賭けに出る北朝鮮 米国の影響力は低下-ギングリッチ元下院議長

(2024年11月6日)

2022年7月26日、ワシントンのマリオット・マーキーズで開催されたアメリカ・ファースト政策研究所のアジェンダ・サミットで、ドナルド・トランプ前大統領の前で演説するニュート・ギングリッチ前下院議長。ギングリッチは自身の議会関係書類をチュレーン大学のルイジアナ・リサーチ・コレクションに寄贈した。ギングリッチはニューオーリンズの大学で教育学の修士号と博士号を取得した。(AP Photo/Andrew Harnik, File)。

By Ben Wolfgang – The Washington Times – Tuesday, November 5, 2024

 北朝鮮の金正恩総書記による挑発的な行動がこのところ激化している。これによって、朝鮮半島が地球上で特に危険な場所になり、世界大戦型の紛争の火種となる可能性がある。今こそ米国は一線を引き、北朝鮮の独裁者に韓国への軍事攻撃は政権の即時終了を意味することを明確に示す時だ。

 ニュート・ギングリッチ元下院議長は5日、ワシントン・タイムズ財団主催のオンライン・フォーラム「ワシントン・ブリーフ」でこう語った。その上で、正恩氏は現在、「何かを失うリスクは比較的低い」と計算しており、そのため、自国周辺の地域や世界に対する影響を把握することなく、軍事的・地政学的に乱暴な賭けに出ようとしていると強調した。

 北朝鮮はここ数週間、ウクライナに侵攻したロシアを支援するために1万2000人もの軍隊を派遣し、先週には米本土に到達可能な最新の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の飛行実験を行った。北朝鮮はこのICBM発射に続き、米大統領選挙が始まる数時間前の4日夜遅く、東部の海に向けて複数の短距離弾道ミサイルを発射した。

 ギングリッチ氏は、バイデン政権が北朝鮮の脅威を軽視しているように見え、それを受けて、正恩氏が非常に危険な道を進み続けるのではないかと恐れていると述べた。

 「われわれが相手にしているのは独裁政権だ。大変な危険を冒す危険性がある決定を下しかねないが、こちらではその背景を十分に把握できない。非常に危険だと思っている。個人的には、イランに次いで世界で2番目に危険な国だと思う」

 ギングリッチ氏は、正恩氏が韓国への挑発をさらに激化させ、実際の軍事行動に踏み切った場合、どのような結果になるかを米国は明確にさせる必要があると述べた。

 「もし正恩氏が戦争を始めたら、それは政権の終焉となるだろう。われわれはそのことを彼に伝えなければならない。それは限定的なものではない。ソウルを脆弱にしてはならないし、ソウルを攻撃できると思わせてはならない。停戦交渉のようなものができると思わせてはならない。その一線を越えることは独裁政権の終焉につながると知らせなければならない」

異質で危険

 ドナルド・トランプ前大統領であれ、カマラ・ハリス副大統領であれ、次の大統領は、ほんの数年前とはまったく異なる、より危険な状況にある北朝鮮に直面することになる。北朝鮮がウクライナに軍隊を派遣するという決定は、正恩氏とロシアのプーチン大統領が今年初めに署名した「包括的戦略パートナーシップ条約」の最初の具体的な一歩であり、長期にわたる影響を及ぼす可能性がある。

 ジョージタウン大学安全保障研究センターのアレクサンドル・マンソロフ教授は、現在ウクライナ近郊の前線にいるとされる約1万人の北朝鮮軍は、実戦経験を積んで帰国し、北朝鮮軍をより強力な戦闘部隊に変えるのに役立つだろうと述べた。正恩氏はまた、ロシアとウクライナの戦域に部隊を出入りさせ、さらに何万人もの兵士に同じような貴重な経験をさせる可能性もある。

 しかし、ロシアのウクライナ侵攻を支援することで、北朝鮮の兵器開発に対するロシアからの技術支援や、北朝鮮国境から遠く離れた場所での大規模戦闘で重要な役割を担っているように見えることによる宣伝効果など、正恩氏が得ることができると考えている利点は他にもある。

 マンソロフ氏は「信じようと信じまいと、それは国際的な評価の問題だ」と語った。フォーラムの司会は元中央情報局(CIA)職員のジョセフ・デトラニ氏が務めた。

 マンソロフ氏は「北朝鮮は、ウクライナ侵攻でロシアを支援するために限定的な軍隊をロシアに派遣したことで、…今では、遠く欧州の戦争の流れまで変えることができる強力な軍事大国とみなされている」と述べた。

 韓国政府当局者は最近、北朝鮮の派兵を受け、長年の方針を転換し、ウクライナに直接武器を提供する可能性を示唆した。

 一方、米国が北朝鮮の意思決定に影響を与える手段は限られている。ギングリッチ氏は、米国の経済力が弱くなった21世紀の環境では、経済制裁という数十年来のアプローチはもはや有効ではないと述べた。

 「米国が制裁戦略を持っていたのは、われわれが地球上で圧倒的な経済力を誇っていた時代だ。そして欧州諸国を従えていたため、全体でのわれわれの経済力は非常に大きかった。そのため、制裁戦略はそれなりに意味があった。経済的には世界最大の国だが、潜在的な買い手が多すぎる。イランと石油を見れば分かるように、米政府が何を言おうと、人々はイランの石油を買う」

 「その意味で、もし北朝鮮が中国とロシアの両方の支援を受けているのであれば…制裁で彼らを無力化することは事実上不可能だと思う。彼らの動きを鈍らせることはできる。しかし、彼らは前進し続けるだろう。制裁によって彼らをねじ伏せることはできない。それが、私たちが今直面している大きな課題だと思う」

トランプ氏再登板は東南アジア各国に利益

(2024年11月15日)

中国国営メディア、米民主主義を批判 マルクス主義推進の一環か

(2024年11月11日)

イラン・ロシア、大統領選後の米社会分断を画策か

(2024年10月24日)

中国・イラン、オープンAIのツール利用しサイバー攻撃

(2024年10月21日)

輸入規制に抜け穴、安価な中国製品に健康被害懸念 若い世代が標的に

(2024年10月18日)

宗教の「中国化」推進 イエス像を習主席に差し替え命令

(2024年10月15日)

米軍、インド太平洋にドローンを大量投入へ 中国の攻撃を阻止

(2024年10月05日)

中国で残虐な動物実験 研究所に米が補助金

(2024年09月27日)

台湾の国際機関への加盟妨害は不当 駐米代表が中国を非難

(2024年09月24日)

ポンペオ前国務長官、台湾の独立承認を呼び掛け

(2024年09月20日)
→その他のニュース