中国軍パイロットに飛行訓練 海軍元パイロット起訴
By Bill Gertz – The Washington Times – Thursday, December 15, 2022
米海兵隊、海軍の元パイロット、ダニエル・ダガン被告が、中国軍パイロットに空母艦載機の飛行訓練を行っていたとして起訴されていたことが明らかになった。ダガン被告は10月にオーストラリアで逮捕されており、違法な活動の詳細が明らかにされるのは初めて。
9日に公表された起訴状によると、ダガン被告は、中国、南アフリカなどで「中国軍パイロットに空母へのアプローチ、着艦の訓練」を行った。2010年10月、12年の3月と11月に中国軍パイロットに訓練を施しており、ちょうど、中国初の空母「遼寧」の配備時期と重なる。
また、米海軍で使用された艦上ジェット練習機T2バックアイを、南アフリカ企業への売却を偽装して、中国に引き渡していたことも明らかになっている。
外洋進出能力を強化する中国軍は、遼寧に続いて2隻目の空母「山東」を就役させ、3隻目の空母「福建」が8月に進水した。福建は、満載排水量8万㌧超の大型空母で、最新の電磁カタパルトを備える。米海軍は11隻の空母を保有しているが、電磁カタパルトを備えるのは最新の原子力空母「ジェラルド・フォード」のみだ。
起訴状によると、中国の瀋陽では、地上に設置した模擬空母で、着艦を誘導する着艦信号士官(LSO)の訓練も施している。
米太平洋艦隊情報部長を務めたジム・ファネル元海軍大佐は、「ダガン氏が中国軍に施した訓練の内容は、米海軍が100年以上にわたって命懸けで獲得してきたもの」と指摘、LSOの訓練については、「(パイロットの)生死、空母の任務の成否」に関わってくるものであり、艦載機パイロットの「すべての訓練の中で最も重要」と強調した。「ダガン被告がしたことは、中国海軍の強力な航空戦力構築のタイムラインを早める」と警告した。