アフガン撤退で同盟国が「根幹から揺れている」とハガティ米上院議員
By Joseph Clark – The Washington Times – Monday, September 6, 2021
米国の欧州同盟国は、アフガニスタンからの撤退による影響でテロのリスクが高まり、人道危機が拡大することを恐れている。
最近、幾つかの主要同盟国の代表者と会談した米上院外交委員会のメンバーが明らかにした。
駐日米大使を務めた共和党のビル・ハガティ上院議員が先週、海外訪問団を率いたのは、アフガン撤退が重要な同盟国との関係に及ぼす影響を憂慮し、将来のコミットメントに関する各国の懸念を聞くためだった。
「私が耳にしたのは、米国の同盟関係が根幹から揺さぶられ、良くも悪くも不意打ちを受けたという事実だ」。ハガティ氏はインタビューでこう語った。「特に英国では、実際に内部で検討が行われていると思う」
ハガティ氏によると、欧州の同盟国は、バイデン米政権がイスラム主義組織タリバンとテロ組織に「プロパガンダ上の大勝利」を与え、中国やロシア、北朝鮮、イランなどの敵対国がこれを利用して米国の同盟関係を切り崩そうとすることに懸念を表明した。
「一種のプロパガンダが増え続ける状況に自ら追い込んでしまったと思う」とハガティ氏。「中国機19機が5日に台湾の空域に侵入したが、中国は米国を試し続けるだろう。アフガン情勢はその助けにはならない」
ハガティ氏は「地域レベルでは、アフガンで力の空白が生まれた」と指摘。「その空白は世界中から聖戦主義者を引き付け、米国に対する勝利を宣言するだろう」
ハガティ氏は欧州を訪問中、英国のベン・ウォレス国防相や防衛・安全保障問題を担当する有力議員と会談した。また、英国、イタリア、ドイツ、トルコのNATO(北大西洋条約機構)代表者とも面会した。
「彼らは私に大変率直に話してくれたと思う」とハガティ氏。「彼らは懸念とフラストレーションを共有していた。だが、一方で、われわれは今、予想以上に大きな問題を抱えており、共同でこれに対処する方法を模索する義務があるということでも同意していた」
ハガティ氏によると、同氏が会談した指導者の多くが懸念を表明したのは、バイデン氏が米同時テロ20周年を控え、アフガンの現地状況に基づく判断ではなく、政治的打算で軍を撤退させたことだった。
米議会代表団と面会したトム・タジェンダット英下院議員は、戦争の終わらせ方について露骨に不満を示した。
米軍が全面撤退を急ぐ真っただ中の8月中旬、タジェンダット氏は英下院で、バイデン氏の発言にショックを受けたと語った。アフガンがタリバンに奪われようとしている時に、アフガン治安部隊に疑念を投げ掛けた発言だ。タジェンダット氏は米陸軍第82空挺師団と共にアフガン戦争を戦った元兵士である。
「私が共に戦ったアフガンの男たちを逃げたと言い、彼らの勇気に疑問を呈する(米軍)最高司令官の姿勢は恥ずべきことだ」と、タジェンダット氏は主張。「国旗のために戦ったことのない者が戦う者たちを批判するのは慎重であるべきだ」
タジェンダット氏の不満は多くの米国民が共有していると、ハガティ氏は語った。ハガティ氏の地元テネシー州をはじめ全米の退役軍人たちから、アフガンがタリバンの手に落ちたことで自分たちの犠牲は価値があったのかと疑問の声が上がっているという。