劣勢のトランプ氏、選挙戦巡り陣営分裂

(2024年8月22日)

2024年8月15日木曜日、ニュージャージー州ベッドミンスターにあるトランプ・ナショナル・ゴルフ・クラブで開催された反ユダヤ主義との闘いに関するイベントでスピーチする共和党大統領候補のドナルド・トランプ元大統領(AP Photo/Julia Nikhinson)。

By Seth McLaughlin – The Washington Times – Friday, August 16, 2024

 ドナルド・トランプ前大統領の支持者らは、大統領選までの最後の80日間でトランプ氏を勝利へと導く方程式は、偏向した主流メディアを打ち破ること、カマラ・ハリス大統領候補がバイデン大統領に仕えた副大統領であり、バイデン氏の失策(すなわち経済問題)に加担していることを有権者に思い出させることだと言う。

 トランプ氏は、突如として接戦へと追い込まれ、激戦州で劣勢に立たされ、従来の大げさで無分別な選挙戦のスタイルを抑えなければならないというプレッシャーにさらされている。トランプ氏はこの選挙戦スタイルで、共和党を支配し、全米で最も分断を招いた政治家となった、

 一方、トランプ氏の忠実な支持者や共和党の選挙参謀は、有権者にバイデン-ハリス政権の失政を起こさせるような思い切ったことをしなくても、依然続いているハリス氏の政治的ハネムーンを終わらせることはできると言う。

 トランプ氏のアドバイザーの1人は、「カマラを破滅させる鍵は、彼女の不人気な政策を追及する一方で、メディアで自身の考え方を擁護するよう圧力をかけることだ。有権者がカマラから直接話を聞けば聞くほど、カマラにとって不利になる。現実と食い違うカマラのプロパガンダを自分の目で見ることになるからだ」と語った。

 トランプ氏は選挙戦のペースを上げ、バイデン-ハリス政権の経済政策に照準を合わせている。

 トランプ氏は最近の遊説で有権者に対し、ハリス氏が増税と政府による管理強化を推し進めれば、1929年のような大恐慌が起こると語った。また、就任初日から経済を優先させるというハリス氏の主張を一蹴した。

 「カマラの就任初日は、実は3年半前のことだ。彼女はどこにいて、なぜそれがなされなかったのか」

 トランプ氏は、ハリス氏を社会主義者のベネズエラ大統領ニコラス・マドゥロ氏になぞらえた。

 「彼女はマドゥロのプランで動いている」

 トランプ氏は、いつもの攻撃路線に馴染みの不平を織り交ぜながら、報道機関が自分に公平な評価を与えず、移民や犯罪などの問題でハリス氏にフリーパスを与え、バイデン氏の精神的衰えを隠蔽していると不満をぶつけた。

 専門家らによると、トランプ氏の最大の敵はトランプ氏自身だという。

 トランプ氏は、個人攻撃をやめられないようであり、ソーシャルメディアで暴言を吐き、メディアで大きく取り上げられるような物議を醸す発言をすることで、本当に伝えたいことが伝わりにくくなっていると専門家らは指摘する。

 トランプ氏は今月、ハリス氏が政治的な理由で黒人であることを強調しているのではないかと疑問を呈し、2021年1月6日の連邦議会議事堂襲撃前に行った集会は、1963年のキング牧師が「私には夢がある」と言った演説よりも多くの観衆を集めたと主張した。

 トランプ氏が、「トランプはトランプであれ」というスローガンを広め、2016年大統領選での劇的な勝利へと導いた元選挙参謀のコーリー・ルワンダウスキー氏を再雇用したことで、トランプ氏が無節操な選挙戦に戻る可能性があるという考えが再び浮上している。

 トランプ氏の世論調査担当者であるジョン・マクラフリン氏は、陣営はハリス氏との対決という現実にまだ適応しておらず、ほとんどの有権者は「彼女がどのような問題に取り組んでいるのかまったく知らない」と述べた。

 「有権者が知らないことがたくさんある。ハリス氏の考え方とトランプ大統領の実績をもっと積極的に対比するキャンペーンを展開することになるかもしれない」

 ハリス氏は、報道陣の取材に応じないことで、自身の政策プランの詳細を明かさず、ミスを犯す可能性を抑えている。

 共和党の選挙参謀らは、ハリス氏はいつまでも逃げ隠れすることはできないと言う。

 共和党の選挙参謀フォード・オコネル氏は、ハリス氏は今後数カ月、「予防的防衛」を続けるだろうが、トランプ氏が執拗に「アメリカを再び手ごろな価格にする」というメッセージを打ち出せば、バイデノミクスを持ち出さざるを得なくなるはずだと語った。

 「メディアやハリス氏が何と言おうと、この選挙の争点は『食料品の値段』であることに変わりはない。彼女は、今は自分が責任を持つ立場にないと主張しようとしている」

 同じく共和党の選挙参謀のスコット・ジェニングス氏は、トランプ氏が選挙戦をリセットする「最も劇的で絶好の機会」は、9月10日に行われるハリス氏との最初の討論会になるだろうと語った。

 「報道陣は、ハリス氏のこれまでの過激主義や、バイデン氏の失政で彼女が果たした役割などに関して、その責任を問おうとはしない。だからトランプ氏が自分でやらなければならない。失敗はできない」

 「『一般的な民主党員』を相手に出馬するのであれば、それは厳しい道のりになるだろう。もし『急進的な社会主義者の民主党員』と対決するのであれば、その方が都合がいい」

 トランプ氏は何も変える必要はないと言う人もいる。

 トランプ氏の長年の盟友であるブルース・レベル氏は、トランプ氏が間違った道を歩んでいるとか、ハリス氏が好意的なニュースメディアや古いエスタブリッシュメントのルールに助けられて勝つという考えを否定する。

 レベル氏は、トランプ氏がヒラリー・クリントン氏との2016年の選挙戦で勝つとは予想されていなかったことを指摘した。

 「同じことだ。今回、私たちにとって有利なのは、情報の流れ方が変わったという点だと思う」

 レベル氏は、トランプ氏が最近、X(旧ツイッター)に、オーナーのイーロン・マスク氏とともに登場したことを強調、マスク氏がトランプ氏を支持し、この人気SNSを利用してトランプ氏のイメージを高めていることを指摘した。

 「『壊れていないなら、直さなくていい』という実業家の古い格言がある。人々は後付けでいろいろと言うが大好きだ。だが、最終的に決めるのはドナルド・トランプだ」

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