バイデン政権、復活祭に「トランス認知」宣言 カトリック・共和が反発

(2024年4月3日)

LGBTゲイ・プライド・マーチでのトランスジェンダーの旗。(写真クレジット:Ink Drop via Shutterstock)

By Valerie Richardson – The Washington Times – Monday, April 1, 2024

 バイデン大統領がキリスト教の祝日「イースター(復活祭)」でもあった3月31日に、「トランスジェンダー認知の日(TDOV)」を祝う声明を出したことに政界から反発の声が上がったことに対しホワイトハウスは「誤情報」と非難、一方でバイデン氏が困惑した様子でこれに反論したことから怒りの声をいっそう掻き立てる結果となった。

 マイク・ジョンソン下院議長はバイデン氏のトランスジェンダー声明を「言語道断、ぞっとする」と非難しており、恒例の「ホワイトハウス・イースター卵転がし」を終えたバイデン氏はこの点について記者団から質問を受けた。

 ホワイトハウス代表取材団の報道によるとバイデン氏は、「ジョンソン下院議長は、イースターの日曜日がトランスジェンダー認知の日だったことを『言語道断』と呼んだ。これについてジョンソン議長に何か一言」という質問を受けた。

 バイデン氏は「ジョンソン氏は何も分かっていない」と主張。

 詳細を尋ねられたバイデン氏は「そんなことはしていない」と答えた。

 バイデン氏はそれ以上の説明をしなかったが、ホワイトハウスがTDOVを称える宣言をウェブサイトに掲載したことが批判されている。TDOVは2009年にトランスジェンダーの活動家によって創設され、以来ずっと、3月31日に祝われてきた。

 今年はキリスト教の最も神聖な日であるイースターと重なった。イースターの日は年によって変わる。

 「私、ジョセフ・R・バイデンはここに、…2024年3月31日をトランスジェンダー認知の日として宣言する」

 バイデン氏は宣言文の中で、「私は全国民に、私たちと共にトランスジェンダーの人々の生活と声を支援し、性自認に基づく暴力と差別の撤廃に取り組むよう呼びかける」と述べた。

 ジョンソン氏はこの宣言について「これはあなたですか、@ジョー・バイデン」とXに投稿した。

 保守派のメディア評論家スティーブン・ミラー氏はXでこう質問した。「代表取材の誰かが、バイデン氏の声明を見せたのか」

 ウェスリー・ハント下院議員(共和、テキサス州)は、Xでこう質問した。「バイデン政権は、この24時間に受けた政治的反発を受けて、撤回するのだろうか」

 その数時間後、カリーヌ・ジャンピエール大統領報道官は記者会見で、「誤情報」を広めていると反論。「政治家らが残酷で憎しみに満ちた不誠実なレトリックで、この国を分裂させ、弱体化させようとしている」と述べた。

 「この24時間、私たちが耳にしたことは不誠実であり、週末に聞いたことは真実ではない」

 アンドリュー・ベイツ大統領副報道官は1日、「バイデン大統領は正しい」と述べた。

 ベイツ氏はワシントン・タイムズに、「バイデン氏は昨日、イースターを祝ったが、その『信条』に反することは何もしていない。バイデン氏が『トランスジェンダー認知の日』を3月31日にしたわけでもない。2009年にこの日に決められた」と述べた。

 バイデン氏は、2021年の就任以来、TDOVを記念する宣言を発表してきた。今年はイースターと同じ日になり、この日にこのような宣言を行うことは、保守的なキリスト教徒から見れば、よくても無神経、悪く言えば侮辱とも取れる。

 イースターは「春分の日」の後の最初の満月の次の日曜日となる。

 ダイアナ・ハーシュバーガー下院議員(共和、テネシー州)は3月30日にXで「これはキリスト教に対する直接的な攻撃だ。左派は明らかに私たちの宗教と伝統を否定しようとしている。露骨な侮辱であり、意図的だ」と投稿した。

 トランプ陣営は、このトランスジェンダー宣言について「侮辱的でぞっとする」と主張した。

 トランプ氏の広報担当カロリン・リービット氏は「(イースター・サンデーは)イエス・キリストの復活を祝うためだけのものだと信じている、全米のカトリック教徒やキリスト教徒に対して、バイデン陣営とホワイトハウスが謝罪を表明することを求める」と語った。

 バイデン氏とジル夫人は31日に「イースター・サンデーを祝う世界中のキリスト教徒に心からの祝福を送る」と声明を発表した。

 「イースターは私たちに希望とキリストの復活の約束を思い起こさせる。愛する人たちと集うとき、私たちはイエスの犠牲を思い出す」

 ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事ら民主党幹部は、3月31日をTDOVとする声明を発表した。

 南部バージニア州のフェアファクス郡監督委員会の民主党議員がTDOV宣言を承認したことについて、権利擁護団体「カトリックボート」のブライアン・バーチ会長は、「1年で最も神聖な日にキリスト教をあざ笑う」ことを決めたと非難した。

 バーチ氏は、15年に及ぶこのトランスジェンダーのイベントは、イースターと重ならないように移動すべきだったと述べた。

 バーチ氏はワシントン・タイムズに「彼らはこの祝日はずっと前から3月31日だと主張するかもしれないが、2009年に勝手に作られた偽のイベントであり、一方のイースターは2000年もの歴史を持つ。ほかの宗教がこのようなことを認めることは決してない。要するに、キリスト教がターゲットにされたということだ」と述べた。

 バイデン政権が祝ったLGBTQ(性的少数派)に関する行事は他に、6月の「プライド月間」、10月の「LGBT歴史月間」、10月11日の「全国カミングアウト・デー」、11月20日の「トランスジェンダー記憶の日」、5月17日の「国際反ホモフォビア・バイフォビア・トランスフォビア・デー」、10月26日の「インターセックス啓発デー」などがある。

 共和党はまた、毎年開催される子供の卵デコレーション・コンテストのガイドラインについてホワイトハウスを非難した。このガイドラインでは「宗教的なシンボル」「過剰に宗教的なテーマ」は禁止されている。ただ、これらの制限はバイデン政権が始めたわけではない。

 コンテストを支援する「アメリカン・エッグ・ボード」によると、このガイドラインは1978年から取り入れられている。

 アメリカン・エッグ・ボードの社長兼CEO、エミリー・メッツ氏は報道各社への声明で「アメリカン・エッグ・ボードは45年以上にわたってホワイトハウス・イースター卵転がしを支援しており、最近の報道で言及されているガイドラインの文言は、設立以来、政権を越えて一貫して適用されてきた」と訴えた。

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