By Seth McLaughlin – The Washington Times – Tuesday, September 19, 2023

 ニッキー・ヘイリー元国連大使は、2024年の大統領選でバイデン氏が勝てば、相棒のカマラ・ハリス氏が大統領職に就くことになると警告している。

 共和党の大統領候補指名に名乗りを上げているヘイリー氏は、80歳のバイデン氏は2期目の4年間は続かず、大統領執務室の鍵をハリス副大統領に譲ることになると、街頭演説やソーシャルメディア、テレビで警鐘を鳴らしている。

 ヘイリー氏は最近FOXニュースで「私が戦っている相手はジョー・バイデン氏ではなく、カマラ・ハリス氏だ。ハリス氏が大統領になるなど考えられない」と語った。

 ヘイリー氏は、トランプ氏のことを「米国で最も嫌われている政治家」と呼び、大統領選の本選で勝てるのはトランプ氏ではなく自分だと訴えている。ヘイリー氏の主張はこうだ。バイデン氏やトランプ氏への一票は、ハリス氏への一票ということになる。

 近年の副大統領の中で最低の支持率を記録しているハリス氏だが、その存在が、大統領選にも水面下で影響を及ぼしそうだ。

 バイデン氏は再選されれば就任式当日、82歳であり、再選を望んではいない有権者は多い。

 AP通信とNORCセンターが最近行った世論調査によると、有権者の実に77%、民主党支持者の69%が、バイデン氏は高齢であと4年の任期は無理だと回答している。

 これを受けて、バイデン氏は選挙戦から手を引くべきか、ハリス氏はバイデン氏の後任にふさわしいか、民主党支持者はプランBとしてハリス氏を快く受け入れるべきかどうかといった観測が飛び交っている。

 同じカリフォルニア州選出のナンシー・ペロシ前下院議長(民主)が先週、バイデン氏の副大統領候補としてハリス氏が最適かどうかという質問をはぐらかしたことで、この臆測の火にさらに油を注いだ。

 ペロシ氏はCNNで、「バイデン氏はそう考えている。重要なのはそこだ。ハリス氏は国内外で、わが国の代表を務めてきてくれた」と述べた。

 ジェイミー・ラスキン下院議員(民主、メリーランド州)もペロシ氏と同様、ハリス氏を副大統領候補として全面的に支持するかどうかを明確にしなかった。

 ラスキン氏はCNNの別のインタビューで「バイデン大統領が決めることだ。ハリス氏はバイデン大統領にとって素晴らしい伴走者だと思っている」と述べた。

 ハリス氏への疑念は、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事が2024年大統領選の最有力候補といううわさが民主党内で広がったことでいっそう強まった。ニューサム氏は、大統領選には出馬しないし、ハリス氏を差しおいてトップに立とうなどとは考えていないと断言した。

 ハリス氏はさまざまな非難を受けてきた。

 世論調査では後塵を拝していたが、サンフランシスコ地方検事選とカリフォルニア州検事総長選で勝利した。しかし、副大統領としては苦戦を強いられている。

 2020年大統領選への出馬を有望視されたハリス氏だったが、民主党候補の最初の投票が行われる前に選挙戦から脱落した。出馬を断念した理由としては、選挙戦でのパフォーマンスにばらつきがあったこと、発信するメッセージが変化し、有権者を引き付けられなかったこと、陣営にまとまりがなく、スタッフは待遇に不満を持っていたことがある。

 副大統領になっても同様の問題を抱えてきた。

 ワシントンのアイゼンハワー行政府ビルにある副大統領執務室に移って以来、その笑い方から政策手腕に至るまで、すべてが厳しい監視の目にさらされてきた。

 ハリス氏は非難されていることについて最近のCBSのインタビューで、「(私を非難する人々は)ジョー・バイデン氏と私、そして私たちの政権が挙げてきた実績を見て、私たちが勝利するのではないかと恐れ、攻撃しなければと思っている」と述べた。

 もしバイデン氏が大統領を務められなくなった場合に大統領を務める用意があるかと尋ねられると、落ち着いた様子で「必要ならそうする。しかし、ジョー・バイデン氏は大丈夫だ」と答えた。

 ABCニュースの世論調査分析サイト「538」の集計によると、ハリス氏支持は39.6%、不支持は53.3%。バイデン氏もほぼ同じだ。

 このような逆風にもかかわらず、ホワイトハウスは、ハリス氏の副大統領候補としての人気を高めようと、民主党の支持層、特に若い有権者に響くような問題に焦点を当てている。

 58歳のハリス氏は、激戦州の大学十数校を巡るツアーを開始し、中絶、気候変動、銃乱射などのテーマについて語った。

 ハリス氏は先週、グリーンズボロにあるノースカロライナ農工州立大学で学生たちに「私たちはあなた方を頼りにしている。あなた方が必要だ。私たちは、あなた方の野心、あなた方自身とあなた方の国に対する願望が必要だ」と語った。

 支持者らは、ハリス氏への攻撃は性差別と人種的偏見によるものだと言う。

 政治アナリストの中には、副大統領の座にある者は常に嘲笑の的になるという者もいる。ダン・クエール氏がそうだった。ブッシュ(父)大統領の右腕として激しい非難を受け続けた。

 アナリストらは、ハリス氏を前面に出しても、選挙に影響はないと指摘する。有権者は副大統領候補を基準に投票するわけではないからだ。

 国連大使やサウスカロライナ州知事を歴任したヘイリー氏によって、その指摘が検証されることになりそうだ。

 ヘイリー氏は有権者に対し、2024年の選挙では副大統領候補の重要性が増し、ハリス氏が大統領職を引き継ぐことになれば非常に危険だと訴えている。

 アイオワ州立大学のステフェン・シュミット教授(政治学)は、大差をつけられているヘイリー氏にとってこの作戦は「最適」だという。

 「ハリス氏は共和党支持者や多くの無党派層にとって、不安の種になっている。バイデン氏に投票すれば、職務が遂行できなくなったり、死亡したりした場合、カマラ・ハリス氏が大統領になるからだ」

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