タリバンは首都へ、大統領は国外へ、米大使館は文書を燃やす
電撃作戦から政府側に無条件降伏を要求
By Ben Wolfgang and Guy Taylor Sunday, August 15, 2021
日曜日の朝、タリバンの戦闘集団がアフガニスタンの首都に進入し、アフガン政府に無条件降伏を要求する一方で、アメリカの外交官たちは機密書類の焼却に忙しく、米軍はカブールから人員退避に忙殺されていた。
これが二十年の闘いから米軍が撤退するのに合わせるように、反乱勢力が電撃的な攻勢をした結果だ。
報道によると、タリバンとアフガン当局者は、新たな暫定政府に向け平和的な権力移行を協議中だ。タリバン戦闘員が首都を包囲する中、米国が支援し続けてきたアフガン政府は、カブール市内の流血を避けようとしている。
アフガニスタンのアシュラフ・ガニ大統領は日曜日、タリバンと政府代表が大統領宮殿で正式会談をしているさなかに国外に退去した。タリバン関係者は間もなくカブールの大統領宮殿から、「アフガニスタン・イスラム首長国」の樹立を宣言すると述べた。
AP通信の報道では、カブールの米国大使館は日曜日、すべての業務を停止する一方、首都の国際空港で銃撃の報告があったとして、アメリカ市民に安全確保を呼びかけた。
こうした事態が進行する中、米国のアンソニ・ブリンケン国務長官は日曜日朝の報道番組に出演し、ベトナム戦争の最後の段階で米国が撤退を余儀なくされた場面との類推を拒否した。しかし多くの視聴者は、米国大使館の敷地にヘリコプターが着陸して、大使館職員らをカブール国際空港内の安全な場所に搬送している光景を、信じられない思いで目撃することになった。
タリバンがこれほど早くにカブールまで到達することは、ほとんど誰も予測できなかった。先週の段階でも米国の情報関係者は、カブールが数ヶ月以内にタリバンの手に落ちる可能性がある、と推測していた。しかしタリバンの武装勢力より、はるかに装備が整い組織化もされていたはずのアフガン正規部隊が、ほぼ完全に崩壊状態で、全土の各都市を確保したタリバン部隊が首都に到着するのに数日しかかからなかった。
バイデン大統領とトランプ前大統領が、目下のアフガニスタンの混とん状態の責任を非難しあう中、米国政府は外交官その他の人員を避難させるのに余念がない。AP通信は日曜日、米国大使館の屋根のあたりから煙が立ち上っていたようだと伝え、タリバン戦闘員が大使館内に侵入する前に、機密書類などを焼却していた模様だと報じた。
米政府は首都からほぼ、米関係者の全員を早急に退去させようとしているようで、首都上空に米軍ヘリコプターが目撃された。バイデン大統領は週末に、撤退を支援するため、アフガニスタンに1,000人の米軍部隊を送り込むことを承認した。
国防総省の声明では、合計5,000人の部隊がアフガン国内にいるか、間もなく到着して、米外交官および、過去二十年間米国とともに通訳などで働いてきたアフガニスタンの協力者たちを避難させることになる。
米国のアフガン撤退は、当初トランプ前大統領がタリバンと交渉し、バイデン大統領は危険の兆候が高まる中で実行に踏み切ったものだ。しかし反乱勢力が首都に展開してきた中では、より困難なものになることが予想される。
タリバン関係者は、カブールからの安全な通過を許可するよう戦闘員たちに指示したと述べる一方で、市内の安全は依然としてアフガニスタン政府の責任だと主張した。
「アル・ジャジーラ」の伝えるところでは、「権力移行プロセスが完了するまで、カブール市内の安全確保は向こう側にある」とタリバンの広報担当者が述べた。
一方、米国では合衆国議会の議員たちが憤慨している。タリバンがアフガニスタン政府を転覆させようとしていた証拠や、同勢力がアルカイダとの関係を維持している証拠があったにもかかわらず、バイデン・トランプ両大統領が米軍の全面撤退を主張した、と非難している。
サウスカロライナ州選出のリンゼイ・グラハム上院議員(共和党)は土曜日遅く自身のツイッターに次のように投稿した。「アフガニスタンの総崩れに誰が責任をとるのか。米軍指導者たちに話を聴いて私が確信したことだが、軍関係者はトランプ・バイデン両大統領に一貫して妥当な提言をしていた事実だ」。
「米国の軍トップは助言しかできず、行動を起こすのは政治のトップ、つまり最高司令官である大統領と、そのチーム次第だ。アフガニスタンからの全面撤退という決定は、まっとうな軍事的助言に反する形でなされたのだ。」