ガザ市街戦に専門家注視 ドローン・AIを投入
By Ben Wolfgang – The Washington Times – Monday, May 6, 2024
ロボット工学は21世紀の紛争で重要な役割を果たすが、市街戦や地下作戦では限界がある。現場指揮官と航空支援部隊とのリアルタイム通信は戦場に大変革をもたらした。その一方でソーシャルメディアが誰もが予想した以上に戦争の行方に大きな影響を与える可能性がある。
アナリストらによると、これらは、パレスチナ自治区ガザでのテロ集団ハマスに対するイスラエルの戦争から学んだ教訓の一部だ。
国防総省内部や世界中の国家安全保障と軍事関係者らは、7カ月目に突入したこの衝突を綿密に調査している。ロシアとウクライナの戦争と並んで、イスラエルとハマスの紛争はドローン、人工知能(AI)などの最先端ツールの時代で最初の大規模戦争の一つだ。
ウクライナでの戦争とは異なり、イスラエルとハマスの戦いは、世界でも特に人口密度の高い地域で繰り広げられている。さらにイスラエル軍は世界的に非常に進んだ技術を持ち、専門家にとっては最先端の戦闘ツールの支援を受けた現代の市街戦を研究する格好のチャンスだ。
この戦争から得た教訓は、米特殊作戦軍と世界特殊作戦部隊財団が主催する特殊作戦部隊週間会議の主要な議題となる。この会議は、特殊作戦の専門家と防衛産業のリーダーが集まる世界最大規模の集会の一つであり、さまざまな軍事技術が紹介される。大手企業や各分野の新興企業が自社製品を展示、販売する場でもある。
ここで展示される技術や製品は、現在起こっている紛争や今にも勃発しそうな戦争を反映したものであることが多い。軍事作戦立案者らが太平洋で米国と中国が衝突する可能性に備える中、海軍力と海洋技術に大きな注目が高まっている。
イスラエルとハマスの戦争は、こうした議論を後押ししている。最も広い視点から見れば、この紛争は最もよく訓練され、最もよく装備された戦闘部隊でさえ、民間人が多く住む市街地の戦闘地帯では優位性を大きく失うという現実を浮き彫りにしたと専門家らは指摘する。
「この戦争は、非対称戦争の理論を浮き彫りにした。具体的に言うとこうだ。より大規模で強力な軍隊がより小規模で非力な軍隊に対して優位に立つものだが、これは、小規模な部隊が戦場内に陣取る市街戦環境では根底から逆転する」と、イスラエルの元情報当局者アビ・メラメド氏はワシントン・タイムズ紙に語った。
昨年10月7日にハマスが1200人以上の民間人を虐殺し、250人以上を人質に取ったことを受けてイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はハマス壊滅を目指すことを公言したものの、苦戦を強いられている。ハマスは学校や病院など民間インフラに潜入して活動することでよく知られている。罪のない民間人に危害を加えずに戦闘員を見つけて殺害するのは困難であり、イスラエルが女性や子供を無差別に殺害しているという批判を受けている。
この戦争はまた、現代の軍隊が地上、砲撃、航空それぞれの作戦を適切に融合させ、民間人の死者を最小限に抑える方法について有益な情報を提供した。メラメド氏は、ガザ地区での作戦が示した大きな進歩の一つは、地上の指揮官、何㌔も離れた砲兵隊、上空の航空支援部隊の間でリアルタイムの直接通信が事実上完璧に行われていることだと述べた。これは、標的の位置と攻撃命令に関する地上レベルの情報がほぼ瞬時に得られることを意味する。