中国、アジア系米国人の反発煽るサイバー活動
By Ryan Lovelace – The Washington Times – Wednesday, September 8, 2021
サイバーセキュリティー専門家らが、大規模な、親中デジタル影響工作活動が行われていることを明らかにした。
人種的不公正の報道をめぐってアジア系米国人の怒りをあおり、新型コロナウイルスの発生源は米国だと非難しているという。
この活動を明らかにしたのは、サイバーセキュリティー企業、ファイアアイ傘下のマンディアント。中国語、ロシア語、ドイツ語、スペイン語、韓国語、日本語など複数の言語で、少なくとも30のソーシャルメディア、何十ものウエブサイトを使っている。
専門家らは、さまざまな言語、プラットフォームを使用するのは、世界中の広範囲の人々を狙っていることを示していると指摘している。
マンディアントのアナリスト、ライアン・セラビアン、リー・フォスター両氏は、この活動発表の際に、「活動を行っているグループは、ネット上のさまざまなところに進出しており、世界中の広範囲の人々に情報を届けるよう数多くのプラットフォーム上でプレゼンスを確立しようとしている。もう一つは、米国で、実際に抗議デモを動員しようとしていることから、もっと直接的な影響工作を模索し始める可能性があり、中国以外で実際の活動を引き起こすことを狙っていることを示しているのではないかと警戒している」と述べた。
専門家らは、中国共産党を名指ししてはいないが、このプロバガンダ工作を、ツイッターが2019年に閉鎖した中国のアカウントと関連付けている。
ファイアアイは4月、アジア系米国人に人種的不公正に対し抗議するよう呼び掛ける数千件の投稿を確認している。一部は、アジア系米国人に、4月24日にニューヨークで行われる、トランプ前政権の首席戦略官だったスティーブ・バノン氏、米国に亡命した中国人富豪、郭文貴氏、新型コロナは中国政府の研究所で作られたと主張している中国人生物学者、閻麗夢氏への抗議デモに参加するよう呼び掛けていた。
閻氏は昨年、FOXニュースのタッカー・カールソン氏に、新型コロナは中国が作り、被害を出すため意図的に拡散させたと述べ注目を浴びた。
また、ファイアアイによると、親中組織は影響工作で、新型コロナの発生源は中国ではなく米国だと訴えている。特にメリーランド州のフォートデリックにある米軍の生物研究所が標的となっている。ロシア語の投稿を使って、フォートデリックが新型コロナの発生源だという偽情報を流した。スペイン語の投稿でも、フォートデリックを名指しし、新型コロナはまず米国と欧州で出現し、中国に拡大したと主張する記事のリンクが張ってある。
フォートデリックは以前から、敵対国のプロパガンダの標的となってきた。シンクタンク、ウィルソン・センターによると、1980年代には、ソ連が、エイズウイルスは、フォートデリックにある米陸軍の感染症医療研究所で行われた生物兵器の研究で遺伝子操作され、作り出されたといううわさを広めた。
専門誌「冷戦研究ジャーナル」によると、ソ連のエイズウイルス・フォートデリック発生説を訴える活動は、1983年から1989年まで行われた。ソ連は、この活動は「数多くのブルジョア新聞」のおかげで成功したと考えている。とりわけ、エイズウイルスはアフリカのサルから発生したとされる説を人種差別的と考えていたアフリカ各国で、この活動に理解が得られたという。