イランへの譲歩で反体制組織弾圧を傍観するバイデン政権
By Guy Taylor – The Washington Times – Monday, June 26, 2023
亡命イラン反体制派の代表的なグループによると、バイデン政権はイランの強硬な神政政権をなだめることで核開発疑惑に関する交渉の席に再び着かせようとしており、欧州にいる反体制派に対する攻撃を傍観しているという。
イラン最大の反政府組織ムジャヒディン・ハルク(MEK)がアルバニアに設置したキャンプを、アルバニア当局が捜索して以降、MEKは改めて監視対象となった。フランス政府は先週、暴力の危険性を理由に、パリ中心部で7月に予定されていた反イラン集会を認めないと発表した。この集会は2008年以来、毎年行われてきたものだ。
MEKと連携するイラン国民抵抗評議会のアリ・サファヴィ代表は、ワシントン・タイムズ紙の取材に、バイデン政権は「イランの残忍な支配者たちに譲歩し不当にMEKを中傷している」と語った。
MEKには米政府との波乱の歴史がある。同組織はかつて、米国務省の「外国テロ組織(FTO)」に指定・解除されたことがある。彼らは近年、イランの政権交代を訴え、トランプ前政権の対イラン「最大限の圧力」政策に同調することで政治的影響力を獲得した。
過去3年間、イラン政府との緊張緩和を模索してきたバイデン政権は、MEKに警戒姿勢を示すようになり、アルバニアが同組織施設を捜索したことも問題にしなかった。フランスが年次集会中止を決定したことにも米政府は反対しなかった。
MEKは、オバマ政権による仲介でアルバニアに難民施設を設立した。MEKによると、アルバニア当局は6月20日にコンピューター150台を押収し、数人が負傷、65歳の反体制派イラン人が死亡した。
イラン国営のタスニム通信は、アルバニアがイラン政府の要請で捜索を行ったことを示唆した。イラン政府は、MEKをイスラム主義政権の転覆を狙うテロ組織と見なしている。
「アルバニアで起きたことは実際、イラン当局の外交と、さまざまな組織の行動の結果だ」と、タスニム通信は報じた。
アルバニア政府は13年に、MEKのメンバーがいかなる政治活動にも関与せず、かつアルバニア国内の法律を順守することを条件に保護することに合意した。AP通信によると、「アシュラフ3」キャンプは現在、100エーカーの土地に125棟以上ある建物でイラン人亡命者約2500人を保護している。
米政府はコメントを出していないが、国務省はワシントン・タイムズに対し、米当局は捜索について報告を受けており、合法的に行われたと確信していると述べた。その上で、「アルバニア政府が領土内の潜在的な違法活動について調査する権利を支持する」とした。
米国とイランの水面下での接触は、トランプ前大統領が18年に拒否した15年イラン核合意の何らかのバージョンを復活させるためのものだ。バイデン政権下でイラン担当特使を務めるロバート・マレー氏は、イランのアミール・サイード・イラバニ国連大使と複数回接触したと報道されており、米国がイランを核交渉に引き戻そうとしているという臆測を呼んでいる。報道によると、イランの核兵器開発はまたも「ブレイクアウト」ポイントに近づきつつあるという。
イランを交渉の席に引き戻すバイデン政権の試みは昨年、欧州主要国が提案した譲歩案をイランが拒否したことで失敗した。イラン側は、核合意が破綻し、強硬な経済制裁が復活した責任は米国にあると非難している。また、将来の米政権がトランプ氏のようにイラン核開発を制限する協定を拒否しないことを保証するよう求めている。