米、月面原発は「宇宙での優位性」確保に不可欠

(2026年4月16日)

NASAが提供したこの画像は、アルテミス2号の飛行中に月の裏側から撮影されたもので、2026年4月6日(月)、月と地球が同じフレーム内に並び、それぞれが太陽の光に部分的に照らされている様子が捉えられている。(NASA/AP通信)

By John T. Seward and Ben Wolfgang – The Washington Times – Tuesday,April 14, 2026

 【コロラドスプリングズ(コロラド州)】中国やロシアに先んじて、原子炉を含む恒久的な月面基地を確立することが重要だ――。トランプ政権の高官が14日、主要な宇宙会議で強調した。

 当局者らによると、「アルテミス2」計画の月周回ミッションを成功させたことで、米国は国家安全保障上の重要課題である宇宙支配を巡り、競合国に対して優位に立った。トランプ政権は、深宇宙探査と長期的な月面滞在を支える技術開発に向け、政府全体で取り組む方針を示している。

 航空宇宙局(NASA)のジャレッド・アイザックマン長官は、毎年開催される国内最大級の宇宙関連会議「宇宙シンポジウム」で、アルテミスの月周回ミッションは「想定通りに行われた」と述べた。

 アイザックマン氏は「今回の飛行により、米国が再び月面に到達し、基地を建設し、今度こそ恒久的にとどまるために欠かせないハードウエア、航法、生命維持システムが正常に機能することが実証された」と語った。

 さらに「宇宙という高地における米国の指導力は選択肢ではない。アルテミス2の成功を祝う一方で、NASAはすでに次の段階に着手している」と述べた。

 ホワイトハウス科学技術政策局(OSTP)のマイケル・クラツィオス局長は同日、月面で使用する小型で輸送可能な原子力発電の開発には、エネルギー省や国防総省、NASAなど複数の連邦機関が関与していると説明した。さらに、ホワイトハウスが、早ければ2028年にも打ち上げ可能な宇宙用原子力システムの開発を各機関に指示していることを明らかにした。

 当局者らは、この技術が探査活動の電力供給や月面での運用を支え、最終的には火星探査への道を開くと説明した。

 クラツィオス氏は、アイザックマン氏やスペース財団のヘザー・プリングル最高経営責任者(元空軍少将)とのパネル討論で、「国家安全保障に関する米国の宇宙での優位性を確立するための新たなビジョンがある」と述べた。

 アイザックマン氏は、議会が承認したばかりのNASA予算100億ドル(約1兆5000億円)が「二度と月を手放さない」ために使われると説明した。この発言は、月が米国の宇宙支配に不可欠であるとの政府と防衛産業界の共通認識を反映している。

 同氏は「2位では優位を達成できない」と述べた。

■月を巡る競争

 中国の有人宇宙計画は、月面到達を目指して急速に進んでいる。2025年10月、中国政府当局者は2030年までの有人月面着陸計画が「順調に進んでいる」ことを明らかにした。これに先立ち中国は、独自の宇宙ステーション「天宮」の完成に向け複数のミッションを進めている。

 中国有人宇宙計画の報道官は、「月に人を送るための研究・開発の各プログラムは順調に進んでいる」と強調、それによって、長征10号ロケットや月面着陸用宇宙服、探査車の開発が可能になったと語った。

 「2030年までに有人月面着陸を実現するという目標は揺るがない」

 中国は、国際宇宙ステーションから排除されたことを受け、「天宮」の建設に着手した。中国が排除されたのは、中国の宇宙計画が人民解放軍と密接に結び付いているとの米国の懸念が原因だ。

 専門家は、月を米中宇宙競争の重要な要素とみており、月面を支配すれば、そこからさらに野心的な宇宙活動が可能になると指摘する。

 戦略国際問題研究所(CSIS)航空宇宙安全保障プロジェクトのクレイトン・スウォープ副部長は、「アルテミス計画は地球軌道外で人類が生活するという長期構想の第一段階だ」と分析する。

 スウォープ氏は「月はその位置から見て、計画の中心となりうる。宇宙への道はすべて月を通る。新技術の実証や地球から遠く離れた環境で人の生命を維持する方法を確立するのに最適な場所だ」と指摘した。

 NASAの現行の計画では、2028年に米国人が月面に再び降り立つ予定で、来年初めからほぼ毎月、無人探査を行うことが計画されている。

 アイザックマン氏は「次なる大きな飛躍として、原子力推進の惑星間宇宙船を打ち上げる」と述べ、この宇宙船を建造するための政府機関横断の「SR1フリーダム」計画に言及した。

 同氏は「フリーダムは2028年に打ち上げられ、米国は宇宙での原子力利用に本格的に踏み出す」と語った。

 さらに「最後に実際に宇宙へ原子炉を打ち上げたのは、たしか60年近くも前のことだ。原子炉部門を持つ海軍が成功させた手法を参考に進めている。100%完璧な解決策を導き出そうとしているわけではない」と述べた。

 恒久的な宇宙滞在には、3Dプリンターなどの技術も重要となる。これにより、軍や民間企業は月面で必要な部品を自ら製造でき、地球からの補給に依存せずに済む。

 ポータル・スペース・システムズの共同創業者で最高経営責任者のジェフ・ソーンバーグ氏はワシントン・タイムズに、「前方展開では必要なものをすべて持ち込むことはできない。想定外の故障は必ず起きるが、月に宅配便はない」と指摘する。

 その上で「金属やプラスチック粉末とコンピューターがあれば必要な部品を製造できる。これが極限環境で人類が生き残り、繁栄するための鍵になる」と語った。

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