イラン攻撃で兵器備蓄が減少 低コスト弾薬の開発急ぐ米

(2026年3月27日)

米国防総省が公開したこの写真には、2017年11月8日、ギリシャのハニアにあるNATOミサイル発射施設で、第1地対空・ミサイル防衛航空団に所属するドイツ軍兵士がパトリオットミサイルシステムを発射する様子が写っている。パトリオットミサイルシステムは、飛来するミサイルに対する強力な盾として、世界の紛争地域において、米国や同盟国にとって長年にわたり極めて重要な装備となってきた。欧州、中東、太平洋地域では、イラン、ソマリア、北朝鮮からの潜在的な攻撃から防衛する役割を担っている。そのため、今週、米国がウクライナへのパトリオットミサイル部隊の派遣に合意したというニュースが報じられたことは、重大な転換点となった。(セバスチャン・アペル/米国防総省、AP通信経由、ファイル写真)

By John T. Seward – The Washington Times – Tuesday, March 24, 2026

 米国防総省幹部は24日、米国がイラン攻撃で使用している1発何百万ドルにも上るミサイルに代わる低コスト兵器の開発に取り組んでいるものの、実用化までなお数年を要すると述べた。これにより米軍は依然として高価な弾薬に依存せざるを得ず、備蓄の不足が深刻化している。

 米国とイスラエルによる対イラン作戦では、短時間、低コストで補充できない複雑な兵器が大量に消費されている。軍当局者は上院軍事委員会で、より安価な弾薬は長期的には視野に入っているものの、国防総省の需要増に対応するための産業基盤の拡大には時間が必要だと説明した。

 米国の産業基盤拡大は、ロケットやミサイルの備蓄を回復させるうえで不可欠だ。先月末にイラン攻撃が始まる以前から、ウクライナやイスラエルへの武器供与により米国の備蓄は減少していた。精密攻撃兵器や防空用兵器の備蓄は、これら2つの友好国への支援で消耗していた。

 今回の紛争では、イランの安価なシャヘド製ドローンを撃墜するために高価なミサイルを多用しており、コスト面で大きな問題となっている。

 リック・スコット上院議員(共和党、フロリダ州)は「安価な攻撃手段に対して数百万ドルの兵器で対応する状況を変える方法を見つけなければならない」と述べた。

 同氏は解決策の一つとして、昨年の国防権限法で導入された長期契約の拡大などを挙げたが、この措置は現在のペルシャ湾での紛争のわずか数カ月前に成立したばかりだ。

 「戦争省(国防総省)の長期契約を可能にしたことで、企業はより多くの投資ができるようになった」と同氏は述べた。

 国防総省は対イラン作戦費として2000億ドルを要求している。この額は、戦闘が長期化する可能性を示唆するものだが、ドナルド・トランプ大統領は23日、戦闘停止に向けイラン高官と直接協議していると述べている。

 イラン側は交渉を否定し、「完全勝利まで戦う」と表明した。パキスタンやエジプト、湾岸アラブ諸国が水面下で仲介を試みているが、現時点では初期段階にとどまっている。イスラエルは攻撃継続を明言している。

 外交努力が続く一方で、米国は中東での軍事態勢を強化している。

 第82空挺師団の即応部隊は高度な警戒態勢にあり、イランの重要な石油輸出拠点カーグ島の占領作戦を含む任務に対応可能とされる。軍当局によれば、3000人以上の空挺部隊が命令から18時間以内に展開できる状態にある。さらに約1000人の部隊が同地域派遣への準備を進めている。

 また、第31海兵遠征部隊も週末までに中東へ到着する見通しだ。

 ピート・ヘグセス国防長官は、2000億ドルという費用見積もりは情勢次第で増加する可能性があると強調した。

 「当然ながらこの数字は変動し得る。敵を排除するには資金が必要だ。これまでの対応と今後必要となる行動のため、議会に適切な資金確保を求める」と述べた。

■エスカレーションの代償

 議会は前年度にロケットやミサイルに一定の予算を計上したが、その額は約5億ドルにとどまり、現在必要とされる2000億ドルとは大きな隔たりがある。

 ジョニ・アーンスト上院議員(共和党、アイオワ州)は「防衛産業基盤の強化を継続する必要がある」と述べた。

 低コスト弾薬の多くは依然として研究段階にある。ロッキード・マーティンのような大手に加え、アンドゥリルなど新興企業も開発競争に参入している。アーンスト氏は、これらすべての企業が役割を果たすべきだと強調した。

 「大手企業だけでなく、スタートアップや中小企業も重要であり、将来的にはそれがコスト低減につながる」と述べた。

 現在の米防衛産業は需要過多の状態にあり、特にペルシャ湾地域での消費増大が負担となっている。

 シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)の情報国家安全保障技術プログラムのディレクター、エミリー・ハーディング氏は「防空は非常に困難で高コストだ」と指摘し、限られた迎撃ミサイルの配分が各国に難しい判断を迫っていると述べた。

 CSISの中東プログラムのディレクター、モナ・ヤクビアン氏は24日のイベントで「すでに、防空システムの割り振りを制限せざるを得なくなっている証拠が見え始めている。何を守るべきか。こちらを守るのか、あちらを守るのか、という選択を迫られている」と語った。

 米国の備蓄減少への懸念が高まる中、負担を軽減するための解決策として、より安価な代替手段が有望視されている。

 エリック・シュミット上院議員(共和党、ミズーリ州)はワシントン・タイムズに「特に中国を見れば分かるが、彼らはすでにこうした低コストの自律型兵器システムを導入している。われわれは常にイノベーションにおいて先を行ってきたが、今後はこれらを大量生産できなければならない」と語った。

 国防総省当局者は、兵器生産にかかわってこなかった企業、デュアルユース(軍民両用)技術を持つ企業が参入しやすくなるよう、障壁を積極的に下げていると語った。エリザベス・オカノ海軍中将は同委で、海軍の主要な弾薬契約企業の基盤が、過去30年間で50社以上からわずか5社にまで縮小したことを明らかにした。オカノ氏は、現在はこの集約化の流れを逆転させるべく取り組んでいると述べた。

 また、フランシスコ・ロザーノ陸軍中将は、ベンチャーキャピタルの支援を受けたスタートアップ企業が、精密攻撃兵器向けの低コストシステムを開発中だと証言した。

 しかし、こうした動向がすぐに状況を変えると誰もが考えているわけではない。

 上院軍事委員会の民主党トップ、ジャック・リード上院議員(ロードアイランド州)はワシントン・タイムズに「われわれは依然として、非常に高価な弾薬の購入を強いられている」と語った。同議員によれば、安価な兵器が「極めて高価なシステムの補完として計画されている」ものの、「高価な兵器の調達が減少する兆しは、今のところ見えない」

2025年7月28日、中国・上海で開催された世界人工知能会議で展示されたファーウェイのAtlas 900 A3 SuperPoDの前を、来場者が通り過ぎる。(Chinatopix提供、AP通信経由)

中国、世界の通信インフラ支配を拡大 元米NSA長官が警告

(2026年10月11日)
2026年8月19日(水)、ワシントンD.C.のワシントン記念塔から見たペンタゴン。(AP通信/アレックス・ブランドン撮影)

バイデン前政権の性自認政策に「懸念」 陸軍特殊作戦部隊の内部文書を入手

(2026年10月09日)
2023年5月7日、台湾・台北の国立孫文記念館にある台北101ビル付近で、台湾の国旗がはためいている。(AP通信/Chiang Ying-ying撮影)

中国、台湾への「グレーゾーン」戦強化 通信網攻撃想定し米シンクタンクが机上演習

(2026年10月08日)
J・D・バンス副大統領が、2026年9月18日(金)、アイオワ州カウンシルブラフスのミッドアメリカセンターで開催された共和党全国委員会の中間選挙集会で演説するために到着した。(アンナ・マネーメーカー/AP通信提供プール写真)

キルスイッチ、監視、開発停止 議会でAI規制案続々 合意に至らず

(2026年10月07日)
ドラキュラの衣装を着た男性が、パートナーとルーマニアのブカレストで開催されたハロウィーン・フェスティバル「ウエストサイド・ハロ・フェスト」で自撮り写真を撮っている(2023年10月28日土曜日)。先週末、ブカレストの天使の島半島には数万人が集まり、共産主義体制崩壊以来、東欧諸国で最大規模のハロウィーン・フェスティバルとなった。(AP通信/ヴァディム・ギルダ撮影)

ハロウィーン衣装、今年の人気は中世の騎士、ドリー・パートン、「ゼルダの伝説」

(2026年10月04日)
2026年9月8日火曜日、ワシントンD.C.のペンタゴンを上空から撮影(AP通信/ジュリア・デマリー・ニキンソン撮影)

防衛技術ブームに陰り 企業統廃合が拡大か 中間選挙、資金調達がピーク

(2026年10月02日)
2014年8月14日に撮影されたこの写真には、ワシントン州ブレマートンのピュージェット・サウンド海軍造船所の埠頭に停泊する空母「USSレンジャー」が写っている。退役したこの空母は、木曜日にワシントン州ブレマートンからテキサス州ブラウンズビルのインターナショナル・シップブレイキング社まで曳航される予定だ。(AP通信写真/キトサップ・サン紙、ラリー・スティガール)

海軍原子力造船所の近代化に遅れ、かさむコスト-政府監査院報告

(2026年09月29日)
2026年8月22日(土)、ニューヨークのバークレイズ・センター前で、インディアナ・フィーバー対ニューヨーク・リバティのWNBAバスケットボールの試合前に、トランスジェンダーの女子スポーツ選手に反対するデモ隊が集まった。(AP通信/アンジェリーナ・カツァニス撮影)

トランス女性が女子スポーツで金メダル大量獲得 議会でも公平性巡り議論

(2026年09月28日)

米空軍、シンクタンクを閉鎖 中国の脅威分析へ影響懸念

(2026年09月26日)
州選出のマーシー・カプトゥール下院議員(民主党)が、2022年12月9日、オハイオ州トレドでインタビューを受けている。(AP通信/カルロス・オソリオ撮影)

民主党議員が反トランスジェンダーに転換 LGBTQ団体が反発

(2026年09月25日)
→その他のニュース