マスク着用義務化をめぐる対立が再び激化
By Valerie Richardson Tuesday, August 10, 2021
新型コロナウイルスの感染者増加を受け、再びマスク着用の義務化を求める声が上がっているが、米国民はまた顔を覆うべきかをめぐり、政治家が激しく対立している。
対立が表面化したのは10日のことだ。フロリダ州のロン・デサンティス知事室は、学校当局者が学校でのマスク義務化を禁じた7月の行政命令を無視した場合、給料の支払いを留保すると警告。これに対し、バイデン大統領は、介入する権限があるかどうか、政府として「確認」しているところだ、と語った。
バイデン氏はそのような権限があるかどうか懐疑的だったが、ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は、デサンティス氏による給料カットを補填(ほてん)するため、まだ使われていないコロナ対策資金を流用することを検討していると語った。
「地域の人々を守る措置を講じる教員や役人を保護・支援するためにどのような選択肢があるのか、引き続き調査する」と、サキ氏は述べた。
カリフォルニアからニューヨークに至るまで、米国民がマスクを着用しなくなってから2カ月がたった。だが、マスクをめぐる対立がまた戻ってきた。少なくとも八つの共和党州がマスク義務化を禁じる一方、米疾病対策センター(CDC)はワクチン接種完了者のマスク着用について方針転換した。「個人の自由」対「マスクの効果」をめぐる議論はヒートアップしたままだ。
新型コロナ感染者は7月上旬以降増加しているが、1月のピーク時に比べると依然少ない。8月9日の新規感染者数は23万5099人で、1週間の平均は12万4470人だった。ニューヨーク・タイムズ紙の統計によると、感染拡大の絶頂だった1月8日は新規感染者が30万人を超え、1週間の平均も25万9616人に達した。
マスク義務化を禁じている州のうち、秋の学校再開を前に地元当局者と対立している共和党知事は、デサンティス氏とテキサス州のグレッグ・アボット知事の2人だ。それ以外では、マスク義務化を復活させる方向で進んでいる。
カリフォルニア州では、大規模郡が導入した規則により、州の半分以上で屋内でのマスク着用が義務化されている。ロサンゼルス郡では、ワクチン接種にかかわらず、全ての生徒と職員が顔を覆うことが求められる。
アーカンソー州のアサ・ハチソン知事は、4月にマスク着用義務化を禁じる法案に署名したが、8日、これを後悔していると語った。知事は各学区が柔軟に新型コロナに対応できるようにするため、州議会に禁止撤廃を求めると表明した。
「事実が変わっている。指導者は新たな事実、対応しなければならない現実に適応する必要がある」。ハチソン知事は報道番組「フェース・ザ・ネーション」でこう主張した。「子供たちを守るために地元学区により多くの選択肢を与える必要があると気付いた」
アーカンソー州では10日、感染者の急増で州の医療システムが逼迫(ひっぱく)する中、新型コロナ入院患者が2日続けて最多を更新した。州保健局によると、コロナ入院患者は59人増えて1435人に達した。その前日、1月のコロナ入院患者最多記録を超えた。10日の新規感染者は前日より2600人以上も増え、死者数も24人増加した。
ルイジアナ州選出のビル・キャシディ上院議員(共和党)は8日、同州の指示に反対を表明した。感染率や入院率などの要素に基づき、「地元当局者がその地域に最善の決定を下せるようにすべきだ」と主張した。