戦争の現実が阻むウクライナの反転攻勢

(2023年7月30日)

2022年4月19日、ウクライナのキエフに近いイルピンで、最近の戦闘の後、地雷原の地雷を除去する内務省の兵士。キプロスはアイルランドと米国の軍事専門家と協力し、ウクライナの2つのグループに対し、ウクライナ国内に無数に存在する地雷原の除去訓練を支援していると、島国の国防相が2023年5月12日金曜日に発表した。(AP=写真/エフレム・ルカツキー、ファイル)

By Ben Wolfgang – The Washington Times – Friday, July 21, 2023

 ウクライナがロシアの侵略者を撃退する決定的な作戦は、今夏の軍事的大成功、ゲームチェンジャーになると思われた。

 しかし、広く期待されていたウクライナの反転攻勢は、せいぜいのろのろの前進であり、目に見える進展はほとんどない。

 批評家からは、最悪の場合、作戦は明白な失敗へと向かっており、ウクライナもロシアも戦場で決定的な勝利を収められないことをはっきり証明することになる、との見方が出ている。バイデン米政権は最終的に主要目的を達成できない軍事作戦により多くの資金と人員が費やされるのを見守るよりも、ウクライナを交渉のテーブルに着かせるべきだというのが彼らの主張だ。

 他のアナリストやウクライナの高官たちは、6月上旬に開始した反転攻勢は大きな期待の犠牲になっていると訴える。戦争初期のロシア軍の失敗やロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏が主導した最近の反乱により、ロシア軍は崩壊寸前であり、ウクライナの攻勢が本格化すれば分裂するとの見方が出ていた。

 しかし、現実はまったく違っていた。

 ロシアは内部の政治抗争、指揮統制体制の不備、兵士の士気の低さにもかかわらず、ウクライナ東部でのウクライナ軍の進撃を鈍らせるために精巧な地雷原などの防御を構築した。戦争では通常、防御は攻撃よりも管理しやすく、ウクライナは昨年、それに成功したために、幾つかの明らかなハンデを抱えて戦いに臨んだ。

 ウクライナの攻撃部隊はより訓練され、活気づいており、ロシアの占領軍を南部と東部で二分することができると期待されていたが、前衛部隊は目標から数十マイル離れた場所にとどまっている。

 オバマ元米政権で欧州・北大西洋条約機構(NATO)政策担当の国防副次官補を務めたジム・タウンゼント氏は、ウクライナの前進に対する失望はこの状況への根本的な誤解からきていると指摘する。

 「ウクライナには空からの援護がない。地雷原は本当に危険だ。われわれのような装備もない。サダム・フセインの防衛網を切り裂いた『砂漠の嵐』作戦のような米国流の攻撃は期待できない」。タウンゼント氏はインタビューでこう語った。「彼らにはその装備がなく、われわれも彼らにその装備を与えていない。われわれは傍観し、それをとがめることはできない」

 タウンゼント氏はまた、「他の多くの同盟国も、地雷原の処理に行き詰まっているはずだ」とし、「彼らが近いうちに突破口となる地域を発見できることを願っている。もし彼らが突破できる地域を見つけることができれば、彼らに供給してきた多くの戦車や物資が機能するだろう。ただし、彼らはその場所を見つけなければならない」と語った。

 ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ軍が戦争初期に勝利を重ねていた時はほぼ沈黙していたが、ウクライナの攻撃がうまくいっていないことに自信を深めているようだ。

 プーチン氏は21日の安全保障会議で、「現在のウクライナ当局がここ数カ月、声高に宣伝してきたいわゆる反転攻勢の結果に、西側諸国が操るウクライナ政府の連中がはっきりと失望しているのは明白だ」と述べた。

 プーチン氏はウクライナの前進を支援するために供給された西側の武器の性能を嘲笑し、「結果は出ていない。少なくともまだ出ていない」と語った。

 ウクライナのゼレンスキー大統領も、外部のウオッチャーには明らかな通り、反転攻勢は宣伝のように行っていないことを認めている。

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