中国の台湾侵攻、予測より早い可能性 次期司令官が警告

(2024年2月7日)

2024年1月31日水曜日、台湾南部の高雄で行われた海軍訓練に参加する強襲揚陸艦。台湾は先日の総統選挙後、台湾を自国領土と主張する中国からの脅威の中、春の軍事訓練を実施している。(AP Photo/Johnson Lai)

By Bill Gertz – The Washington Times – Thursday, February 1, 2024

 中国軍は、政府が人民解放軍(PLA)に台湾占領の準備を整えるよう命じた2027年より早く、台湾に対して攻撃を開始する可能性がある―米インド太平洋軍の司令官候補が1日、上院の承認公聴会で語った。

 現在、太平洋艦隊司令官を務めるサミュエル・パパロ大将はさらに、インド太平洋軍が太平洋に、多軍・多国籍からなる統合任務部隊を設置するよう強く求められた。議員らは、中国との衝突に備えるために米軍は、軍種、国境を越えた部隊が必要だと主張している。

 パパロ氏は上院軍事委員会で、中国の軍事的脅威は増大していると指摘。「PLA全軍にわたる活動や侵略の軌跡は、それ自体が非常に大きな問題だ」と述べた。

 パパロ氏は、中国との衝突では、米軍の指揮統制・電子・宇宙システムに対するサイバー攻撃が「最初の戦い」になるだろうと警告した。

 これらの領域を含む戦争は、「その日が来れば、統合軍の実力を発揮する場か、PLAのアキレス腱になる」と述べた。

 前任者は数年前、中国共産党の指導者が2027年までに台湾を占領する準備を整えるよう軍に命じたとの見方を示し、波紋を呼んだが、これについてパパロ氏は、PLAは「2027年までに準備を整えることを目指している」と答えた。

 「それは人民解放軍100周年と関係している」

 「確かに、中国は日々準備に取り組んでいると思う。だから、こちらも常に警戒している。今と、いつ出撃するか分からないその時との間に休みはない」

 パパロ氏は、米軍は「現在、来週、来月、今後数十年間、(攻撃を抑止する)準備を整えておかなければならない」と述べた。

 中国は、台湾は自国領土であり、いつかは併合すると主張しており、米中間の緊張は依然として高い。

 中国は過去2年間、軍用機や軍艦による攻撃的な軍事作戦を行ってきた。それには、幅約160㌔の台湾海峡で定期的に「航行の自由作戦」を行っている米国や同盟国の軍艦に対抗するという意味もある。

 統合任務部隊の創設について、議会は最近、太平洋で統合部隊の設置を義務付ける法律を成立させたが、議員らによれば、国防総省とバイデン政権は、中国を刺激することを恐れて設置をちゅうちょしている。この措置の目的は、常設部隊を設け、中国との紛争が勃発した場合に、太平洋の米軍が合同作戦をスムーズに実施できるようにすることにある。

 統合任務部隊設置への法的義務があるにもかかわらず、インド太平洋軍は、ミクロネシア統合任務部隊として知られるグアムの小規模な任務部隊がその要件を満たしていると述べている。

 同委員会のロジャー・ウィッカー上院議員(共和、ミシシッピ州)は、パパロ氏に対し、同法は中将クラスが率いる常設の統合任務部隊の設置を明確に義務づけていると述べた。

 ウィッカー氏によると、この任務部隊が設置されれば戦時の指揮統制を担うことになる。

 パパロ氏は、統合任務部隊の司令官としての「資格」はあるが、今のところその職には就いていないと述べた。

 2023会計年度の国防権限法(NDAA)に定められた法的義務について尋ねられたパパロ氏は、その措置は承知しており、そのような部隊を設置するには「数百人」の人員の追加が必要だと述べた。

 ウィッカー氏も、「委員長と私、そしてこの委員会のメンバーも、これを遂行するためには三つ星(中将)と数百人規模のスタッフが必要だという点で一致している。それがそろわなければ、準備は整わないと思っている」と述べた。

 パパロ氏は「それができれば、さらに準備は整う」と述べた。

 その上で、任務部隊設置を進めるために、議会とNDAAから明確な指示を受けていると述べた。

必要な第一歩

 ワシントン・タイムズ紙は昨年12月、この統合任務部隊をめぐって議会と国防総省が対立していることを明らかにした。NDAAは、10月までに作戦司令部として設立するとしている。

 これを支持した議員らはこの法案を可決する際に、この任務部隊は、インド太平洋軍の下にある多軍・多国籍の任務部隊となるべきものであり、そのために必要な第一歩だと主張した。

 統合任務部隊は、陸軍、海軍、海兵隊、空軍の戦力を統合した部隊であり、場合によっては外国の軍隊の将校も含まれる。統合任務部隊は、米軍が得意とする複合的な戦闘に備えるために作られることが多い。

 下院中国共産党特別委員会は昨年5月、この任務部隊をめぐる対立が生じていることを初めて明らかにした。同委員会は、国防総省は「有事の指揮統制に焦点を当てた」常設の統合軍本部に関する法律を「完全に実施」しなければならないとする報告書を発表した。

 報告は「危機に直面してから、どの組織や上級指導者が連合軍の作戦の指揮を執るかを決めていると、貴重な時間が失われる可能性がある。この種の計画は平時に行うべきであり、理想的には日本やオーストラリアのような主要同盟国の要員を加えるべきだ」としている。

 台湾についてパパロ氏は、この地域で大きな紛争を引き起こすのは中国による直接侵攻だけとは考えていないと述べた。

 中国による台湾の海上封鎖もあり得る。

 パパロ氏は「侵攻だけを想定していいのならば、幅広い作戦を立案しておく必要はなくなる」と述べた。

 パパロ氏は、米軍は抑止と中国のさまざまな軍事作戦への対応を計画していると述べた。

 また、中国はまた、南シナ海で「グレーゾーン」作戦を展開しており、海洋の領有権を主張する法律を制定し、その主張を履行するために武力行使を徐々に強めていると指摘した。

 中国が台湾を占領すれば、中国の脅威は減少するかとの質問にパパロ氏は、中国はそれ以上に大きな軍事的野心を持っていると強調、他の地域での中国の攻撃的な行動や、広範囲な戦力投射のための大規模な軍備増強は、台湾だけが目的ではないことを示していると主張した。

 司令官として承認された場合の優先順位についての質問には、グアムの17万人の米国民と米本土を守るため、「海面から天空まで」をカバーする多層的な統合防空・ミサイル防衛システムを配備したいと述べた。

 パパロ氏は、委員会からの質問に対する答弁書で、中国の「威圧的な行動は、脅威を与え、不安定化させ、無秩序の種をまくものとして、この地域における主要な脅威であり続ける」と警告した。

 その上で同氏は、中国を抑止するには、長射程兵器、防空・ミサイル防衛、兵站能力など、兵器やその他の戦力における「ギャップ」を埋める必要があると述べた。

 「防衛態勢の強化は、インド太平洋にとって最優先事項であり、われわれが直面する中国からの脅威に適切に対処するために不可欠だ」

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