揺れ動く米韓の限界を試した北朝鮮ミサイル

(2025年1月12日)

北朝鮮政府が提供したこの写真は、2025年1月6日月曜日、北朝鮮の非公開の場所で行われた新型中距離極超音速弾道ミサイルの試射の様子である。独立ジャーナリストは、北朝鮮政府が配信したこの画像に描かれた出来事を取材することはできなかった。この画像の内容は提供されたものであり、独自に検証することはできない。情報源から提供された画像には韓国語の透かしがある: 「KCNA」とは朝鮮中央通信の略称である。(朝鮮中央通信/韓国通信社 via AP)

By Andrew Salmon – The Washington Times – Monday, January 6, 2025

 米国バイデン政権が終焉(しゅうえん)を控え、韓国の政策決定が大統領弾劾劇により停止している中、6日の北朝鮮の行動は平常運転だった。

 ブリンケン米国務長官がソウルで韓国の趙兌烈外相と会談している最中に、独裁国家・北朝鮮は中距離弾道ミサイル(IRBM)とみられるミサイルの発射実験を行ったのだ。

 ブリンケン氏が米国の外交官トップとしてこの地域を訪問するのはほぼ間違いなく最後で、東京にも立ち寄る予定だ。インド太平洋地域の米国同盟国に対する姿勢と政策の大幅な変更を公約としているトランプ新政権は、1月20日に発足する。

 ブリンケン氏のレームダック状態は、ホスト国である韓国を悩ませている混乱と不確実性を反映している。趙氏は、12月3日に戒厳令を宣言しようとして失敗した後、弾劾され事実上権力を剥奪された尹錫悦政権の代表者だ。

 尹氏の運命を決定付ける憲法裁判所の招集はまだ行われておらず、次期米政権と韓国の政策調整はこの先数カ月にわたって不透明となる。

 北朝鮮の金正恩政権は、「傀儡(かいらい)国家」韓国の政治的混乱について、国営メディアで嘲笑的に論評している。

 韓国の合同参謀本部は6日正午ごろ、極超音速弾頭を装備していると思われる中距離弾道ミサイルが平壌地域から発射されたのを感知したと発表した。

 ミサイルは日本海に落下した。ロシアが開発した極超音速兵器は、その高速性と飛行経路の可変性から、韓国に配備されているような従来のミサイル防衛システムでは対抗するのが難しい。

 昨年11月5日の米大統領選投票日以降、北朝鮮によるミサイル実験は今回が初だった。北朝鮮は2024年1月と4月に固体燃料の極超音速IRBMの発射実験を行ったが、これらの兵器は米国の太平洋戦略上重要なグアムを攻撃できる射程があると推定されている。

 北朝鮮は、今回のミサイル実験がブリンケン氏の訪問に合わせて計画されたものだとは示唆していない。アナリストらは、北朝鮮がミサイル実験を行うのは自国の兵器技術の開発状況を確認し、対外的にメッセージを送るためだと指摘している。

 ブリンケン氏はソウル訪問中、公の場で北朝鮮とロシアの軍事協力拡大の危険性、特にロシア軍による隣国ウクライナ侵攻を支援するために北朝鮮軍数千人が最近派遣されたことに焦点を当てた発言をした。同氏はまた、米国に敵対する2国間の関係は深まっていると述べた。

 共同記者会見で同氏は「ロシアが先進的な宇宙・衛星技術を北朝鮮と共有する意図を持っていると信じるに足る理由がある」と強調し、「(ロシアのウラジーミル・)プーチン大統領は、(北朝鮮の)核兵器計画を受け入れることで、数十年にわたる政策を覆すところまで来ているのかもしれない」と指摘した。

 ロシアと北朝鮮間の取引の詳細は不明だが、プーチン氏は北朝鮮政権に、軍需品や戦闘部隊と引き換えに高度な軍事技術、外交支援、食糧、石油を提供した疑いが強い。

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