教皇レオによるAIへの警告

(2025年6月1日)

2025年5月18日日曜日、教皇就任ミサの前にバチカンのサンピエトロ広場を見学する教皇レオ14世。(AP Photo/Andrew Medichini)

By Editorial Board – The Washington Times – Wednesday, May 21, 2025

 今月初め、全世界のローマ・カトリック信者は第267代教皇の選出を祝った。米シカゴ出身の教皇レオ14世が、南米出身の進歩的な教皇フランシスコの死を受けてその座に就いた。

 保守派とまでは言えないにしても、新教皇は明らかに伝統的な価値観への理解をより深く持っているようだ。15日の演説では、世界中で1100以上の学校を運営する修道会クリスチャン・ブラザーズを称賛し、特に保護者が教育に関与している点を高く評価した。

 彼の発言は、コンピューターのアルゴリズムによって拡散される高速なソーシャルメディア文化がもたらす危険性について述べたものだった。それは「孤立」や「浅薄さ、個人主義、感情の不安定さ」を助長すると彼は説明した。中でも新教皇が最も懸念しているのは「相対主義に侵された思考パターンの拡散」だ。

 相対主義と感情主義はリベラル思想の二大基盤とも言え、それらが正しい教育に対する脅威として認識されるのは新鮮なことだ。そしてもう一つの大きな脅威が人工知能(AI)である。

 すべての道具と同様に、AIは善にも悪にも使える。しかしその影響をあまり深く考えることもなく、世界の巨大IT企業はあらゆるスマートフォン、ノートパソコン、そしてトースターにまでAI機能を詰め込んでいる。消費者が望むかどうかは二の次で、今や避けようがない。

 その結果、教師たちはもはや宿題としての作文を出せなくなっている。AIが数秒で調査を行い、見た目には立派な文章を生成してしまうため、やらせる意味がなくなってしまったのだ。ボタンを数回押すだけで完成する。しかしAIの出力をよく分析すると、その言葉はしばしば集団思考の産物であり、時には機械の誤情報によるものであることも分かる。

 就任演説の中で、ローマ教皇は自らが「レオ」の名を選んだ理由を説明した。それは、19世紀に産業革命の時代を導いた教皇レオ13世の足跡を継ぐとの決意からだ。

 21世紀のレオは、「現代において教会は、新たな産業革命やAI分野の発展がもたらす、人間の尊厳、正義、労働の擁護に対する新たな課題に応えるため、その社会教説(社会問題に対する深い洞察)という宝物をすべての人に提供している」と語った。

 彼は、すでに社会に表れているこの技術の負の影響と、悪用の可能性を見抜いている。例えば、グーグルが最初に投入したAIのジェミニでは、リベラル思想の拡散にあまりにも熱心だったため、「多様性」をあらゆるものに浸透させていた。米国建国の父たちの画像を検索すると黒人男性が表示され、バイキングの例としては黒人女性が生成された。歴史の歪曲があまりにも明白だった。

 技術が進歩すればするほど、操作はより巧妙になる。IT大手の不透明なプログラムコードが何百万もの仕事を奪うことになり、その移行は決して楽ではない。産業革命もまた数百万の単純労働を消し去ったが、社会はそれに適応し、繁栄へとつながった。

 おそらく、最も有望な適応策は、学校現場での原点回帰であろう。AIの普及は、教師たちに手書きの授業内作文を復活させることを促すはずだ。生徒が本当に学んでいるかを確かめるには、教室でのディスカッションが唯一の方法となるだろう。

 伝統的な学校教育やホームスクーリング(家庭教育)はすでに人気が再燃しており、親たちは古典的な教育の価値を再発見している。それこそが、人類が直面する最新の課題への時を超えた答えなのだ。

 そして、この過渡期にあって、シリコンバレーの起業家たちだけでなく、倫理的視点からAI政策を考える人物がいることは、心強い限りである。

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