米軍、インド太平洋にドローンを大量投入へ 中国の攻撃を阻止
By Bill Gertz – The Washington Times – Tuesday, October 1, 2024
米軍筋によると、国防総省は何万機もの低コストのドローン兵器を迅速に配備する計画を推進しており、インド太平洋地域での中国に対する抑止力強化で威力を発揮するとされている。
「レプリケーター」計画は依然、明らかにされていないが、現在の航空機、ミサイル、海軍力、陸軍力、サイバーパワー、情報戦ツール、宇宙システムとともに、米国の軍事力を強化することが期待されている。
レプリケーターによって大きな優位性を確保でき、依然として緊迫し、火種となっている空域や海域の中国軍による利用を阻止する上で重要な役割を果たすという。
今年後半から来年にかけて本格的に配備されれば、中国による台湾や他の米国の同盟国への軍事攻撃を抑止できるようになる。
この大規模無人機システムは、米軍と同盟国軍が東アジアで空軍や海軍の優勢を達成する必要がなくなることを意味する。その代わり、これら軍事力を使って、中国軍が空、海、陸で攻撃を成功させる能力を削ぐことで、攻撃を抑止することが可能になる。
この技術は1~2年で公開され、太平洋向けの新型ドローンの一部は今年末までに使用可能になる見込みだ。このプログラムがなければ、同様の軍事力強化の実現には10年はかかっただろうと情報筋は語った。
30日に公開された9月27日の覚書の中で、ロイド・オースティン国防長官は、レプリケーター計画は進展しており、現在レプリケーター2が計画されていることを明らかにした。
「レプリケーター1でわれわれはアトリタブル(使い捨て可能)な自律性に重点を置き、来年夏の実用化に向けて順調に進んでいる。一方でこの研究は、自律システムを拡大し、軍全体で利用できるようにするためのわれわれの取り組みを促進するのに役立った」
オースティン氏は国防総省の幹部や戦闘指揮官らに、レプリケーター2は、米国と同盟国の重要な軍事施設や兵力集中を脅かす空中ドローンに対する防御の構築に焦点を当てると語った。
この計画の責任者、キャスリーン・ヒックス国防副長官は5月、レプリケーターの一部がまず太平洋に配備されたことを発表した。
ヒックス氏は、レプリケーターは 「実際に成果を挙げている 」と述べた。
目標は、来年末までに数千機の陸・海・空のドローンを配備することだ。
サミュエル・パパロ米インド太平洋軍司令官は5月の国防総省声明で、「これは、自由で開かれたインド太平洋を維持し続けるために必要な能力を、必要な規模と速度で提供するための重要なステップだ」と述べた。
これまでのところ、この計画で確認されている唯一の兵器は、スイッチブレード600という滞空型の自爆ドローンだ。エアロバイロンメント社によって製造されたスイッチブレード600は、バックパックサイズの精密誘導兵器で、攻撃前に最大40分間待機しながら戦車や装甲が施された標的を破壊することができる。
この計画の他の兵器についてはまだ分かっていないが、国防総省は5月、海上兵器や対空ドローンが含まれると発表している。
議会は、30日に終了した2024会計年度に5億ドルをレプリケーターにあてた。今年度予算にも同額が要求されている。
レプリケーターについての詳細はほとんど公表されていない。国防総省の声明では、「全領域でアトリタブルな自律(ADA2)システム」と呼ばれている。
計画の初期の兵器には、無人の地上車両、航空システムがあり、「従来の供給者に加え、これまであまり利用されてこなかった供給者から調達した、さまざまなサイズ、さまざまなペイロード(搭載量)」の無人航空システムに対抗すると声明は述べている。
レプリケーター2無人機攻撃計画は、ウクライナでロシアのドローンが効果を挙げていることがきっかけで開始されたようだ。ロシアが使用しているドローンにはイラン製の自爆ドローン、シャヘド136の派生型がある。シャヘド136は時速約180キロで飛行し、約50キロの弾頭を搭載している。
レプリケーター計画は、兵器のコストを簡素化、削減し、武器調達をスピードアップするための国防総省の取り組みの一環だ。