中国国営メディア、米民主主義を批判 マルクス主義推進の一環か
By Bill Gertz – The Washington Times – Tuesday, November 5, 2024
中国の国営メディアが5日に発表した一連の論評によると、米国の民主主義は経済、政治、社会問題の増大に直面して失敗しているとしている。
この論評は、米大統領選に合わせて掲載され、公式の宣伝機関である中国国営新華社通信は、米国の選挙の八つの問題を取り上げた記事を掲載した。それによるとこれらの問題が「米民主主義の真実」を明らかにしていると主張、インフレの高騰、医療の不備、暴力的犯罪の増加、劣悪な教育システム、中絶権の制限、フラッキング(水圧破砕法)、高騰する住宅費、移民問題などを挙げている。
新華社は論評で、「民主党と共和党の候補者は、これらの緊急な課題に対してどんな解決策を提案しているのか。なぜそのアプローチは米国の有権者の懸念を和らげることができなかったのか」と問いかけており、アナリストらは、これは中国が米国の選挙に干渉した一番近い事例だと述べている。
今週、米国の情報機関は、ロシアとイランが選挙干渉を行っていると述べた。ロシアは共和党候補のドナルド・トランプ前大統領を支持し、イランは民主党の対抗候補であるカマラ・ハリス副大統領を支持しているとされる。
5月には、ロシアが使用した手法を中国が模倣して、偽のソーシャルメディアアカウントを作成し、「物語を広め、分裂をあおっている」とFBIが警告した。
今週、米当局は、中国のハッカーが、トランプ氏とJ.D.バンス上院議員(オハイオ州)が使用していた携帯電話のデータをターゲットにした攻撃を行ったと報告している。携帯電話ハッキングのターゲットにされたとされる他の人物には、フロリダ州選出の上院議員マルコ・ルビオ氏、テネシー州選出の上院議員マーシャ・ブラックバーン氏、テキサス州の下院外交委員会委員長マイケル・マコール氏が含まれている。
しかし、米情報当局者は、中国の選挙干渉がロシアやイランほど積極的ではなかったと結論づけている。それでも中国は、昨年の夏に米国の大学で行われた、パレスチナ自治区ガザでのイスラエルとハマスの紛争に関して学生たちが行った激しい抗議行動を模倣する形で、オンラインで社会的な不和をあおろうとした。
連邦捜査局(FBI)とサイバー・インフラ安全局(CISA)は声明で、ハッカーは「中国人民共和国に関連する者である」と発表した。
中国政府は、米国の選挙や中国が支持する候補者について直接的なコメントを避けようとしている。
しかし、今回の記事での国営メディアの批判は、アナリストが指摘するところによると、中国共産党が自国のマルクス主義イデオロギーを促進する政策の一環として、米国の民主主義を批判しようとしていることを反映している。このイデオロギーは「中国の特色ある社会主義」と呼ばれている。
記事は、米国の世論調査のデータを引用し、取り上げられた問題が、「現在の政治的混乱」に苦しむ米国の民主主義の困難な状態を明らかにしていると示唆している。
犯罪に関してはは、米国での暴力犯罪が「銃暴力」や学校での銃乱射事件の増加に起因すると述べている。米国の市民が4億丁以上の銃を所有しており、それは米国の人口よりも多いと指摘し、銃規制を強化すべきだとしている。