米政府のイラン核合意復帰を阻止すべく米議会議員に圧力かけるイスラエル
By Mica Soellner – The Washington Times – Friday, July 16, 2021
ベニヤミン・ネタニヤフ首相の12年間の統治を終わらせ、この6月に代わったばかりのイスラエル新政府は、合衆国議会の下院外交委員会の民主・共和両党議員に対して、イランとの2015年の「包括的共同行動計画(JCPOA)」、いわゆる核合意にバイデン大統領が戻ろうとしていることを支持しないよう訴えた。
「彼ら(イスラエル指導者たち)は、米国がイランとの核合意に再び参加するのを望んでいない」、ニコール・マリオタキス議員はワシントンタイムズに語った。 「そうした見解を代表団が聴取したこと、特に、かつては核合意に賛成した委員たちが聴いたことは大事なことだったと思う」。
マリオタキス氏(ニューヨーク州、共和党)は先週、コロナ禍発生以来初めての議会代表団旅行として、2人の共和党議員、7人の民主党議員とともにイスラエル、ヨルダン川西岸地帯、カタールを訪れた。
イランからの核の脅威はイスラエルにとって最大の問題だ。イランのイスラム政府指導者たちは、イスラエルを地図から一掃する、と威嚇してきたからだ。
代表団旅行に参加した委員の一人は、核合意をめぐってイスラエル側と討論した米議会の委員たちの主張は「非常にバランスのとれたものだった」と言明した。「個人的意見であろうとなかろうと、現在のJCPOAを称賛し堂々と支持表明した発言者は一人もいなかった」、この委員はワシントン・タイムズに明かした。 「それは(出席者たちが)率直に物を言わなかったからだろう。」
見解が一致しているように見えても、イスラエルをめぐる民主党の亀裂は隠しようがない。極左とされるイルハン・オマル議員(ミネソタ州)などは、反イスラエルの物言いのせいで、同党批評家から(同議員は)反ユダヤ主義だと指弾されたほどだ。
この5日間の旅行は、外交委員会のグレゴリー・ミークス議長(ニューヨーク州選出、民主党)が主導した。ミークス議員は、イスラエルに対する米国の責任を改めて確認し、米議員団として初めてイスラエル新政府要人と会ったこと、超党派での訪問だったことを強調した。
「私は下院外交委員会の委員長であり、今回のリーダーとして、初めての海外旅行団が超党派になるよう努力し、また政治が我が国の外交と安全保障には決して干渉しないことを示したと思う」、ミークス議員は声明でそう述べた。
同議長に同行したのは、民主党からテッド・ドゥッチ議員(フロリダ州)、デイビッド・シシリーヌ議員(ロードアイランド州)、アビゲイル・スパンバーガー議員(バージニア州)、サラ・ジェイコブス議員(カリフォルニア州)、キャシー・マニング議員(ノースカロライナ州)、ブラッド・シュナイダー議員(イリノイ州)。共和党から旅行に加わったのは、マリオタキス議員とフレンチ・ヒル議員(アーカンサス州)、アンディ・バー議員(ケンタッキー州)だ。
バー議員は今回の旅行最大の持ち帰りは、ナフタリ・ベネット新首相と彼の前任者ネタニヤフ前首相がイラン核合意に関しては同様の見解を持っていたことだ、と語った。
「民主党はイラン核合意にイスラエルが反対しているのはネタニヤフ前首相のせいだと考えてきたが、そうではない。イラン合意は悪い取引だからイスラエル全体が反対しているのだ」、バー議員はワシントン・タイムズへの声明でこう述べた。
今年4月には、民主党上院議員団27人がバイデン大統領に書簡を送って、イラン核合意に再加盟する件は、バイデン政権下の国家安全保障政策でも優先事項にするよう要求した。
「過去4年間の損失を受けて、我が国は世界中で色々な課題に直面している。イランの核計画による脅威に対処するため、差し迫った国家安全保障上の優先事項の一つが、包括的共同行動計画に復帰することであるのは間違いない」、議員団の書簡にはそう書かれた。
その書簡に署名した議員団の中には、ティム・ケイン上院議員(バージニア州)、リチャード・ダービン議員(イリノイ州)、エリザベス・ウォーレン議員(マサチューセッツ州)、ダイアン・ファインスタイン議員(カリフォルニア州)などが含まれていた。
ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は水曜日、米国政府は新たなイラン合意に復帰するための協議を続けており、その合意は「我が国の利益になるものだ」と主張した。