中国パレード、新型ハイテク兵器続々 習主席「いじめっ子」に屈しない

ワシントン・タイムズ紙の毎日発行のニュースレター「Threat Status」の映像より
By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, September 3, 2025
中国軍は3日、北京で行われた第2次世界大戦記念パレードで、ミサイル、戦車、戦闘機、無人機など、大量のハイテク兵器を披露し、増強が進む軍事力を誇示した。
披露された新兵器の中には核ミサイルも含まれていた。軍は、東風61(DF61)と呼ばれる路上移動式の大型大陸間弾道ミサイル(ICBM)を初めて公開した。
北京の紫禁城のバルコニーに設けられたVIP観覧席では、ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩総書記が習近平国家主席の脇を固め、サイロ格納の新型ミサイル「東風31BJ(31BJ)」や派生型の「東風5C(DF5C)」などの戦略ミサイルの展示に見入った。
キューバ、ベラルーシ、インドネシア、マレーシア、モンゴル、ミャンマー、パキスタン、ベトナムを含む新興・途上国「グローバルサウス」の指導者らが、3人の周辺を陣取った。
人民解放軍(PLA)は、最新の核搭載潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「巨浪3(JL3)」も披露した。
パレードは国歌「義勇軍行進曲」が流れる中、2時間に及び、極超音速対艦ミサイル、レーザー兵器、無人機、水中車両なども公開された。
習主席は「中華民族の偉大な復活は止められない」と語った。
習氏はまた、現在の中国の人々は、毛沢東ら中国の歴史上の重要人物のイデオロギーとともに、共産主義の公式イデオロギーであるマルクス・レーニン主義を支持しなければならないと述べた。
2012年以来、中国共産党の指導者である習氏は、中国は「いかなるいじめっ子にも決して脅かされない」と述べた。これは、世界資本主義のリーダーであり、戦略的なイデオロギー上の敵であるとみなされている米国を指す。
「今日、人類は再び平和か戦争かの選択に直面している」と主張、世界クラスの軍へとPLAを強化するよう呼び掛けた。
中国の第2次世界大戦の同盟国であるフランス、イギリス、米国、そして太平洋戦争を戦った英連邦諸国(オーストラリア、インド、ニュージーランド)の首脳は出席しなかった。
その他に、地域の民主主義国家である日本、韓国、台湾からの参加もなかった。
第2次世界大戦末期、日本は1945年8月15日に降伏を発表した。9月2日に戦艦ミズーリで調印式が行われたが、中国に進出していた日本軍は9月3日に降伏した。
この日は中国全土で「抗日戦争勝利記念日」として祝われている。
習氏は「日本の進出に対する中国人民の抵抗戦争は、世界反ファシズム戦争の重要な一部であった。莫大な国民的犠牲を払って、中国人民は人類の文明を救い、世界の平和を守るために大きな貢献をした」と語った。
DF61は、国防総省の中国軍に関する年次報告書に記載されている新型ミサイルの1つであり、中国の核戦力の大幅な強化を意味する。
これまでは2019年の軍事パレードで披露されたDF41が、PLAの最も先進的な長距離ミサイルだった。
米軍当局者は、中国が大規模かつ継続的に核戦力を強化しているとみており、DF61もその一環だ。
米戦略軍司令官は2021年、中国が「核戦力の急速な増強」を進めていると警告。米国は緊急に対応しなければならないと訴えた。
その最も明確な兆候は、中国西部の3つの基地に300基以上の核ミサイルのサイロを建設したことだ。
中国が保有する核弾頭は、数年前の約200発から現在では600発へと急速に拡大し、2030年までに1000発以上になると予想されている。
中国軍事アナリストのリック・フィッシャー氏は、パレードで示されたDF61は、DF41と同じ移動式発射装置を使用しているようだと述べた。
国際評価戦略センターのアナリストであるフィッシャー氏は、「この新型ミサイルは新たな能力を持っており、おそらく10個以上の複数の弾頭、あるいは新たな複数の極超音速滑空弾頭を装備している。これも米国が構築中のミサイル防衛網ゴールデンドームに対抗することを狙ったものだろう」と述べた。
パレードで披露された新たな派生型DF5Cについては、大型の弾頭を一つ搭載しているように見えると述べた。
しかし、パレードで「全世界を攻撃範囲とする」と発表されたことから、フィッシャー氏によると、宇宙空間を移動する中国独自の部分軌道爆撃システム(FOBS)であり、これもゴールデンドームに対抗するためのシステムではないかとの憶測を呼んでいるという。
新型のDF31BJは、中国西部にある何百もの新しいサイロ(ミサイル発射施設)に設置できるように設計されている。
「興味深いのは、DF31BJが(発射管から放出した後に点火する)自己完結型のコールドローンチ用発射管に収められていることだ。発射管を保管しておけるため、迅速な再装填が可能になる。また、サイロも(発射管内で点火する)ホットローンチによる損傷を受けないため、建設コストが安く、必要に応じて容易に複製できる」とフィッシャー氏は述べた。
同氏は、DF31BJは、最初の集中攻撃後も別の方法で核戦争を継続できるようにすることを狙ったものではないかとみられ、さらに大型の別の移動式ICBMと似ていると指摘した。
「これらの新型ICBMに加え、複数弾頭を搭載できるJL3潜水艦発射弾道ミサイルの存在は、PLAがより大規模で実戦的な核戦力を構築しつつあることを示している。その兆候は、ロシアとの核協力や、北朝鮮を核ミサイル国家に育成してきた取り組みからも見て取れる」とフィッシャー氏は述べた。
「つまり、 中国・ロシア・北朝鮮の脅威に対する核抑止力を確保するには、新たに数千発の核兵器が必要ということだ」
その他の新兵器には、米国の空母や軍艦を攻撃するために設計された数種類の極超音速ミサイルや、中国の2隻の空母の艦載機などがあった。
パレードでは、200万人のPLAから1万人以上が参加し行進した。伝統的な部隊に加え、新たにサイバー空間部隊、軍事宇宙部隊、PLA情報戦部門である情報支援部隊が参加した。
また、巡航ミサイル「鷹撃19(YJ19)」が初めて公開された。国営メディアは海軍部隊の「戦略的ハンマー」と呼んでおり、スクラムジェットという極超音速エンジンを搭載した極超音速ミサイルと考えられている。
無人戦闘機「ウイングマン」も披露された。有人戦闘機を支援するために使用される。
最新の長距離偵察機「彩虹9(CH9)」は、米国の攻撃型無人機MQ9リーパーに似ている。
米国のF35に似ているとアナリストが指摘する中国の最新鋭戦闘機「殲35(J35)」と空母艦載戦闘機「殲15(J15)」がパレード上空を飛行した。
もう一つの新兵器はLY1で、パレードでは海上防空用の「艦載レーザー兵器」と説明された。
HSU100と呼ばれる水中ドローンは、潜水艦戦や機雷敷設に使用できると伝えられている。
パレードではまた、100式と呼ばれる新世代の戦車も披露され、国営メディアは、最近のウクライナでの戦闘で見られた新しい軍事能力であるドローン攻撃に耐えられるように設計されていると伝えた。
この新型戦車は、105ミリ砲、同軸機関砲、遠隔操作の武器ステーションで武装している。
中国共産党系の環球時報に寄稿したPLA軍事アナリストのトン・ジェン氏は、軍事パレードは、無人情報収集、水中作戦、サイバー・電子戦、極超音速能力など、防衛技術の最新の進歩を明らかにしたと述べた。これらの兵器は、中国軍が技術の進歩を取り入れていることを示している。
PLA軍事科学院のジェン氏は、「無人戦闘プラットフォーム、人工知能(AI)主導の指揮システム、長距離精密打撃兵器、電磁戦、情報戦などの新興技術は、理論と実践において軍事技術を急速に変革しており、無人化・インテリジェント戦闘へのシフトを加速させ、技術革新は軍事的優位を得るための重要なツールとなっている」と述べた。