キーストーンXL中止で数千の雇用と数十億ドルを喪失-米エネルギー省
By Ramsey Touchberry – The Washington Times – Friday, January 6, 2023
バイデン大統領が、カナダからメキシコ湾岸に日量80万バレルの石油を運ぶはずだったキーストーンXLパイプラインの建設を中止したことで、数千の雇用と数十億ドルの経済活動が失われた可能性が高いとするエネルギー省(DOE)の最新の報告書が発表された。
18ページに及ぶこの報告書は、過去の研究の文献調査に基づき、このプロジェクトは1万6149人~5万9468人の一時的な雇用と34億ドル~96億ドルの経済効果を生むと結論づけ、開発中止の影響をめぐる共和党とエネルギー部門からの批判をほぼ裏付けるものだとしている。
DOEは、この「雇用の上限は過大に見積もられている」としている。これは、一部の雇用が海外で創出されることと、既存のキーストーン・パイプラインの既設区間の雇用が含まれているためだ。また、2014年の国務省の調査に基づき、XLパイプラインが稼働した時点で恒久的な雇用となるのは約50人に過ぎないと改めて主張、建設期間中に3900人の直接雇用が創出され、合計で2万1050人に上ると推定している。
プロジェクトの中止による消費者物価への影響については、「特にキーストーンXLパイプラインが提案されて以来、カナダと米国の原油市場で起きた変化を考慮すると、結論は出ない」としている。
バイデン氏は就任初日に、気候変動政策の一環として、数十億ドル規模のパイプライン操業に不可欠な許可を取り消した。その結果、民間開発業者であるTCエナジー社は、最終的にこのプロジェクトの中止を余儀なくされた。共和党とエネルギー産業は、バイデン氏が雇用とエネルギー安全保障を犠牲にしたと非難し、怒りを爆発させた。
共和党のジェームズ・リッシュ上院議員(アイダホ州)は声明で、「エネルギー省はついに、キーストーン・パイプラインに関する最悪の秘密を認めた。バイデン大統領がキーストーンXLパイプラインの中止を決定したことで、何千もの米国の雇用が失われた。大統領は就任初日に作り出したエネルギー危機を解決するために、独裁者や専制君主ではなく、米国でエネルギーと雇用を創出することに目を向けなければならない」と述べた。
この報告書は先月のものだが、共和党のスティーブ・デインズ上院議員(モンタナ州)とリッシュ氏によって今週、公表された。議会が命じた期日の2022年2月13日から10カ月たった先月、一部の議員に公開されたが、注目されなかった。公開は、2021年の超党派インフラ法に盛り込まれている、デインズ、リッシュ両氏の条項で規定されているもの。同法は、法案通過後90日以内に経済報告書を作成しなければならないとしている。
キーストーンXLは原油を、カナダ国境からネブラスカ州スティールシティーまでの875マイル(約1400キロ)を輸送し、原油はその後、既存のキーストーン・パイプラインを通って南に送られ、最終目的地であるメキシコ湾岸の精製所に供給される予定だった。
デインズ氏は声明で「バイデン政権はついに、われわれがずっと知っていたことを認めた。キーストーンXLパイプラインの廃止は、高給な雇用を犠牲にし、モンタナの経済に打撃を与え、バイデン政権による米国での石油・ガス生産への戦争の第一歩となった。残念ながら、政権は、米国以外の場所でエネルギー生産を続けることを目指している」と述べた。
ワシントン・タイムズは2022年5月に、この報告書をめぐる省内情報の公開請求を行ったが、結局DOEから回答がなく、担当者は数カ月後に、省内のどこを調べたらいいのか分からず、探し出せなかったと主張している。同省がいつからこの報告書の作成に着手したのかは不明だ。
DOEはコメントを拒否し、報告書の遅れや、なぜ公開されなかったかについての質問にも答えなかった。報告書によると、先月14人の議員にのみ送付され、その中にはデインズ氏もリッシュ氏も含まれていなかったという。
米国のエネルギー労働者を擁護する非営利団体「パワー・ザ・フューチャー」は、パイプラインがトランプ前大統領の下で最初に許可されたことから、バイデン氏が政治的駆け引きを行っていると非難した。
パワー・ザ・フューチャーの創設者で事務局長のダニエル・ターナー氏は、「キーストーンXLパイプラインはわが国のエネルギーインフラに対する常識的な解決策だったが、トランプ大統領によって承認されたため、ジョー・バイデンはささいな政治的理由でそれを破壊せずにはいられなかった。ジョー・バイデンはよく労組の雇用を創出することを口にするが、常に人よりも政治を優先していることは明らかだ」と語った。