全米の地域社会に大きな負担強いる不法移民の急増
By Stephen Dinan – The Washington Times – Monday, October 2, 2023
不法移民の流入に対して最も大きな声で苦情を訴えているのはニューヨーク市かもしれない。だが、政府のデータによれば、バイデン米政権下で急増した不法移民は全米各地に広がっており、地域社会の受け入れ能力を圧迫している。
その数は膨大なため、米移民税関捜査局(ICE)は約半数のケースで強制送還手続きを開始できていない。これは連邦裁判所に提出された、5月の数日間に拘束・釈放された不法移民約2500人を追跡したデータで明らかになった。
政府によると、このうち100人はICEに現在の所在を全く報告していない。これは仮釈放違反だが、国土安全保障省は彼らがどうなるか明らかにしていない。
このデータから、国境に到着する不法移民とその対応に苦慮する政府の実態の一面がかつてないほど浮き彫りになった。
新規到着者の約18%、約6人に1人がニューヨーク市、ロングアイランド、ハドソン川に向かった。さらに30%はシカゴ、ボストン、マイアミ、サンフランシスコ地域に移動した。アトランタ、デンバー、デトロイト、ニューオーリンズ、ワシントンDCも行き先の上位だった。
アレハンドロ・マヨルカス国土安全保障長官は、新型コロナウイルス・パンデミック非常事態の解除と(不法移民を即時送還する)「タイトル42」国境政策の失効を見越して、移民を「仮釈放」した。仮釈放を阻止する裁判所命令にもかかわらず、移民は釈放された。連邦判事は、移民の所在と仮釈放条件の順守を報告するよう政府に要求している。
先月提出された最新の資料によると、2572人の不法移民のうち、2472人がICEに所在を報告しているが、起訴状または出頭通知(NTA)が出されたのは1290人にすぎない。NTAがなければ、彼らはまだ強制送還手続きには入っていない。
60日以内に所在を報告することが義務付けられているにもかかわらず、これを全くしていない者も100人いる。
「バイデン政権が移民制度をどのように破壊したかを知りたければ、これらの外国人への対応を見れば分かる」。移民審査官や移民問題担当議会上級スタッフを務めたアンドリュー・アーサー氏はこう語った。
ICEはこの報告書に関する問い合わせに応じなかった。政府は裁判資料で、選択肢を検討中であり、「適切」な対応のために仮釈放違反者をICEの逃亡犯追跡班に報告していると主張した。
「強制措置はケース・バイ・ケースで決定され、逮捕や拘留代替措置(ATD)プログラムによる監視強化、および拘留施設への収容が含まれるが、これらに限定されない」。ICEのダニエル・バイブル副局長代理は判事にこう説明した。
強制送還担当者はワシントン・タイムズ紙に対し、仮釈放違反者の情報はほとんどないため、追跡できる可能性は低いと語った。
政府は9月末で2023会計年度を終えた。最終的な数字が報告されれば、不法移民は米全体で過去最悪の年だったことが示されるだろう。
バイデン大統領が就任して以来、約600万人の無許可移民が米国への入国を試みた。一部は追い返されたが、専門家によれば、少なくとも200万人が拘束・釈放され、200万人近くは拘束を逃れたという。
不法移民が全米に広がったことで、移民を巡る議論も大きく変わった。筋金入りの民主党指導者たちでさえ、今や新たな不法移民がもたらす負担の大きさに苦情を訴えている。
ニューヨークのエリック・アダムス市長は、移民の受け入れコストが市を「破壊」すると主張している。