新型コロナは武漢研究所から流出―MITの生物学者

(2024年6月12日)

2021年2月3日水曜日、中国湖北省の武漢で、世界保健機関(WHO)チームの訪問中、武漢ウイルス学研究所の入り口付近に集まる警備員。コロナウイルス流行の起源を調査しているWHOチームは、省内の2つの疾病管理センターを訪問した。(AP Photo/Ng Han Guan)

By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, June 5, 2024

 米マサチューセッツ工科大学(MIT)の分子生物学者アリーナ・チャン氏は、新型コロナウイルスは中国の武漢ウイルス研究所の実験室から流出した可能性が高いことを示す強力な証拠を提示した。

 ニューヨーク・タイムズ紙(2日付)への寄稿でチャン氏は、このウイルスの起源を巡り熱い議論が戦わされているが、武漢の研究所で操作された致死性の高い改良コウモリウイルスの扱いを中国の科学者が誤ったとの結論で決着するはずだと主張した。

 「情報公開法に基づいて公開された公文書、オンラインデータベースを通じたデジタル調査、ウイルスとその拡散を分析した科学論文、米政府内部からのリークから得られた証拠は、パンデミック(世界的大流行)が中国武漢の研究所からウイルスが流出したために発生した可能性が高いことを示唆している。もしそうなら、科学史上最も犠牲の多い事故となる」

 パンデミックの原因となった新型コロナウイルスはSARS(重症急性呼吸器症候群)ウイルスに似ており、武漢で最初に発見された。武漢ウイルス研究所ではSARSに似たウイルスに関する広範な研究が行われていた。研究所の科学者らは、「コウモリ女」と呼ばれた石正麗氏のもとで、10年以上にわたってSARSに似たウイルスを集めていた。

 チャン氏は「彼らの研究によって、パンデミックを引き起こした新型コロナウイルスに非常によく似たウイルスが、武漢からおよそ1000マイル(約1600㌔)離れた場所に生息するコウモリの間で広がっていることが分かっている」と指摘した

 また、新型コロナウイルスは非常に感染力が強く、山火事のように種から種へと飛び移る可能性がある。しかし、中国南部から武漢で出現するまでの1000マイルの道のりのどこにも感染の痕跡は確認されていない。

 チャン氏は、新型コロナが動物から発生し、人に感染したという説を裏付ける証拠は弱く、武漢の海鮮市場で発生した症例はおそらく、人に感染した後に発生したものだろうと主張している。

 「現在分かっていることを踏まえると、捜査当局は入手した有力な手がかりをたどり、武漢の科学者とその国際的パートナーとの間で交わされたすべてのやりとり(未発表の研究計画書、原稿、データ、発注)を提出させるべきだ」

 チャン氏は「最後になったが、大事なことは、すべての国の指導者、とりわけ科学者が、この世界を震撼させた出来事の原因究明の先頭に立つ必要があるということだ。科学と政府のリーダーシップに対する国民の信頼を回復するには、それが必要だ」と訴えている。

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